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学校が、春休みになると……。
「終わった?」
「もうちょっと……」
「里美は?」
「終わったぁぁぁっ!」
課題、課題の嵐なスケジュールになる。
お互い家でやると集中出来ないから、用事がない限り、こうして友達の家でやったりする。
「次、何する?」と言えば、
「えぇぇ、まだやるのぉ?!」
「ちょっと休憩しようよぉ!!」となる。
因みに、今日は私の家。お姉ちゃんは、お仕事!
午前の内から集まり、途中でお昼を食べたり、持ち寄ったお菓子を食べたり、お喋りしたり……。
「あと、現国だけじゃん。今日は……」
「まだ時間あるじゃぁん! お菓子食べようよぉ!」
翔子や里美が煩く騒ぐから、一旦休憩。
全員、思い思いの楽な格好で……。
「ね、知ってた? 音楽の香川、またお見合い断られたんだってぇ!!」
「マジ?」
井戸端会議のご婦人並みに、うちら女子高生も噂好き。
ピピッ……軽い音が流れる。
「あ、PAINだ……」
一瞬、田中さん?かと思ったら、私ではなく、優愛だった。しかも、それぞれPAIN始めるし。
「ね、凛って、まだ好きな人いないんだよね?」と翔子が聞いてきた。
「そうだけど? なんで?」
好きな人はいるけど、その人はお姉ちゃんの婚約者なんて言える訳もなく、いないと答えた。
「3組の柿沢直人って知ってる?」
「知らない」
「は? 柿沢? やめたほういいよ。あいつ、タラシだから!」と優愛が言う。
「タラシ?」
初めて聞く言葉だった。
「で、その柿沢くんがどうかしたの?」
「好きなんだって。凛の事……」
まさに、寝耳に水!私のことを好きな男の子なんて、いないと思っていたから。
「凛? タラシってのはね?」里美がそっと耳打ちしてくれたけど……。
「どうする? 1度会ってみる?」
「……でも」
里美の言うとおり、女の子と付き合っては、すぐ別れたり、えっちな事をしては、ポイと捨ててしまうのか?
「か、考えてみる……」
「だよねぇ。男は慎重に選ばないと……」
「「うん、うん……」」
私以外、みんな誰かしらと付き合ってたりするし。
その後は、本当に勉強して、お姉ちゃんが帰ってくる7時には、解散した。
まぁ、柿沢くんと会うことはないだろう、と思っていたのに……。
「えぇと、なんで、うちに?」
「どもっ! ね、凛ちゃん、今日暇?」
チャイムが鳴って、お姉ちゃんが出たけど、友達と言うから出たけど……。
「ん? 学年クラス名簿に住所載ってるからね。で、今日、暇?」
「いや、暇じゃないけど……」
「ね? じゃ、さ、駅南にあるマンハッタン行かね?」
「うっ……」
なんとなく、お姉ちゃんが聞き耳を立ててるのが分かって……。
「ちょっとだけなら……」と慌てて支度して、柿沢くんと出掛ける事に。
柿沢くんは、黒のチノパンにNELWYのシャツを着ていた。
同じのを田中さんが……。
「そのシャツいいね……」
道を歩きながら、服の事を言ったらかなり嬉しそうに笑った。
「凛ちゃんの服、ベイルのだろ?」
「うん。お姉ちゃんのお古だけど……」
「お姉さん、きれいだよね! 凛ちゃんとなんか似てるし……」
「そうかな?」
あまりそう言うことを言われ慣れてない私は、急にドキドキしてきた。
暫く歩くとマンハッタンの派手な看板がチラホラ……。
「柿沢くんは、マンハッタンに来たことあるの?」
店内も外装もピンク1色なのに、店名が何故マンハッタンなのかは、わからないけど……。
「一昨日、妹に連れてかれた。だから、今度は他の子と行ってみたくてな……。あ、お金はちゃんと払うから!」
平日でも春休み!同じ学校の子に会わないかヒヤヒヤしたけど、誰にも合わなかった。
「凛ちゃん、どれにする?」
このお店のメインは、パンケーキらしい。しかも、そのトッピングがウリときてるのか、種類が半端なかった。
「じゃ、ストロベリーアイスとバニラ。トッピングは、カラースプレーで! 柿沢くんは?」
私は散々悩んだのに、柿沢くんは事前にくるだけあって、スラスラとお願いしていた。
でも、誘われただけの事はあった。パンケーキは、ふわっふわっだし、アイスほ果物の味が口全体に広がって……。
「おいっしぃっ!!」の一言しか出ないっ!
