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七日目

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 朝一番。
「あ゛っ……♡!!?」
 ほんの一瞬だけ震えたペニスのリングに叩き起こされた。
「っ、うぅんん゛~~~……っ」
 そんな些細な刺激も、媚薬に漬けこまれたからだには尾を引いて響き、シーツをひっ掴んで悶える。同時に沸き立つもどかしさ。満たされない。足りない。もっと、今のがほしい。
「……っひ、っく、」
 昨夜は結局、体力が尽きて意識が落ちるまで体内を巡る疼きに苦しめられた。くるしくて、熱くて、へんな夢までみたような気がして、なんか悔しい。
『おはようございますリクト様! おからだお加減いかがですか? わあっ、起きたてとは思えないほど発情しきったエッチなお顔。せっかくの射精解禁日ですからね。記念に一枚撮っておきましょう、はいピース!』
 パチリとシャッター音が鳴る瞬間に、スマホをわし掴んだ。
「いいから、さっさとこれ外せ……!」
『ああ、ブレてしまいました。そう焦らずに。一週間ぶりの射精なんですから、段階を踏んで味わいましょうよ。まずはそのための道具を決めましょう。ではこちら、お待ちかねの七日目限定搾精玩具ガチャです!』
 陸人は反射的に首を振った。
「いっ、いらない、道具とかもう、これ外してくれたらそれでいいっ、普通に自分でする!」
『心中お察しします。未知の玩具が一週間越しの射精に値する代物なのかどうか不安ですよね。しかしご安心を。なにが出たとしても悶絶必至、リクトさまのつたない手コキよりはるかに良いことはわたくしが胸を張って保証しましょう』
「それがイヤなんだって言ってんだろうがぁ……!!」
『ささっ、待ちきれないのでまわしちゃいますね』
 クソ仕様。勝手に回るガチャ。陸人は諦めて枕に突っ伏した。もう、もうなんでもいいから早く……と待ちに徹するも、いやに長い。ちらりと覗く。画面には見たことない虹色のエフェクトがかかっていた。
「なにこれ」
『こっ、これは規定の二倍量のマネマネを溜めたユーザーにのみ開放されるというプレミアムガチャ! かのオシオキモードでしか現れない玩具もでてくる代物です! さすがリクト様、まさかこれを見越して今日まで枠外アクメキめまくってマネマネを溜めておられたんでしょうか!?』
「なわけあるかっ!! もどせもどせ! キャンセル!!」
『残念ながら、一度走りだしたガチャは止められないのが世の無常です』
 すんと真顔になったアオの背後でガチャが回る。眩しいほどの光が散り、キラキラとした派手な効果音とともにあらわれたそれを、えっ、と陸人は二度見した。
 なんだこれ。
『おめでとうございます! ☆MAX、マジカル触手くん一号です!』
 薄ピンク色の、ぼってりとしたかたまり。
 画面にうつる謎の物体が、べちょりと音を立てて目の前に落ちてきた。
「───っひ」
 ニ十センチほどの全長のそれは、芯のない軟体生物のようなうごきでぬちぬちとシーツを這って近づいてくる。
「わ、わーーッッ!!? なにっ!? まじでなに!? こわいこわいこわい!!」
『こわくないですよ~。ほらよく見ればかわいい顔をしていて……』
「顔!? なにどこっ……ギャッ!」
 触手から細い手がにゅっと出てきて、器用に陸人の下半身の服を剥いでいく。慌てて止めようと手で掴んだものの、謎の体液で滑るし、触手はその軟性に似合わぬ剛力の持ち主だった。
「ひっ……!?」
 ぐぱあっと軟体生物の本体が口をあける。生々しく収縮する肉壁。粘液が糸引く咥内へペニスを迎え入れ、そのままぬぐぬぐと飲みこんでいく。未知の生物に捕食されるような心地に肌が総毛立つが、触手のなかは熱く、やわらかく、ぬるぬるとした粘液が陰茎に絡みつき、
「あっ……や、やだ、こんなの……、っ」
 きもちわるい、のに。
 丸一日刺激をおあずけにされたからだには、その感覚はあまりに甘美だった。嫌悪が一瞬で快感に打ち負かされる。触手を剥がそうと伸ばしたはずの手がうつろに宙を舞う。
「っ~~~……くぅ゛、んんっ……♡」
『ほら、リクトさまの手よりもよっぽどいいでしょう?』
「や、っ、きもちわるい……」
『強がらなくていいんですよ。少なくともわたくしの前では。わたくしはリクトさまが昨日からどれだけ我慢してきたか知っていますから。おつらかったでしょう。火照ったからだをそのままに欲情ばかりを搔き立てられて。あんな風にされたらだれだって快感を欲してしまうんですから、それを恥じたり、まして我慢する必要なんてありません。あたえられるまま、きもちよくなっていいんですよ」
「……ふっ、ぅ゛……っ」
 ぐっぽりと、触手に陰嚢まで咥えこまれる。柔肌が心地よくペニスを締めつけて、肉棒が硬く滾る。ようやく与えられた快感を余さずに味わおうと熱い血流が巡り、性器は更に敏感に育っていく。全身の感覚がそこに集中して、こうしてただ包まれているだけでも蕩けるほどの快感が積まれていくのに、
「はうっ、ぁっ、あ゛……!」
 ペニスを包む肉肌が、ゆるゆると波打ち始めた。扱きまでもいかない、敏感すぎる肉をいたわるような、やさしい愛撫に思考がどろりと濁る。
「あっ、あぁ、あ……っ」
 きもちいい、だめだ、きもちいい……っ。射精欲がぞくぞくと下腹からこみあげてくる。
「んぅっ……ま、まって、アオ、リングとって……!」
 さきに、先に取ってもらわないとだせないのに。リングは取れない。触手も止まらない。ぬちゅ、ぬちゅとやさしく陰茎を撫でられて、どうしようもなくきもちいい波がせり上がってくる。
「ひぁ、あ……っ!」
 ぐんと背をしならせて、深いオーガズムの予感に構えた瞬間、
「──────っ……!!?」
 触手がペニスを手放した。
「~~~~っひ、ぁ゛………ッッ!!? な゛んっ、なんで……っ!?」
 飛び立つ寸前の急ブレーキ。反動は大きく、絶頂の代わりに身を焼くような焦燥がなだれこんでくる。あと一ミリの刺激を求めてカクカクと腰が振れる。しかし触手の壁は肉棒を囲ったまま、それを慰めようとはしてくれない。
『それでは、本日のミッションをご説明します』
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