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六話
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「おはよう」
「あ、先輩。おはようございます」
課長の家に居候して、もうすぐ一ヶ月。あれから課長とは、まともに言葉を交わしてない。
「課長、おはようございます」
チラッと私を見て、
「あぁ」
「課長、この書類にサインを」
チラッと私を見て、サインして無言さで差し出す。
それでいて、私とよく目が合う。
なんだろう?おかしな感じ。
「そういや、最近先輩。痩せました?」
「は? まさか!」
課長が、色んなとこに拉致ってくれるから、太ったわよっ!なんてことは、言えない。
「そうかなぁ? ねぇ、荒木くん! 最近、瑠奈先輩前より変わったよね?」と莉子ちゃんと同期の荒木くんが、私の顔をジッと見て……。
「なんも変わってないと思うけど?」と私を落とす。
「絶対、前よりいいと思ったのになぁ?」
そうなんだろうか?
「け、化粧品変えたからかな? ハハッ」
って、また見てるし……。
言いたいことあるなら、言ってよぉ!!謝るからぁ!!
「ってなんで……」
何故、何も言わず莉子ちゃんとランチに来たのに、偶然そこにも課長が!!
「あ、お待たせしました!」と慌てて駆け込んできた男性と課長が、互いに挨拶し合う。
なんだ、商談か……。
「せーんぱいっ! 何にします? 早くしないとお昼休み無くなっちゃいますよ?」
莉子ちゃんは、女の私からみても、可愛い部類に入る。私も莉子ちゃんみたいに可愛かったら、また違ってたのかな?
「んー、そうね? 今日は、Bにしとくわ」
互いに違うランチを頼み、味比べをしたり、ついてたデザートを堪能した。
課長は、まだ、か。って、なに気にしてんのよ!
午後は、打ち合わせもなく、比較的に穏やかに?仕事が出来た。
のに!!
就業間際になって、明日行われるプレゼンのミスがわかり、私は、課長と一緒に取引き先へ……。
「本当に申し訳ございませんっ!!」
「すみませんでした!」
「あー、いや、いいのよ? こっちは、ちゃんと評価さえ上げれれば……。でもね?」
私のせいだ。私が、あの時、最終確認を怠ったから……。これで、不可になったらどうしよう?!
怖くて、足が……。
「花井、お前はここにいろ」
課長は、そう言って担当の由良田さんと一緒に場所を出て行った。
どうしよう……。
「お茶、どうぞ」
「あ……。どうしよう……。私、私……」
「大丈夫ですから。ね? なんとか、なりますよ。きっと……」
そうだろうか?
課長のあの顔を見たら……。
課長は、部署を出て一時間位で戻ってきた。
「あの……」
「言うな。お前は、何も悪くないから」
どうしよう……。
ここに入って、幾つかミスは犯した事はあるけれど、ここまで大きいのはなかった。
「怖い……」
「大丈夫だから……。お前は、このまま家に帰れ。荷物は後で持ってくから」
「……。」
課長に部屋まで送って貰ったけれど、私はソファに座ったまま動けずにいた。
時間だけが、刻々と過ぎ、夕方になっても課長は戻って来なかった。
「ただいま。瑠……花井?」
おかしい。部屋が暗い。
廊下の灯りをつけても、花井の声もエリーの声も聞こえない。
「花井?」
花井は、いた。ソファの上で、小さくなって座っていた。
「ごめんな……さい。ごめんなさい。私、どうして……どう……」
課長?なんで……私……。
「もう何も言うな。言わなくていい。謝らなくていいから。自分をそう責めるな……」
課長の大きな手が、私の身体を……。
「ごめんなさい……。わぁぁぁぁっ!!」
泣いた。課長の胸に思いっきり顔を埋めた。
あのクズ男に別れを告げられても泣かなかったのに……。
課長……。
泣き疲れたのか、私はそのまま寝てしまったらしい。
課長が着ていたシャツの袖を硬く握りしめたまま……。
「あー、腰痛い」
「すみません」
「花井、珈琲」
「はい」
朝のリビングで、まだ目の腫れた私と腰を押さえる課長。
ニャウッ!!
「あー、はいはい。ご飯、あげるから待ってて! エリー」
ニャッ!!
時間差で、出社した。周りの視線が、ちょっと気になったけど、プレゼン頑張った結果……。
「獲れた! これで、五億が俺の物だーーーっ!!」
いや、会社のものですよ?
課長と由良田さんが、どんな話し合いをしたのか知らないけれど、うちの会社が勝ち獲れた。
「良かったなー、花井!」
???
私、怖くて、震えて、泣いて、何もしてませんよ?
そのプレゼンが終わって、一週間後のクリスマスイブ。
「あ、あの課長?」
「なんだ?」
「こ、これは、一体?」
「見てわからんか? お前へのクリスマスプレゼントだが?」
いやいやいや。
明らかに違う人数の量ですよね?これ!!
「近藤さま、こちらで全部になります」
は?様?!とは?
「どうした? これじゃ、足らんか? 足らんなら、買いに行くが?」
「だ、大丈夫です……。か、課長」
やっぱ課長の金銭感覚おかしいって!!
何をどうしたら、こうなるの?!
お店でも開けと?
私の部屋が……、いや、エリー嬢の部屋が荷物で溢れていく!!
