5 / 11
5
しおりを挟む
さようなら、冬休み。
会いたくなかったよ、新学期。
それでも、友達に会うとホッとする。
「ん? 凛、この冬休みにデブッた?」
「……いや?」
「太ったよ、特にここーっ!」
きゃぁぁぁぁっ!なんて、悲鳴をあげても、どこも似たような事をやる女子。一方、男子は、頭をくっつけて課題をやってるのが数人。大半は、喋ってるか、寝てる。
ほんの3週間余りの冬休みだったけど、私にとっては、ドキドキした冬休みでもあった。
田中さんとも普通に会ってるし、勉強も教えて貰っている。
「ね、そういやさ。職員室で先生が話してたんだけど……。」
鞄から、出された課題を机にしまいながら、優愛の話を聞いた。
「へ? 新しい先生って、男?!」
里美が身を乗り出して、こちらの輪の中に入る。羨ましい位に可愛くて、彼氏が途切れた話を聞かない。別れるのも早いけど……。
「ざーんねんでした! 里美の嫌いなタイプの女性よ。」
優愛も和美もクスクス笑って、里美を見返す。
「女の先生かぁ。優しいといいよね。もうすぐ3年だし……。」
予令のチャイムが鳴って、それぞれ席に着く。この学校は、何年か前には体育館で始業式や入学式を行っていたが、何人かの女生徒が貧血で倒れてからは、教室で執り行うようになった。
校長先生の話は、座っていても眠気を感じるような話し方だし、教頭先生は髪の毛が増えた?!ひとりひとり教師の挨拶、用務員さんが出た時は、クラス中が騒ぎ出した。
「はい、おはようございます。」
「「おはようございます。」」
「今日から、新学期ですが……。」と担任の先生の話が始まるも、誰も先生の話なんて耳に入ってるのかどうかな位、皆担任の隣に立っている女の先生に目がいった。
教師なのに、なにあのスーツ!色は、地味目な紺なのに、はちきれないばかりの胸に!ミニスカートからスラリと伸びた脚!
「きれいー」
「美人じゃね?」
「モテそう」
「なるほど……。」
男子や女子から、ため息に混ざった言葉がチラホラ。
私だって、大人になったら……。
大人に……。
好きな人だって……。
田中さんが……。
「……ですので、宜しくお願いします!」
ボォッとしてる間に、新しい先生の自己紹介が終わったらしい。
「ね、あの先生の名前なに?!」
隣でこちらもボォッとしていた夏目くんに聞くと、
「海音先生。渡瀬海音……。」
変わった名前だけど、忘れないように手帳にメモメモ。
課題を順番に担任に渡し終わったら、今度は、渡瀬先生へ自己紹介。
「早坂凛、17歳です。今は、姉と暮らしてます。趣味は、映画を観たり、カフェでお茶することです……。」
「そ、ありがと。あなたが……ね。」
なんとなく冷たい返しだった。男子は、真っ赤な顔で緊張しながらも自己紹介してたけど、一部の女子からの視線が……。
「ま、一種の対抗意識じゃないの?」
「あのスタイルに美人だからねぇ。」
「小林なんて、ジーッと見てたもん。奥さんいるのに!」
小林というのは、うちらの担任の教師。去年結婚したばっかで、もうパパになる。
大掃除は、生徒が中心になってやるけど……。
渡瀬先生の周りには、数人の男子生徒が……。
「あ、凛ー。四つ葉学院の全国模試どうする? 受けるなら、パパに頼むけど?」
2組にいる私の幼馴染の藤堂志摩。お父さんが、四つ葉の学院長をしている。
「優愛らは、どうする?」
優愛も里美もその塾に通っているけど、まだ申し込んではいないらしく、4人分志摩に頼んでおいた。
高校生に5000円はちょっときついけど、私にはまだお年玉がある!
大掃除を終えて、机を並べ終わると、渡瀬先生目当てに数人の男子生徒が、我先にと飲み物を渡す。
「なんなの? あれ……。」
「ははっ……。」
里美が、キッとする顔をしたのも無理はない。最近、付き合い出した彼氏の農くんが、そこにいるのだから。
「あいつ……。許せん!」
私には、彼氏どころか、好きな人すらいないから、そういうのはわからないけど……。
里美と農くん、別れなきゃいいな!