今度、お姉ちゃんと来よう!
田中さんとも来たいな。
「ふふっ……」
なんとなく視線を感じて、柿沢くんを見ると、ハッとしたのか目をそらした。
「ご、ごめん……」
「ん? ね、柿沢くんのチョコミントちょっと貰っていい?」
「う、うん……。どうぞ……」
食べかけのアイスだったから、口をつけてない反対側から……。
「おおっ、ミントが濃い。どしたの?」
「いや、こんなに可愛いとは……」
「へ?」
女の子の口から、そんな言葉が出てしまう位、なんか柿沢くん、私に対して可愛いとしか言ってない?
「んなことないよ。うちのクラスで、可愛いのは、香織だもん」
香織は、2年の文化祭で、クラス毎の“彼女にしたいコンテスト”で1位を取ったから。
「凛?」
「ん?」
「これ食べたらさ、港の方位かね?」
「別にいいけど? ごちそうさま。美味しかったぁ!」
柿沢くんも慌てて食べて、パンケーキでムセたけど……。
「ありがとうございましたぁ!」の店員さんの元気な声で見送られて、マッターホルンをあとにした。
15分位歩いた。
学校の話や柿沢くんの妹さんの話、私のお姉ちゃんのこととか、話してる内に着いた。
「す、座ろうか?」
「うん」
空いたベンチにふたり腰掛けて、なんとなく海を見ていた。
「きょ、今日は、付き合ってくれてありがとうな」
「うん。まさか、家に来るとは思わなかったから……」
「ごめん。それは、ほんと謝る。ごめん! けどな……」
水平線に船が……。
地球って、ほんとに丸いのかな?なんて思ってた。
「俺……。凛、お前が好きだ!」
突然の告白に、時間が止まって柿沢くんの顔を見た。
真っ赤だ……。
耳まで……。
「でも……」
どう答えたらいいんだろう?
「好きな奴とかいるのか?」
「じゃ、ないけど……」
お姉ちゃんの婚約者が、好きだと言える訳もなく……。
「ごめん……。まだ、正直わかんなくって。友達からじゃ駄目かな?」
「……いいの? 俺、バンバン遊びに誘うよ? あ、勿論受験生だから頻繁には無理だけど……」
「うん。それならいいよ。今日、楽しかったし……。ね、あっちの灯台の方行ってみる? 人が、いるし……」
話を反らすように、灯台を指差し、柿沢くんの手を取った。
お、落ち着け私!
ドクンッドクンッと胸が早く鳴ってるのを聞かれやしないか?と妙に早口になってしまったけど、柿沢くんはボーッとしたり、で、こちらも落ち着かない素振り。
「へぇ、中に入れるんだ。入ってみる? 時間大丈夫?」
時間って、まだ午後の3時じゃん!
2人分の料金を払って(柿沢くんが!)中に入った。
「凄いね。遠くまで見える……」
「だね……。あそこの崖のとこ、見える?」
「うん。見える。なんかあるの?」
「う、うん。そ、それは、今度連れてってやる……」
なんでまた、顔を赤くするのかなぁ?おかしな、柿沢くんだ。
中で飲み物を買って、夕陽が沈むのを見てたら、なんだろう?涙が出てきた。初めてだ、こんなの……。
「大丈夫? 俺、凛に嫌われるようなことした?」
そう心配されたけど、自分でもなんで涙が出たのかわからない。
「夕陽見てたらなんか……」
「あぁ、それな。俺もここで初めて見たとき、涙が出たよ……。でも、良かった、それで……」
自分でも不思議だった。隣にいる柿沢くんが、どうしてこんなに気になるのか……。
帰りは、何故か手を繋いで家まで送ってくれたし、PAINの交換までしたし……。
「今日は、どうもありがとう。楽しかった」
「うん。俺も今日凛と会えて良かった……」
お互い手を繋げたまま、門の中で……。
「「……。」」
「コホンッ! いつまで、そうしてるのかな? 君たちは……」
「「っ!!」」
「じゃ、じゃ、あとで連絡するから! おやすみ! 失礼しました!」
お姉ちゃんと田中さん。田中さんは、仕事帰りなのか、スーツだった。
「ほら、寒いから早く家に入りなさい……」
「はぁい! あ、おかえり、お姉ちゃんと田中さん!」
一瞬、田中さんと目があって、恥ずかしくなった。
「終わった?」
「もうちょっと……」
「里美は?」
「終わったぁぁぁっ!」
課題、課題の嵐なスケジュールになる。
お互い家でやると集中出来ないから、用事がない限り、こうして友達の家でやったりする。
「次、何する?」と言えば、
「えぇぇ、まだやるのぉ?!」
「ちょっと休憩しようよぉ!!」となる。
因みに、今日は私の家。お姉ちゃんは、お仕事!