「あ、先輩。おはようございます」
課長の家に居候して、もうすぐ一ヶ月。あれから課長とは、まともに言葉を交わしてない。
「課長、おはようございます」
チラッと私を見て、
「あぁ」
「課長、この書類にサインを」
チラッと私を見て、サインして無言さで差し出す。
それでいて、私とよく目が合う。
なんだろう?おかしな感じ。
「そういや、最近先輩。痩せました?」
「は? まさか!」
課長が、色んなとこに拉致ってくれるから、太ったわよっ!なんてことは、言えない。
「そうかなぁ? ねぇ、荒木くん! 最近、瑠奈先輩前より変わったよね?」と莉子ちゃんと同期の荒木くんが、私の顔をジッと見て……。
「なんも変わってないと思うけど?」と私を落とす。
「絶対、前よりいいと思ったのになぁ?」
そうなんだろうか?
「け、化粧品変えたからかな? ハハッ」
って、また見てるし……。
言いたいことあるなら、言ってよぉ!!謝るからぁ!!
「ってなんで……」
何故、何も言わず莉子ちゃんとランチに来たのに、偶然そこにも課長が!!
「あ、お待たせしました!」と慌てて駆け込んできた男性と課長が、互いに挨拶し合う。
なんだ、商談か……。
「せーんぱいっ! 何にします? 早くしないとお昼休み無くなっちゃいますよ?」
莉子ちゃんは、女の私からみても、可愛い部類に入る。私も莉子ちゃんみたいに可愛かったら、また違ってたのかな?
「んー、そうね? 今日は、Bにしとくわ」
互いに違うランチを頼み、味比べをしたり、ついてたデザートを堪能した。
課長は、まだ、か。って、なに気にしてんのよ!
午後は、打ち合わせもなく、比較的に穏やかに?仕事が出来た。
のに!!
就業間際になって、明日行われるプレゼンのミスがわかり、私は、課長と一緒に取引き先へ……。
「本当に申し訳ございませんっ!!」
「すみませんでした!」
「あー、いや、いいのよ? こっちは、ちゃんと評価さえ上げれれば……。でもね?」
私のせいだ。私が、あの時、最終確認を怠ったから……。これで、不可になったらどうしよう?!
怖くて、足が……。
「花井、お前はここにいろ」
課長は、そう言って担当の由良田さんと一緒に場所を出て行った。
どうしよう……。
「お茶、どうぞ」
「あ……。どうしよう……。私、私……」
「大丈夫ですから。ね? なんとか、なりますよ。きっと……」
そうだろうか?
課長のあの顔を見たら……。
課長は、部署を出て一時間位で戻ってきた。
「あの……」
「言うな。お前は、何も悪くないから」
どうしよう……。
ここに入って、幾つかミスは犯した事はあるけれど、ここまで大きいのはなかった。
「怖い……」
「大丈夫だから……。お前は、このまま家に帰れ。荷物は後で持ってくから」
「……。」
課長に部屋まで送って貰ったけれど、私はソファに座ったまま動けずにいた。
時間だけが、刻々と過ぎ、夕方になっても課長は戻って来なかった。
「ただいま。瑠……花井?」
おかしい。部屋が暗い。
廊下の灯りをつけても、花井の声もエリーの声も聞こえない。
「花井?」
花井は、いた。ソファの上で、小さくなって座っていた。
「ごめんな……さい。ごめんなさい。私、どうして……どう……」
課長?なんで……私……。
「もう何も言うな。言わなくていい。謝らなくていいから。自分をそう責めるな……」
課長の大きな手が、私の身体を……。
「ごめんなさい……。わぁぁぁぁっ!!」
泣いた。課長の胸に思いっきり顔を埋めた。
あのクズ男に別れを告げられても泣かなかったのに……。
課長……。
泣き疲れたのか、私はそのまま寝てしまったらしい。
課長が着ていたシャツの袖を硬く握りしめたまま……。
「あー、腰痛い」
「すみません」
「花井、珈琲」
「はい」
朝のリビングで、まだ目の腫れた私と腰を押さえる課長。
ニャウッ!!
「あー、はいはい。ご飯、あげるから待ってて! エリー」
ニャッ!!
時間差で、出社した。周りの視線が、ちょっと気になったけど、プレゼン頑張った結果……。
「獲れた! これで、五億が俺の物だーーーっ!!」
いや、会社のものですよ?
課長と由良田さんが、どんな話し合いをしたのか知らないけれど、うちの会社が勝ち獲れた。
「良かったなー、花井!」
???
私、怖くて、震えて、泣いて、何もしてませんよ?
そのプレゼンが終わって、一週間後のクリスマスイブ。
「あ、あの課長?」
「なんだ?」
「こ、これは、一体?」
「見てわからんか? お前へのクリスマスプレゼントだが?」
いやいやいや。
明らかに違う人数の量ですよね?これ!!
「近藤さま、こちらで全部になります」
は?様?!とは?
「どうした? これじゃ、足らんか? 足らんなら、買いに行くが?」
「だ、大丈夫です……。か、課長」
やっぱ課長の金銭感覚おかしいって!!
何をどうしたら、こうなるの?!
お店でも開けと?
私の部屋が……、いや、エリー嬢の部屋が荷物で溢れていく!!
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