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第三章
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しおりを挟む後ろから抱きついてきたのは、人の姿の凪でした。
こんなところで、人になっていいのかしら?
というか、キスで人になるんじゃなかったっけ??
「凪?」
「華・・・怖かった」
「どうしたの?」
どうやら、凪は震えているようだ。
私を抱く腕がプルプルとしている。
泣いているのか、声も少し掠れている。
「凪?顔みせて?」
優しく声をかけるが、凪はどうやら、顔をふるふると横に振っているようだ。
肩に当たっている凪の頭が、左右に小刻みに揺れた。
「なにがあったの?」
凪がこんなに甘えてくるなんて、なにかあったのかと不安になる。
というか、人の姿だから落ち着かない。
猫の姿なら、抱き締めてなで回すのに・・・。
「僕、華に嫌われたくないから、言わない」
言わないって・・・。気になるじゃない。
そんなに、落ち込んでいて平常心欠いているんだから、なにかあったのは一目瞭然だ。
お腹に回された凪の手をそっと、手で包み込む。
凪ってば、男の子なのに肌がスベスベしてる。羨ましい。
猫の姿の時も、毛艶よかったしなぁ。
「凪、嫌わないよ。何があっても、嫌わないよ」
だって、凪を嫌いになるなんて出来ない。私が凪に嫌われることはあっても、その反対はあり得ないのだ。
「ほんと?」
「うん、ほんと。ほらこっち向いて」
ポンポンと宥めるように、凪の手を軽く叩く。
凪の手が少し緩んだ瞬間に私は向きをかえて、凪の顔を覗きこんだ。
「凪?」
目が腫れぼったいようだ。
涙もやっぱり滲んでいる。
まったく、何があったのやら。
「・・・キス」
「キスがどうしたの?私にしてほしいの?」
問いかけると、ふるふると頭を横にふる。
どうやら、キスをして欲しい訳ではないようだ。
「華からのキス欲しいけど、欲しくない」
「なんで?」
「キス・・・された」
ん?それで、こんなに落ち込んでるの?
「誰に?」
猫の姿の凪にキスをしたってことよね。いったい誰が?
「華といつも一緒にいる女の子」
「ヒロインちゃん!?」
コクリと頷く凪。
私の頭の中には疑問符が浮かぶ。
何故、ヒロインちゃんが?
なんで凪にキスをするの?
隠しキャラだから?
なにが、なんだかわからない。
いったいどういうこと!?
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