午前の内から集まり、途中でお昼を食べたり、持ち寄ったお菓子を食べたり、お喋りしたり……。
「あと、現国だけじゃん。今日は……」
「まだ時間あるじゃぁん! お菓子食べようよぉ!」
翔子や里美が煩く騒ぐから、一旦休憩。
全員、思い思いの楽な格好で……。
「ね、知ってた? 音楽の香川、またお見合い断られたんだってぇ!!」
「マジ?」
井戸端会議のご婦人並みに、うちら女子高生も噂好き。
ピピッ……軽い音が流れる。
「あ、PAINだ……」
一瞬、田中さん?かと思ったら、私ではなく、優愛だった。しかも、それぞれPAIN始めるし。
「ね、凛って、まだ好きな人いないんだよね?」と翔子が聞いてきた。
「そうだけど? なんで?」
好きな人はいるけど、その人はお姉ちゃんの婚約者なんて言える訳もなく、いないと答えた。
「3組の柿沢直人って知ってる?」
「知らない」
「は? 柿沢? やめたほういいよ。あいつ、タラシだから!」と優愛が言う。
「タラシ?」
初めて聞く言葉だった。
「で、その柿沢くんがどうかしたの?」
「好きなんだって。凛の事……」
まさに、寝耳に水!私のことを好きな男の子なんて、いないと思っていたから。
「凛? タラシってのはね?」里美がそっと耳打ちしてくれたけど……。
「どうする? 1度会ってみる?」
「……でも」
里美の言うとおり、女の子と付き合っては、すぐ別れたり、えっちな事をしては、ポイと捨ててしまうのか?
「か、考えてみる……」
「だよねぇ。男は慎重に選ばないと……」
「「うん、うん……」」
私以外、みんな誰かしらと付き合ってたりするし。
その後は、本当に勉強して、お姉ちゃんが帰ってくる7時には、解散した。
まぁ、柿沢くんと会うことはないだろう、と思っていたのに……。
「えぇと、なんで、うちに?」
「どもっ! ね、凛ちゃん、今日暇?」
チャイムが鳴って、お姉ちゃんが出たけど、友達と言うから出たけど……。
「ん? 学年クラス名簿に住所載ってるからね。で、今日、暇?」
「いや、暇じゃないけど……」
「ね? じゃ、さ、駅南にあるマンハッタン行かね?」
「うっ……」
なんとなく、お姉ちゃんが聞き耳を立ててるのが分かって……。
「ちょっとだけなら……」と慌てて支度して、柿沢くんと出掛ける事に。
柿沢くんは、黒のチノパンにNELWYのシャツを着ていた。
同じのを田中さんが……。
「そのシャツいいね……」
道を歩きながら、服の事を言ったらかなり嬉しそうに笑った。
「凛ちゃんの服、ベイルのだろ?」
「うん。お姉ちゃんのお古だけど……」
「お姉さん、きれいだよね! 凛ちゃんとなんか似てるし……」
「そうかな?」
あまりそう言うことを言われ慣れてない私は、急にドキドキしてきた。
暫く歩くとマンハッタンの派手な看板がチラホラ……。
「柿沢くんは、マンハッタンに来たことあるの?」
店内も外装もピンク1色なのに、店名が何故マンハッタンなのかは、わからないけど……。
「一昨日、妹に連れてかれた。だから、今度は他の子と行ってみたくてな……。あ、お金はちゃんと払うから!」
平日でも春休み!同じ学校の子に会わないかヒヤヒヤしたけど、誰にも合わなかった。
「凛ちゃん、どれにする?」
このお店のメインは、パンケーキらしい。しかも、そのトッピングがウリときてるのか、種類が半端なかった。
「じゃ、ストロベリーアイスとバニラ。トッピングは、カラースプレーで! 柿沢くんは?」
私は散々悩んだのに、柿沢くんは事前にくるだけあって、スラスラとお願いしていた。
でも、誘われただけの事はあった。パンケーキは、ふわっふわっだし、アイスほ果物の味が口全体に広がって……。
「おいっしぃっ!!」の一言しか出ないっ!
