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「凛、これなんかどう?」
季節は、もうすぐバレンタイン!
昨日、お姉ちゃんが本屋で買ったバレンタインチョコレートの本をふたりで見てる。
「こっちのは? これなら、切り分けて友チョコに出来るし……」
「そうねぇ……」
本を見てお姉ちゃんは、ちょっと嬉しそうに笑ったのは、田中さんの事を考えてるからかな?
私も田中さんの事が好きだけど、それはお姉ちゃんにも田中さんにも言えない。なのに……。
キスしちゃったんだよね。自分が、あんな大胆な行動をするとは思わなかったし。まして、風邪で寝込んでた人相手に……。
「凛、あなたは決まったの?」
そう聞かれて、ボォッとしてたことに気付き、慌ててページを捲った。
「あなたもいつかは、好きな人に贈るんだから、自分で出来るようにならないとね……」
そうお姉ちゃんは言ったけど、いつもお姉ちゃんが手伝ってくれる。
「そ、そうだね。じゃ、いつ材料買いに行く?」
そんな予定を立てた翌日……。
「いい? あまり無駄遣いしないのよ?」
「うん、わかった」
友達とミスミのバレンタインフェスタに行くと行ったら、お小遣いを貰った。
お姉ちゃんは、お姉ちゃんで、田中さんとデート……。
「じゃ、行ってくるね!」
「気を付けるのよー!」
玄関で見送られ、私は優愛達と待ち合わせにしたバルックスに向かった。
行きたい所は、高校へ向かう途中の駅付近にあるからどれも行きやすい。だから、ここもお気に入りのカフェ。
「待った?」
「全然!」
「うん。貯金前に来たとこー」
女子高生3人でも、ひとたび喋れ場周りからしたら煩く感じる。温かい飲み物を買って、それぞれ手に持ちながらミスミへ。
「今日って、初日だっけ?」
「ううん。もう1週間たってるよ……」
「……だよね?」
フェスタの会場は、異様な混み具合で、年明けにやる福袋の売り場よりも凄かった。
「あっ、これじゃない?」
優愛が、入り口に立ってた看板を指差す。
「バレンタインディナー? へぇ……」
「あぁ、凛だぁっ!」と大きな声と共に後ろからタックルされ、躓きそうになった。
「「香織に翔子ー?!」」
クラスは違うが、同じ高校2通うお友達。
女子高生5人で、中を周るも……。
一通り見て、それぞれ気になったチョコレートを買って、出た頃には冬なのに軽く汗が……。
「まぁ、抽選にはハズレちゃったけど……」
「そのハズレでも……」
「リュウ·シマムラのチョコレート!」
「来て良かったよねぇ!!」
久々の休み!
何故、うちの学校はこうもテストが多いのか?いつも、悩む。土日でもテストで学校行ったりもするのに。
近くのファミレスで、軽くランチしたり、本屋で参考書を選んだり、お店巡りをした。
お互いチラチラとスマホを見つつ……。
「彼氏?」と聞けば、「違うよ」と返す子もいれば、私には誰もが、「お姉ちゃん?」としか聞いてくれない。
ま、今日は、その田中さん、お姉ちゃんとデートしてるから、PAINはなかった。
「凛、彼氏出来たらさ、気をつけなよ?」
「何を?」
「アレよ、アレ……」
アレ?アレとは?
「まだ、早いんじゃね? 凛には……」
なんで、みんなして私を見て笑うの?
「ひ、に、ん!」
ひにん?避妊?はっ!?
「えっ? まさか?」
たじろぐ私に、私を見て笑う4人。
「もしかして、もうみんなしたの?」
いくらなんでも女子高生。そんな恥ずかしい事を大きな声で出来ず……。
そんな話を近くに住んでいた翔子の家でするだなんて……。
みんな経験するの早くない?