もし、仮に田中さんが、私の彼氏だったら……。
でも、今日は、その田中さんに会える日。お姉ちゃんには、内緒で……。
〘吉兆駅前、12時に待ってるから。学校終わったら、そのままおいで〙と今朝入ったPAIN。お姉ちゃんは、溜息をついて、仕事に。
「じゃ、またねぇ。ばいばーい!」
冬休みの課題を出したのに、また課題を渡された……。
小林ちゃん、鬼だ!
ぶーたれた顔で大好きな田中さんに会う訳にもいかないから、途中のコンビニでお手洗いを借りた。
「あと少し……。」
時間が、ちょっとずつ近づく度に、胸がドキドキして、落ち着かない。
「凛ちゃん!」
少し離れた先から、田中さんの姿が。私は、とても嬉しくて笑顔になった。
「会えた。田中さんに会えた。」
「そう? こんなおじさんだよ?」
田中さんは、首にしてたマフラーを私に掛けてくれて、手を繋いで駅から出る。
「週に何回も会ってるけど、凛ちゃんは、いつも可愛いね……。」
「そんなことは……。でも、そう言われると嬉しいです。」
手を繋ぎながら、街をブラブラする。
「これ、可愛い。」
桜の花を後ろから抱きついてるうさぎのストラップ。
「うさぎ、か。そういや、凛ちゃんって、うさぎ年だっけ? 買う?」
ってことで、買って貰いました。
「そんな喜ばれると、なんか申し訳ないね。」
田中さんは、申し訳なさそうに言ったけど、私には、嬉しかった。
街も駅ビルの中も来月あるバレンタインデーのポスターなんかを貼っていた。
「ここ、入る? 珈琲飲めたよね?」
島田珈琲店。スタバより、ちょっとお高いけど、味は★5なんだ。
奥まった席でオリジナル珈琲とケーキのセットを頼んだ。
店内は静かで、店長さんの趣味なのか?渋めの洋楽が流れてて、凄く落ち着いた。
珈琲もケーキも美味しかった!
「そうだ。凛ちゃんの学校ってさ、暁だよね?」
「うん。そうだよ? なんで?」
「じゃ、さ、今日そこに海音。いや、渡瀬海音って女の先生こなかった?」
っ!?
「来たけど。なんで?」
聞けば、渡瀬先生と田中さんは、同じ大学で同じサークルだったらしい。先輩、後輩の間柄らしいけど。
「そうなん……だ。」
なんだろう?このモヤモヤは……。
「ま、あの海音……っ?」
「こんにちは! えっと、凛さんだっけ?」
「……。」
嘘!なんで、この人がここに?
「啓吾先輩。お久し振りですね。」
「お、おう。ひ、久し振りだな、海音……。」
「ここ、いい?」
返事も聞かず、渡瀬先生は、田中さんの隣に腰掛けて、店員を呼んだ。
「もぉ、先輩ひどいー。こっちに来てるなら、声を掛けてくれてもいいのにー。」
お姉ちゃんとは違う甘えた声?周りのお友達とも違う。
「いや、れ、連絡しようとはしたけど……。な?」
田中さん、なんかたじろいでて……。
「そしたら、海音、すぐ来たのに。」
「田中……さ……。」
「それよりもー……」
っ!?今、睨まれた?
私が、田中さんに何か言おうとすれば、渡瀬先生が口を挟むし!
田中さんは、お姉ちゃんという婚約者がいるのに!
「先輩、スマホ貸して!」
テーブルにあった田中さんのスマホを渡瀬先生が……。
「はい。これで私と連絡つくから、連絡してね? 絶対よ? じゃね!」
「……。」
「う、うん。連絡……するから。」
田中さん、おでこに凄い汗。
渡瀬先生は、完全に私を無視して、ツカツカとお店を出ていった。
「あ、先生。お金払ってない!」
「いいよ、それくらい。大した金額じゃないから……うん。」
なんだろう?渡瀬先生がきてから、田中さんの様子が……。
「田中さん?」
「なに?」
「先生となんかあったの?」
「え? い、いや、なんともないよ? ど、どうして?」
「ううん。なんか気になったから。次、どこ連れてってくれるの?」
ま、誰にだって過去はあるからね。私はないけど!
「行きたいとこある?」
「ゲーセン! プリ撮ろっか!」
ここなら、ちょっとだけ身体を密着しても許されるもの。
抱きついたり、ほっぺたくっつけたり、腕を組んでも……。
「卯月ともよぬプリクラ撮るけど……。」
田中さんが、引くのも無理はない!