今度、お姉ちゃんと来よう!
田中さんとも来たいな。
「ふふっ……」
なんとなく視線を感じて、柿沢くんを見ると、ハッとしたのか目をそらした。
「ご、ごめん……」
「ん? ね、柿沢くんのチョコミントちょっと貰っていい?」
「う、うん……。どうぞ……」
食べかけのアイスだったから、口をつけてない反対側から……。
「おおっ、ミントが濃い。どしたの?」
「いや、こんなに可愛いとは……」
「へ?」
女の子の口から、そんな言葉が出てしまう位、なんか柿沢くん、私に対して可愛いとしか言ってない?
「んなことないよ。うちのクラスで、可愛いのは、香織だもん」
香織は、2年の文化祭で、クラス毎の“彼女にしたいコンテスト”で1位を取ったから。
「凛?」
「ん?」
「これ食べたらさ、港の方位かね?」
「別にいいけど? ごちそうさま。美味しかったぁ!」
柿沢くんも慌てて食べて、パンケーキでムセたけど……。
「ありがとうございましたぁ!」の店員さんの元気な声で見送られて、マッターホルンをあとにした。
15分位歩いた。
学校の話や柿沢くんの妹さんの話、私のお姉ちゃんのこととか、話してる内に着いた。
「す、座ろうか?」
「うん」
空いたベンチにふたり腰掛けて、なんとなく海を見ていた。
「きょ、今日は、付き合ってくれてありがとうな」
「うん。まさか、家に来るとは思わなかったから……」
「ごめん。それは、ほんと謝る。ごめん! けどな……」
水平線に船が……。
地球って、ほんとに丸いのかな?なんて思ってた。
「俺……。凛、お前が好きだ!」
突然の告白に、時間が止まって柿沢くんの顔を見た。
真っ赤だ……。
耳まで……。
「でも……」
どう答えたらいいんだろう?
「好きな奴とかいるのか?」
「じゃ、ないけど……」
お姉ちゃんの婚約者が、好きだと言える訳もなく……。
「ごめん……。まだ、正直わかんなくって。友達からじゃ駄目かな?」
「……いいの? 俺、バンバン遊びに誘うよ? あ、勿論受験生だから頻繁には無理だけど……」
「うん。それならいいよ。今日、楽しかったし……。ね、あっちの灯台の方行ってみる? 人が、いるし……」
話を反らすように、灯台を指差し、柿沢くんの手を取った。
お、落ち着け私!
ドクンッドクンッと胸が早く鳴ってるのを聞かれやしないか?と妙に早口になってしまったけど、柿沢くんはボーッとしたり、で、こちらも落ち着かない素振り。
「へぇ、中に入れるんだ。入ってみる? 時間大丈夫?」
時間って、まだ午後の3時じゃん!
2人分の料金を払って(柿沢くんが!)中に入った。
「凄いね。遠くまで見える……」
「だね……。あそこの崖のとこ、見える?」
「うん。見える。なんかあるの?」
「う、うん。そ、それは、今度連れてってやる……」
なんでまた、顔を赤くするのかなぁ?おかしな、柿沢くんだ。
中で飲み物を買って、夕陽が沈むのを見てたら、なんだろう?涙が出てきた。初めてだ、こんなの……。
「大丈夫? 俺、凛に嫌われるようなことした?」
そう心配されたけど、自分でもなんで涙が出たのかわからない。
「夕陽見てたらなんか……」
「あぁ、それな。俺もここで初めて見たとき、涙が出たよ……。でも、良かった、それで……」
自分でも不思議だった。隣にいる柿沢くんが、どうしてこんなに気になるのか……。
帰りは、何故か手を繋いで家まで送ってくれたし、PAINの交換までしたし……。
「今日は、どうもありがとう。楽しかった」
「うん。俺も今日凛と会えて良かった……」
お互い手を繋げたまま、門の中で……。
「「……。」」
「コホンッ! いつまで、そうしてるのかな? 君たちは……」
「「っ!!」」
「じゃ、じゃ、あとで連絡するから! おやすみ! 失礼しました!」
お姉ちゃんと田中さん。田中さんは、仕事帰りなのか、スーツだった。
「ほら、寒いから早く家に入りなさい……」
「はぁい! あ、おかえり、お姉ちゃんと田中さん!」
一瞬、田中さんと目があって、恥ずかしくなった。
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