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第一章

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ティーガ様とクロロ様に囲まれて眠ったその日、私は不思議な夢をみた。



なぜか、私の寝室にアレキサンドライト様とマクロン様がいらっしゃって、二人で寝ている私の顔を微笑みながら見つめているのだ。

お二人の端正な顔が笑みを称え、幸せそうに私を見つめる。

その顔を見てしまったら猫好きな私でも、「ぽーっ」となってしまう。



「アルメディア嬢、良い夢を」

「良い夢を」



美しい声で囁きながら、アレキサンドライト様とマクロン様の姿がぼやけ、すすぅ~と小さくなる。

そこには、スヤスヤと丸まって眠るティーガ様とクロロ様がいる。



そんななんとも眼福で不思議な夢だった。















「アルメディアお嬢様、朝でございますよ。」

リザの呼び掛けにゆっくりと目を覚ます。

いつもなら、リザが呼び掛ける前に起きてしまうのに、何故か今日はぐっすり眠ってしまっていたようだ。

頭もいつも以上にスッキリしている。

どうやら、上質な眠りだったようだ。

「おはよう、リザ」

ティーガ様とクロロ様も私の隣でまだぐっすり眠っている。

クロロ様は行儀よく丸まって寝ているのに対して、ティーガ様はお腹丸出しで大の字で寝ている。

ティーガ様のふかふかなお腹に頬擦りし、クロロ様の顔に頬擦りをする。



なんて、幸せな朝なの!



じぃぃ~ん。。。としながら、幸せを噛み締める。

いつもだったら、ティーガ様は私が目覚める前にはどこかに帰っていってしまうのに。

うう。可愛い。



「アルメディア様。幸せに浸っているところ申し訳ないのですが、そろそろお支度をなされませんと、学校に遅れてしまいます。名残惜しいとは思いますが、そろそろ・・・」



リザに促されて、もふもふからやっと手を離す。

ティーガ様もクロロ様も一度さわったら、離せなくなるほど良い毛並みをしている。

ふわっふわなのだ。

そして、適度な体温がまた気持ちよくずっと触っていたいという思いにかられる。



リザが用意してくれた朝食を食べ、制服に着替える。

リザの手によって私のプラチナブロンドは艶々ストレートに生まれ変わる。

鏡の中の薄紫色の私の目と視線を会わせてフッと笑みを象る。



今日もアルメディアは儚げな美少女です。

どこからどう見ても悪役令嬢には見えません。



気合いを入れて立ち上がると、寝ているティーガ様とクロロ様の頬にキスを落とす。



「行ってくるわね。ティーガ様とクロロ様のことをよろしく。まだ眠いようだから、ゆっくり寝かせてあげてね」



「かしこまりました。アルメディアお嬢様。ティーガ様とクロロ様のことは私にお任せください。しっかりとたっぷりともふもふを堪能させていただきます」



「そう。よろしく頼んだわよ、リザ」



私は颯爽と教室に向かって歩き始めた。

後ろ髪を盛大に引かれながら。







ティーガ様とクロロ様と一緒に寝てたい。

もふもふして寝てたいよー。
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