「全機種、総撮りーっ!!」
会いたくなかったよ、新学期。
それでも、友達に会うとホッとする。
「ん? 凛、この冬休みにデブッた?」
「……いや?」
「太ったよ、特にここーっ!」
きゃぁぁぁぁっ!なんて、悲鳴をあげても、どこも似たような事をやる女子。一方、男子は、頭をくっつけて課題をやってるのが数人。大半は、喋ってるか、寝てる。
ほんの3週間余りの冬休みだったけど、私にとっては、ドキドキした冬休みでもあった。
田中さんとも普通に会ってるし、勉強も教えて貰っている。
「ね、そういやさ。職員室で先生が話してたんだけど……。」
鞄から、出された課題を机にしまいながら、優愛の話を聞いた。
「へ? 新しい先生って、男?!」
里美が身を乗り出して、こちらの輪の中に入る。羨ましい位に可愛くて、彼氏が途切れた話を聞かない。別れるのも早いけど……。
「ざーんねんでした! 里美の嫌いなタイプの女性よ。」
優愛も和美もクスクス笑って、里美を見返す。
「女の先生かぁ。優しいといいよね。もうすぐ3年だし……。」
予令のチャイムが鳴って、それぞれ席に着く。この学校は、何年か前には体育館で始業式や入学式を行っていたが、何人かの女生徒が貧血で倒れてからは、教室で執り行うようになった。
校長先生の話は、座っていても眠気を感じるような話し方だし、教頭先生は髪の毛が増えた?!ひとりひとり教師の挨拶、用務員さんが出た時は、クラス中が騒ぎ出した。
「はい、おはようございます。」
「「おはようございます。」」
「今日から、新学期ですが……。」と担任の先生の話が始まるも、誰も先生の話なんて耳に入ってるのかどうかな位、皆担任の隣に立っている女の先生に目がいった。
教師なのに、なにあのスーツ!色は、地味目な紺なのに、はちきれないばかりの胸に!ミニスカートからスラリと伸びた脚!
「きれいー」
「美人じゃね?」
「モテそう」
「なるほど……。」
男子や女子から、ため息に混ざった言葉がチラホラ。
私だって、大人になったら……。
大人に……。
好きな人だって……。
田中さんが……。
「……ですので、宜しくお願いします!」
ボォッとしてる間に、新しい先生の自己紹介が終わったらしい。
「ね、あの先生の名前なに?!」
隣でこちらもボォッとしていた夏目くんに聞くと、
「海音先生。渡瀬海音……。」
変わった名前だけど、忘れないように手帳にメモメモ。
課題を順番に担任に渡し終わったら、今度は、渡瀬先生へ自己紹介。
「早坂凛、17歳です。今は、姉と暮らしてます。趣味は、映画を観たり、カフェでお茶することです……。」
「そ、ありがと。あなたが……ね。」
なんとなく冷たい返しだった。男子は、真っ赤な顔で緊張しながらも自己紹介してたけど、一部の女子からの視線が……。
「ま、一種の対抗意識じゃないの?」
「あのスタイルに美人だからねぇ。」
「小林なんて、ジーッと見てたもん。奥さんいるのに!」
小林というのは、うちらの担任の教師。去年結婚したばっかで、もうパパになる。
大掃除は、生徒が中心になってやるけど……。
渡瀬先生の周りには、数人の男子生徒が……。
「あ、凛ー。四つ葉学院の全国模試どうする? 受けるなら、パパに頼むけど?」
2組にいる私の幼馴染の藤堂志摩。お父さんが、四つ葉の学院長をしている。
「優愛らは、どうする?」
優愛も里美もその塾に通っているけど、まだ申し込んではいないらしく、4人分志摩に頼んでおいた。
高校生に5000円はちょっときついけど、私にはまだお年玉がある!
大掃除を終えて、机を並べ終わると、渡瀬先生目当てに数人の男子生徒が、我先にと飲み物を渡す。
「なんなの? あれ……。」
「ははっ……。」
里美が、キッとする顔をしたのも無理はない。最近、付き合い出した彼氏の農くんが、そこにいるのだから。
「あいつ……。許せん!」
私には、彼氏どころか、好きな人すらいないから、そういうのはわからないけど……。
里美と農くん、別れなきゃいいな!