「……はぁっ」
家に帰っても、なんかまだ胸がドキドキしてる。
もし、田中さんとそんなことには……。
ならないだろうけど……。
お姉ちゃんの婚約者だからね。いずれは、私のお義兄さんになる人だし。
「今年は、受験生だから……」
大学生になっても、1人だったらどうしよう。そんな事を思ってた時、田中さんからPAINが届いてバレンタインのデートを前日の13日にすることになった。
「今週末は、忙しいな」
お姉ちゃん、有給取って3連休にしたって喜んでたし、最終日はバレンタイン当日で田中さんとデート。
好きな人がいると、あぁも嬉しくなるんだなって、時々、お姉ちゃんが羨ましくなる。
「ね? うちら、今年受験生だよね?」
「うん」
「授業、終わったっけ? カリキュラムどうなってる?」
学校に行くと黒板に張られた今月の予定。月末までビッシリテスト!授業なんて、あまりない。
「書いてある。ほぼテスト。来月、卒業式あるけど、そっちに授業入ってるのか……」
溜息やらうんざりする声が、教室内に出る。
「3年になったら、テストと授業が交互にやってくる」
無言で互いを見て、大きな溜息をついた。
「へぇ、そんなにテストあるの? あ、そこ違うね? 答えは、S89だよ……」
今週は、何故か毎日家庭教師として田中さんがやってきてる。
理由は、簡単!お姉ちゃんが、呼んだから!受験生だからね……。
でも、会えるのは嬉しいから苦手な数学でも頑張る。
「そろそろ、夕飯だね。今夜は、なにかなぁ?」
この田中さんのニヤケ顔。お互い相思相愛で、結婚をする仲。余程、お姉ちゃんのお料理が好きなのか、一人暮らしで家庭料理に餓えてるのか……。
下からお姉ちゃんが、ご飯だよと知らせてきて、子供みたいに田中さん階段を降りて、うるさいと注意されたし……。
「だって、うっちゃんの料理、うまいもん! おかわり!」
「はいはい」
「私の分、残しといて下さいね! 私もお姉ちゃんの炊き込みご飯好きなんだから!」
お婆ちゃんは、まだ入院してるけど、叔父さんから沢山野菜やら海の幸を頂いて、今夜はかなり豪勢なおかず。
「俺、鰤って煮るか焼くかしか知らない。刺し身初めて食う」
普通にスーパーに売ってるけど、知らないのかな?ま、仕事終わる頃には閉まってるだろうけど。
「多く作りすぎたから、少し包むわ」
「感謝!」
炊き込みご飯以外で!!
夕飯をしっかり3杯もおかわりして、お姉ちゃんのお手伝いと私の勉強も見てくれた田中さんは、お姉ちゃんが用意してくれたおかずを嬉しそうに持ち帰った。
「なんか、アレだね。田中さん、お姉ちゃんからチョコレート貰ったら……」
「鼻血出したわ。誕生日プレゼント渡しただけで……」
「……。子供だ」
「そうね、大きな子供だわね」
二人して笑う。お姉ちゃんが、田中さんを好きになったのが、わかる!
「なんかねぇ、頼りないのよねぇ。どこか……。」
そこから、何故かお姉ちゃんと田中さんが、付き合うようになった経緯を聞かされた……。
季節は、もうすぐバレンタイン!
昨日、お姉ちゃんが本屋で買ったバレンタインチョコレートの本をふたりで見てる。
「こっちのは? これなら、切り分けて友チョコに出来るし……」
「そうねぇ……」
本を見てお姉ちゃんは、ちょっと嬉しそうに笑ったのは、田中さんの事を考えてるからかな?
私も田中さんの事が好きだけど、それはお姉ちゃんにも田中さんにも言えない。なのに……。
キスしちゃったんだよね。自分が、あんな大胆な行動をするとは思わなかったし。まして、風邪で寝込んでた人相手に……。
「凛、あなたは決まったの?」
そう聞かれて、ボォッとしてたことに気付き、慌ててページを捲った。
「あなたもいつかは、好きな人に贈るんだから、自分で出来るようにならないとね……」
そうお姉ちゃんは言ったけど、いつもお姉ちゃんが手伝ってくれる。
「そ、そうだね。じゃ、いつ材料買いに行く?」
そんな予定を立てた翌日……。
「いい? あまり無駄遣いしないのよ?」
「うん、わかった」
友達とミスミのバレンタインフェスタに行くと行ったら、お小遣いを貰った。
お姉ちゃんは、お姉ちゃんで、田中さんとデート……。
「じゃ、行ってくるね!」
「気を付けるのよー!」
玄関で見送られ、私は優愛達と待ち合わせにしたバルックスに向かった。
行きたい所は、高校へ向かう途中の駅付近にあるからどれも行きやすい。だから、ここもお気に入りのカフェ。
「待った?」
「全然!」
「うん。貯金前に来たとこー」
女子高生3人でも、ひとたび喋れ場周りからしたら煩く感じる。温かい飲み物を買って、それぞれ手に持ちながらミスミへ。
「今日って、初日だっけ?」
「ううん。もう1週間たってるよ……」
「……だよね?」
フェスタの会場は、異様な混み具合で、年明けにやる福袋の売り場よりも凄かった。
「あっ、これじゃない?」
優愛が、入り口に立ってた看板を指差す。
「バレンタインディナー? へぇ……」
「あぁ、凛だぁっ!」と大きな声と共に後ろからタックルされ、躓きそうになった。
「「香織に翔子ー?!」」
クラスは違うが、同じ高校2通うお友達。
女子高生5人で、中を周るも……。
一通り見て、それぞれ気になったチョコレートを買って、出た頃には冬なのに軽く汗が……。
「まぁ、抽選にはハズレちゃったけど……」
「そのハズレでも……」
「リュウ·シマムラのチョコレート!」
「来て良かったよねぇ!!」
久々の休み!
