シンデレラは、眠れない

月詠嗣苑

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十三話

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「あれ? 課長は?」

 経理課の尾羽さんが、部所にきた。

「さぁ?」

「課長なら、さっきなんか出かけてくるって飛び出して行きましたよ?」

「そうなの? じゃ、また夕方にでもくるわ」

「言っておきますね」

 最近、ちょくちょく居なくなるなぁ。


「あと二ヶ月だな」

「……。」

「あと二ヶ月でモノに出来なきゃ、お前に跡を継がせる。モノに出来たら、お前は自由だ」

「……。」


「おつかれ……」

「あ、課長ー。さっき、経理の尾羽さんきてましたよ?」

 で、また外に出て行く。

 明日から三連休になるから、みんな心ソワソワだ。

 無論、私は……。

「今度の連休、と、遠出しないか?」

「いいけど。なんで?」

「え? あ、いや、その日は誕生日だから……」

 だから、なんで顔を赤くして言うの?!

「但し、条件があります。旅行に行くと言うだけで、無闇矢鱈に私の物は買わないと約束出来るなら、行きます」という案を出して、行くことになった。


 課長とは、まだフレンチなキスだけの関係。この先、どうなるかはわからないけど。

「俺は、浮気なんてしない! 金よりも地位よりも、好きな女を取る!」とあのクズ男の話をした時に、課長がそう言っていたのを思い出した。

 好き……なんだろうな。課長といると、なんかふわっとした感じで、居心地がいいもの。

 誕生日、か。バレンタインの時にネクタイやったら、凄い喜んでて、次の日早速締めてくれた。今度は、何にしようかな?

 誕生日だから、私がプレゼントよ!なんて、今時の子供でも恐ろしくてしないだろうし、する気はない。

 けど、一緒にいたら、いつそんな関係になるかわからないし……。

「何してんだ? ボーッとして。瑠奈、飯は?」

「あー、うん。出来てるよ」

 言い方は、つっけんどんだけど、手伝ってはくれる。お互い一人暮らしが長いから。

「生姜焼き?」

「うん。経理課の尾羽さんっているでしょ?」

「あぁ、この間子供が入院したって?」

「そう。たまたまその時、一緒にいて、病院まで付いてっただけなのに。お礼で、国産牛貰いました」

「へぇっ。じゃ、食うか」

 で、エリーの鳴きそうな顔をなるべく見ないようにして、食べる。

「人間のはなぁ。でも、エリー喜べ! お前は、週末ホテルだぞ」

 流石に三日間も家を開けるとなるとね。今まで使ってるペットホテルがあるとかで、今回もそこに。

「そういや、エリーっていま何歳?」

「あ? もうすぐ一歳だが?」

「じゃ、もうすぐかな?」

「何が? 瑠奈、おかわり」

「ん? 発情期! 課長、子猫にもあるんですよ?」

 唖然としてるってことは、知らなかったらしい。

「発情期、ね? 俺も発情期したい」

「課長?」

「あ、いや、なんでもない。うん。大丈夫、わかってるから! 好きだから!」

 発情期……。あ!私ったら、なんてことを!!

 だから、課長……。

「お風呂、入ってきます」

「うん。片付けておくから」

 なんか急に恥ずかしくなって、慌ててバスルームへ。

 もしかしたら、バレたのかも知れない。まだ、自分の気持ちは伝えてはいないけど。旅行の時に言えたらいいな。

 で、慌ててきたから、着替えを持ってくるのを忘れた私は、見つからないように、静かに静かに寝室へ行ったのに……。

「おっ?」

 なんで、今!ここに!いるかなぁ!課長ーっ。

「襲われにきた?」

「い、いや。着替えを取りに……です。はい」

 課長、時々なんか変わるんだよねぇ。なんでだろ?


「瑠ー奈?」

「はい?」

 課長の手が、バスタオルにかかって……。

「お前、隙ありすぎ……。瑠奈」

 顎をくいって持ち上げられて、唇が……。

 ンンッ?!ンッ!

 あ……だめ……

 唇が離れたと思ったら、今度は首筋にきて……

「んはっ……」

 課長の腕に……

「瑠奈……。足、開いて?」

 え?足?こうかな?

 っ!!

「瑠奈? 濡れてる……」

「ちょ……はぁっ……だめ……そんな……」

 課長の手が動く度に、私の中の淫らな音が弾けて……。

「可愛い……」

「え……あっ……あぁっ」

「瑠奈の乳首も大きくなってるね? ね? こっから、どうしたい?」

 課長……なんで、そんなに?

「うっ……はっ……あっ」

「可愛いね。じゃ、これは?」

「んなっ!!」

 なに、これ……。一番敏感な部分に指が当たった瞬間、身体中が痺れたような感じになった。

「どう? まだいけそう?」

 課長が、なんか段々下に降りてきて……

「うはっ……っ……」

  舌がソコを……

「あっ……はんっ……だめ……」

「いや? 嫌ならしないよ?」と言いながらも、彼の舌はソコを小刻みに動く……。

「お願い……やめ……ないで……んくっ」

 そう言ったら、中に指が挿ってきて……

「グジュグジュだ……。可愛いね、その乱れ方、好きだよ?」

「やっ……はっ……だめ……あっ……」

 彼の頭を乗せる手に力が入ったり、足がガクガク震えてくる。

「これは?」

「はぁぁぁっ!!」

 お願い……お願い……

「じゃ、これで最後ね?」

 その部分に硬い何かが当たった瞬間、身体の力が一気に抜けた。

「あ? 瑠奈ちゃん、もしかしてイッちゃった? 残念! イキ顔見たかったのに……。じゃ、それは、旅行の時に……」

 課長?激しく変わりすぎでは?
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