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「あっ……んんっ……あっ……」

「いいよ、凛……その顔たまらない」

 こうして田中はんの部屋で肌を重ねるのも何度目だろう?ホテルの時もあるけれど……。

「いいよ、もっとだ。もっと……」

 子宮の奥をガンガン突かれて、身体中が痺れていく。

 パチンッパチンッと肌が打たれ、

「あぁっ……あぁっ……啓吾……はっ……あっ」

「凛、そろそろか? イキたいのか?」

 普段の声とは違うあなたの声に私の身体は、支配されていく……。

「おねが……あんっ……んっ……んんっ……」

 踏ん張っている手が、震えだす。

「凛? いくぞ? おらぁ、いいか? 凛……っく」

 あなたの動きが止まり、私の中で放たれたモノが脈を打っているのがわかる。

「いいよ、凛。お前だけだ……」

 高校も3年になると、授業らしいものはなく、こうして早く終わった日には、田中さんと会う回数も増えてきた。もちろん、家庭教師もお願いしている。

「やっ、そんなとこマジマジ見ないで……」

「いいじゃん。見たいんだし」

 私の中から溢れ出たあなたのモノ。その部分を丁寧に拭き上げてくれるあなた……。

「好きよ……」

「ありがと、凛」

 最初の頃は、好きと言ってくれた言葉は今はないけれど。一緒にいると落ち着くと、あなたはそう言って笑う。

「大丈夫? お仕事、抜けたりして……」

「抜けるも何も、俺外勤だからね? 時間は、調整出来るよ」

 お姉ちゃんの職場とは違うからなのかな?

「啓吾さん……」

「ん?」

 会う度に、こうして、身体を重ねる度に、私はあなたに惹かれてく。

「次、いつ会える?」

「次って、明日行くけど? 勉強教えに……」

「……もぉっ! バカッ!」

 頬を膨らまし拗ねるポーズをとっても、抱きしめられると……。

「週末は、卯月と式場見に行くから、その前か後か?」

「長い……」

「しょうがないさ。出来ちゃったから……」

 結婚の約束は、しているものの、まだお姉ちゃん達は早まるとは思わなかった。

 でも、お姉ちゃんに赤ちゃんが出来て……。お腹が、大きくならない内にと早々に決まった。

「赤ちゃん、か」

「凛に出来たら、俺殺されるな」

 そう言って笑う田中さん。田中さんと付き合うようになって、私はお姉ちゃんに“生理不順”だからと産婦人科でピルを処方してもらった。

 チュッ……おでこにキス。

「さ、早く着替えなさい。帰りに甘いものでも食ってくか?」

「うん。アデロのスフレ食べたい……」

 制服に着替えて、スーツ姿の田中と部屋を出る。

「こら、危ないって……」

 誰もいない駐車場で、抱きついたりしても、ここは、ある意味死角になっているから……。

 いつものように車に乗って、目的地のアデロに向かった。

「……。凄いね……」

「だって、お昼食べさせてくれなかったし……」

 学校終わって、途中迎えに来てもらって、そのままだったし……。

「それは、悪かった。この通り!」

 スフレだけではなく、ナポリタンとサンドイッチも頼んで、それをちゃんと食べてる私に田中さんは、ちょっと引きつっていた。

「卯月、どう? 飯、食ってる?」

「ん? 食べてるよ、普通に。なんか、つわりっての? 軽いみたいだよ」

 ふたりで会ってる時にお姉ちゃんの話はしたくないけど……。

「じゃぁさ……」

 周りに聞こえないように、声を潜めて……。

「次、新しく出来たホテル連れてってくれる?」

「は? いや、いいけど……」

「市内じゃないから、誰かに見つかる心配もないし……」

「じゃ、明後日の木曜日。その日、確か卯月いないだろ?」

 お姉ちゃんは、先にママになったお友達の結婚式に招待されてて留守。

「泊まりでいい?」

「いいよ。その変わり……」

「明日のテスト頑張ります!」

 家の近くまで送ってもらって、私は家に、田中さんは、仕事に戻った。


「ただいまっと。お姉ちゃん、かえってくる間に咲きに洗濯物タタンでおかないと……」

 ベランダに干した洗濯物を1つ1つ洗濯カゴの中に入れて、畳んでから部屋に置いていく。

 お姉ちゃんの部屋。久しぶりに入っだけど、物が増えてきたかな?

「これなんだろ?」

 小さな毛糸が入ったかごとベジーグッズという雑誌が、ベッドに置かれていた。

「あぁ、靴下か! 赤ちゃんの足ってこんなに小さいんだ」

 お姉ちゃんが、ママになるんだ。

「よし、次は掃除だ! 頑張るぞ!」

 和室に置いてある掃除機を引張りだして、全ての部屋の掃除を終わらせた。時には、汗が……。

「まだ、5月にもなってないのに……。あ、連休どうしようかなぁ?」

 去年は、お姉ちゃんと熱海に行った。会社の保養所ってとこ。

 そんな事を考えてたら、柿沢くんからPAINが届いた。

〘明日、学校おわった、みんなと参考書見にいかん?〙と……。

 家庭教師の時間は、夕方の6時からだから、オッケーの返信をして、少し話した。

 そう言えば、柿沢くんとも最近は話すようにはなったかな?お友達として。

 ご飯は、簡単に出来る麻婆茄子の素を使って、お味噌汁はちゃんと作ったし、サラダも作ったら、お姉ちゃん泣き出した。

「……。」

 いや、あの、普通に作ったたけだし?

 いや、何故、そこまで?

 写真撮って、どこに送った?!

「嬉しいんだもん。あなたが、ここまで出来るようになっただなんて……」

 褒められてるのか、バカにされてんのか、複雑な乙女心。

「さ、赤ちゃんの為に食べるよ! お姉ちゃんだけど……」

 妊娠すると、涙もろくなるのが普通なのかな?
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花雨
2021.08.12 花雨

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