何故、うちの学校はこうもテストが多いのか?いつも、悩む。土日でもテストで学校行ったりもするのに。
近くのファミレスで、軽くランチしたり、本屋で参考書を選んだり、お店巡りをした。
お互いチラチラとスマホを見つつ……。
「彼氏?」と聞けば、「違うよ」と返す子もいれば、私には誰もが、「お姉ちゃん?」としか聞いてくれない。
ま、今日は、その田中さん、お姉ちゃんとデートしてるから、PAINはなかった。
「凛、彼氏出来たらさ、気をつけなよ?」
「何を?」
「アレよ、アレ……」
アレ?アレとは?
「まだ、早いんじゃね? 凛には……」
なんで、みんなして私を見て笑うの?
「ひ、に、ん!」
ひにん?避妊?はっ!?
「えっ? まさか?」
たじろぐ私に、私を見て笑う4人。
「もしかして、もうみんなしたの?」
いくらなんでも女子高生。そんな恥ずかしい事を大きな声で出来ず……。
そんな話を近くに住んでいた翔子の家でするだなんて……。
みんな経験するの早くない?
「……はぁっ」
家に帰っても、なんかまだ胸がドキドキしてる。
もし、田中さんとそんなことには……。
ならないだろうけど……。
お姉ちゃんの婚約者だからね。いずれは、私のお義兄さんになる人だし。
「今年は、受験生だから……」
大学生になっても、1人だったらどうしよう。そんな事を思ってた時、田中さんからPAINが届いてバレンタインのデートを前日の13日にすることになった。
「今週末は、忙しいな」
お姉ちゃん、有給取って3連休にしたって喜んでたし、最終日はバレンタイン当日で田中さんとデート。
好きな人がいると、あぁも嬉しくなるんだなって、時々、お姉ちゃんが羨ましくなる。
「ね? うちら、今年受験生だよね?」
「うん」
「授業、終わったっけ? カリキュラムどうなってる?」
学校に行くと黒板に張られた今月の予定。月末までビッシリテスト!授業なんて、あまりない。
「書いてある。ほぼテスト。来月、卒業式あるけど、そっちに授業入ってるのか……」
溜息やらうんざりする声が、教室内に出る。
「3年になったら、テストと授業が交互にやってくる」
無言で互いを見て、大きな溜息をついた。
「へぇ、そんなにテストあるの? あ、そこ違うね? 答えは、S89だよ……」
今週は、何故か毎日家庭教師として田中さんがやってきてる。
理由は、簡単!お姉ちゃんが、呼んだから!受験生だからね……。
でも、会えるのは嬉しいから苦手な数学でも頑張る。
「そろそろ、夕飯だね。今夜は、なにかなぁ?」
この田中さんのニヤケ顔。お互い相思相愛で、結婚をする仲。余程、お姉ちゃんのお料理が好きなのか、一人暮らしで家庭料理に餓えてるのか……。
下からお姉ちゃんが、ご飯だよと知らせてきて、子供みたいに田中さん階段を降りて、うるさいと注意されたし……。
「だって、うっちゃんの料理、うまいもん! おかわり!」
「はいはい」
「私の分、残しといて下さいね! 私もお姉ちゃんの炊き込みご飯好きなんだから!」
お婆ちゃんは、まだ入院してるけど、叔父さんから沢山野菜やら海の幸を頂いて、今夜はかなり豪勢なおかず。
「俺、鰤って煮るか焼くかしか知らない。刺し身初めて食う」
普通にスーパーに売ってるけど、知らないのかな?ま、仕事終わる頃には閉まってるだろうけど。
「多く作りすぎたから、少し包むわ」
「感謝!」
炊き込みご飯以外で!!
夕飯をしっかり3杯もおかわりして、お姉ちゃんのお手伝いと私の勉強も見てくれた田中さんは、お姉ちゃんが用意してくれたおかずを嬉しそうに持ち帰った。
「なんか、アレだね。田中さん、お姉ちゃんからチョコレート貰ったら……」
「鼻血出したわ。誕生日プレゼント渡しただけで……」
「……。子供だ」
「そうね、大きな子供だわね」
二人して笑う。お姉ちゃんが、田中さんを好きになったのが、わかる!
「なんかねぇ、頼りないのよねぇ。どこか……。」
そこから、何故かお姉ちゃんと田中さんが、付き合うようになった経緯を聞かされた……。
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