シンデレラは、眠れない

月詠嗣苑

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二十三話

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 東京から鬼怒川まで、車でスムーズに行けば、およそ二時間半で行けるが、連休だけあって、三時間強かかった。

「近いとこで申し訳ない」

「いえいえ」

 五月初日、チラホラと鯉のぼりが泳いでる姿も見れた。

「でも、いいのか? 最後の日で」

「いいの。泊まったりしたら、大変だもの」

 荷物を下ろし、彼と一緒に受け付けに行ったが……。

「マサキさん?」

「ん?」

「いつ私達結婚しましたっけ?」

 宿泊者名簿に妻と書いていた!

「ま、まぁ。付き合ってるんだし?」

「いつか、そうなったらいいですね」

 って、覚えてるのかなぁ?


 カチャッとドアが、開くと和室と洋室があった。

「お荷物は、こちらに。お手洗いは、こちら。お風呂場は、洋間の方にございます。ごゆるりと……」

「景色いいねー」

「空気がいい!」

 これて良かった。

「お風呂のお湯は、温泉だってさ。覚えてる?」

「覚えてるわよっ! もぉっ!」

 この旅行で初めて彼とお風呂に入る。いくら、裸を見てはいても、やはり恥ずかしさが出る。

「和室は、浴衣で、洋間はガウンだ……」

「因みに、買うことが出来る、だ」

「いや、いらないから!」

 夕飯まで時間があるから、館内や近くをブラブラ散歩。

 温泉卵を食べたり、燻製を食べたりした。

「浴衣にマスクはなー」

「しょうがないよ、今は……」

 近くに小さな神社があって、ちょっと参拝した。

 夕飯は、館内のレストラン。事前に和食を予約していたから、スムーズに食べれた。

 黒毛和牛のステーキは、アツアツの石で自分で焼いてから食べる。事前に焼かれてはいる。最後に出てきたマスカットのムースも甘酸っぱくて美味しかった。


「ためらいすぎ! もういいだろ? 裸知ってんだし。ほら、行くぞ」

「ひゃっ!!」

 初めて二人でお風呂に入る……。

 服を脱がされ、生まれたままの姿になった私は、彼の顔をまともに見れなくて……。

「ほら、危ないから」と支えられてバスルームの中へ。

「洗ってあげる」

「え? いいよ、それは自分で……きゃっ」と言ったけど、風呂椅子に座らされ……。

「どう? 痒いとこ無い?」

 髪を洗われ、タオルで巻いてくれた。

「マサキさん?」

「ん?」

「スポンジあるよ? なんでそんなニヤニヤしてるの?」

「それはね?」

「わっ!」

 ヌルッとした手が……

「こうする為……な?」

 だけど……なんでそこだけ丁寧に?

「ひゃんっ!」

 上半身は泡だらけなのに、胸のところは付きが弱い?

「さぁ、立とうか?」

 目付きも言い方も一瞬変わって……。

「マサキさん? そこばかり……あっ」

「んー、だってここつけてないよ? 誰のヌルヌルだろー?」

「……。」

 それは……わた、し?


「あ……」

「ほう? なるほど。瑠奈は、これ触った事ある?」

「な、ない……」

 そうなるのは知ってたけど、見たことは無かった。

「触って? 触るだけでいいから」と手を添えられて触ったモノは、熱く熱を帯びて、脈を打っていた。

「もういいか? 俺も恥ずかしいから」

 手を離すと、彼はシャワーかけてくれ、今度は私が洗う事になったんだけど……。

「そこは、手かな?」

 手にボディソープを泡立てて、包み込むように洗ったら、さっき触った時よりも凄くなって……

「シたくなった」と後ろから……。

 パンッパンッと肌がぶつかる音が、やけに生々しく聞こえ、私は声をあげる。

「いいね。もっと乱れて?」

 背後から、胸を鷲掴みにされて突かれたり、グリグリ押し付けられたりして、終わった時にはグッタリした。

「どちらかって言うと、俺実は淡白な方なんだったんだよなー」

「え?」

 アレで?淡白?

「殆ど仕事だったから……」

 あー、それはわかる。

「身体の相性がいいのか、それに近い何かがあるのかもねー。わからんけど」

「はぁ」

「あ!! モノがいいんだ!」

 は?いきなり、生々しくないですか?

「あ、別に変な意味じゃないから。普通に俺、瑠奈のこと好きだし。ちゃんと考えてるから!!」

「そこまで、気にしてませんて」

「いや、気にしろ」

 は?


「さて、どっちで寝る?」

 和室と洋室……。

「よし、和室にしよう!」

 私に聞いた意味は?どこいったの?

「愉しも?」

 だから、その目付きはなにぃ?!

 これの何処が淡白なの?!と何度も何度も思った。

「って、私より先に寝る?! ばかっ! もぉ、知らないっ!」
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