もし、仮に田中さんが、私の彼氏だったら……。
でも、今日は、その田中さんに会える日。お姉ちゃんには、内緒で……。
〘吉兆駅前、12時に待ってるから。学校終わったら、そのままおいで〙と今朝入ったPAIN。お姉ちゃんは、溜息をついて、仕事に。
「じゃ、またねぇ。ばいばーい!」
冬休みの課題を出したのに、また課題を渡された……。
小林ちゃん、鬼だ!
ぶーたれた顔で大好きな田中さんに会う訳にもいかないから、途中のコンビニでお手洗いを借りた。
「あと少し……。」
時間が、ちょっとずつ近づく度に、胸がドキドキして、落ち着かない。
「凛ちゃん!」
少し離れた先から、田中さんの姿が。私は、とても嬉しくて笑顔になった。
「会えた。田中さんに会えた。」
「そう? こんなおじさんだよ?」
田中さんは、首にしてたマフラーを私に掛けてくれて、手を繋いで駅から出る。
「週に何回も会ってるけど、凛ちゃんは、いつも可愛いね……。」
「そんなことは……。でも、そう言われると嬉しいです。」
手を繋ぎながら、街をブラブラする。
「これ、可愛い。」
桜の花を後ろから抱きついてるうさぎのストラップ。
「うさぎ、か。そういや、凛ちゃんって、うさぎ年だっけ? 買う?」
ってことで、買って貰いました。
「そんな喜ばれると、なんか申し訳ないね。」
田中さんは、申し訳なさそうに言ったけど、私には、嬉しかった。
街も駅ビルの中も来月あるバレンタインデーのポスターなんかを貼っていた。
「ここ、入る? 珈琲飲めたよね?」
島田珈琲店。スタバより、ちょっとお高いけど、味は★5なんだ。
奥まった席でオリジナル珈琲とケーキのセットを頼んだ。
店内は静かで、店長さんの趣味なのか?渋めの洋楽が流れてて、凄く落ち着いた。
珈琲もケーキも美味しかった!
「そうだ。凛ちゃんの学校ってさ、暁だよね?」
「うん。そうだよ? なんで?」
「じゃ、さ、今日そこに海音。いや、渡瀬海音って女の先生こなかった?」
っ!?
「来たけど。なんで?」
聞けば、渡瀬先生と田中さんは、同じ大学で同じサークルだったらしい。先輩、後輩の間柄らしいけど。
「そうなん……だ。」
なんだろう?このモヤモヤは……。
「ま、あの海音……っ?」
「こんにちは! えっと、凛さんだっけ?」
「……。」
嘘!なんで、この人がここに?
「啓吾先輩。お久し振りですね。」
「お、おう。ひ、久し振りだな、海音……。」
「ここ、いい?」
返事も聞かず、渡瀬先生は、田中さんの隣に腰掛けて、店員を呼んだ。
「もぉ、先輩ひどいー。こっちに来てるなら、声を掛けてくれてもいいのにー。」
お姉ちゃんとは違う甘えた声?周りのお友達とも違う。
「いや、れ、連絡しようとはしたけど……。な?」
田中さん、なんかたじろいでて……。
「そしたら、海音、すぐ来たのに。」
「田中……さ……。」
「それよりもー……」
っ!?今、睨まれた?
私が、田中さんに何か言おうとすれば、渡瀬先生が口を挟むし!
田中さんは、お姉ちゃんという婚約者がいるのに!
「先輩、スマホ貸して!」
テーブルにあった田中さんのスマホを渡瀬先生が……。
「はい。これで私と連絡つくから、連絡してね? 絶対よ? じゃね!」
「……。」
「う、うん。連絡……するから。」
田中さん、おでこに凄い汗。
渡瀬先生は、完全に私を無視して、ツカツカとお店を出ていった。
「あ、先生。お金払ってない!」
「いいよ、それくらい。大した金額じゃないから……うん。」
なんだろう?渡瀬先生がきてから、田中さんの様子が……。
「田中さん?」
「なに?」
「先生となんかあったの?」
「え? い、いや、なんともないよ? ど、どうして?」
「ううん。なんか気になったから。次、どこ連れてってくれるの?」
ま、誰にだって過去はあるからね。私はないけど!
「行きたいとこある?」
「ゲーセン! プリ撮ろっか!」
ここなら、ちょっとだけ身体を密着しても許されるもの。
抱きついたり、ほっぺたくっつけたり、腕を組んでも……。
「卯月ともよぬプリクラ撮るけど……。」
田中さんが、引くのも無理はない!
「全機種、総撮りーっ!!」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる