聖女様に貴方の子を妊娠しましたと身に覚えがないことを言われて結婚するよう迫られたのでもふもふな魔獣と旅にでることにした

葉柚

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第67話

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 セレスティアとこの国を守るとヒューレッドはマリアと約束をした。約束はしたがヒューレッドはどうしたら良いのか考えあぐねていた。
「ヒュー、転移するの-。イーストシティ共和国?に転移するのー。」
 どうしたものかと、夜の町を散策していたヒューレッドにフワフワが声をかけてきた。いったいいつからヒューレッドの側にいたのかヒューレッドにもわからない。
「フワフワっ!?いつからいたんだ?」
「イーストシティ共和国?に行くの。ヒューは魔術の精度をあげるの。マリルリがこの国にかけている魅了の魔法を解くの。」
 フワフワはなおも続ける。
「マリルリの魅了の魔法はヒューにしか解けない。でも、今のヒューじゃ全部は無理。だから、イーストシティ共和国?で魔法の精度を磨くようにってセレスティア様言ってたの!」
「フワフワ……。オレの魔法で魅了の魔法を解く?それはセレスティア様じゃ無理なのか?少なくとも聖女であるセレスティア様の方が向いているんじゃないのか?」
「セレスティア様の魔法じゃ無理なのー。だからセレスティア様はヒューに希望を抱いたのー。ヒューじゃなきゃダメなのー。」
 フワフワはそう言うが、ヒューレッドには魅了の魔法を解くような魔法に心当たりはなかった。
「魅了を解く魔法……。なんていう魔法か知っているのか?」
「そこまでは、知らないのー。」
「そうか……。」
 フワフワも魅了を解く魔法が必要だということまではセレスティアに教えてもらっていたが、その魔法がなんという名前の魔法だったかは覚えていなかった。
「魔法式を組み上げるか……?」
 魔法の名前もわからない。セレスティア様も使うことができない。となると、もしかすると既存の魔法ではマリルリの魅了を解除することができないのかもしれない。
 まったく新たな魔法式を組み上げなければならないのかもしれない。
 ヒューレッドは魔法式を一から構築していく作業は得意な方だった。考えるのも好きだったため、よく新しい魔法式を構築していたものだった。
 もしかしたら新しく魔法式を構築することで、マリルリの魅了の魔法に打ち勝てるかもしれない。そんな希望がヒューレッドの中にフツフツと沸いてきた。
「ヒューが全ての希望なのー。」
 フワフワはそれだけ言うと、ヒューレッドの肩からヒョイッと飛び降りてタタタッとヒューレッドたちが泊まっている宿屋の方角に走り去っていった。
「新しい魔法式の構築……魅了の解除……。そういえば、イーストシティ共和国の書物には魅了魔法を使う魔物に関する書物があるとか人づてにきいたことがあるな。そこに、マリルリに打ち勝つヒントが、あるのか?マリルリの魅了の魔法は国内だけにしか有効ではない。というのも、もしかするとイーストシティ共和国には魅了魔法の解除用の魔法があるから、マリルリが手を出さないだけ……なのか?」
 ヒューレッドはしばらく夜の町を散策しながら、今後どうするかを考えるのだった。

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