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第二章

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「・・・な・・・は・・・な・・・はな・・・華」

誰かが私を呼ぶ声がする。
朦朧とする意識の中で、見知った誰かが私を呼ぶ。

誰・・・?

「華・・・まだちょっと早かったか。華・・・大丈夫だから。この世界は君に酷いことはしない。この世界なら君は幸せになる。いや、今度こそ華を幸せにしてみせる。」

優しい声。
昔はよく聞いていたっけ。
誰だっけ・・・。

霞がかかったような思考では、誰の声かわからない。
ただ、その声が慈愛に満ちていて私に危害を加えようとする類いのものでないことだけはわかった。

「華、君に幸せになって欲しい。・・・だから戻ってきて」

私の手を握る暖かい温もりに気づく。
ずっと前に感じたことのある温もり。

懐かしい温もり。

ああ・・・。
そっか、この人は・・・。

ゆっくりと、確実に意識が浮上する。

「まだ、すべて思い出すには時期が早かったか。僕の失態だ。すまない、華」

「・・・は・・・るにぃ」

喉が掠れて声が上手く出せない。

「華っ!!」

それでも、春兄は私の声に気づいたようで、私の顔をじっと見つめてくる。
その手は離さずに。

「はる・・にぃ・・・いたい」

ぎゅっと握りしめられた手が痛みを訴える。
それでも、春兄は手を離してくれない。

「よかった、華。戻ってきてくれた。まだ全てを思い出すには早すぎた。すまない。僕が急ぎすぎてしまった。でも、僕のことは思い出してくれたんだね?」
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