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五日目

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 ベッド近くの床に吸盤を吸いつかせてディルドを立てた。上半身をベッドにもたれかけさせ、そそり立つそれを挟むように床に両膝を突く。潤滑油をたっぷりと纏わせた先端を掴み、窄まりに充てがい、
「っ……ふ」
『そんなになるまでご自分でほぐされたとはいえ、指とは比較にはりませんからね。深呼吸して、からだの力を抜いて、ゆっくりと腰を沈めてください』
「あっ……!」
『そうです。そのままゆっくりと。カリまで飲みこんでしまえば後は楽ですからね』
 昨日とちがう。ほぐれた肉縁は亀頭の形に沿って広がっていく。裂かれるような痛みもなく、ぐぷりと一番太いカリ首の段差も中に吸いこまれた。
「あっ、あっ~~~~…♡」
 ふっくらとした亀頭にずりずりと肉壁が押し広げられていく。その感覚に背筋が震えるが、その圧倒的な質量は、まさにからだが求めていたものだった。
「……んんっ、くぅ、ん……♡」
 それでも奥の奥まで暴かれる不安感に駆られ、途中で止めようとしたが、前立腺をカリ首に擦られた瞬間足から力が抜け、ぺしゃりと腰が落ちた。
「ッ、あ゛────っ!!」
 蕩けた後孔が太いディルドをみっちりと咥えこむ。圧倒的な質量を歓ぶように肉壁がきゅうきゅうと勝手に収縮し、絡みつき、耐え難いような快感が下肢から急速に昇りつめてくる。だめ、だめだ、くる、いくっ……。
「ひぐっ……ぅ、あッ、やっ、ッ~~~~♡♡」
 抗うすべもわからないまま絶頂に震える。
『おや。入れただけでイッてしまわれるとは、もうすっかり淫乱のそれですね』
「ちが、あ、」
『なにが違いますか? 今だってたまらずに腰を振って、ディルドを擦りつけておられるくせに』
「……あっ、だって、っ……ぅ……♡」
 アオの言う通り。咥えこんだまま、もったりと尻を振るのが止められなかった。止めようと堪えても、またすぐに動いてしまう。ちがう。ちがう。おれがやってるんじゃない。ほんとに、かってに、うごいて、
「も、きもちい……っ」
 ぎゅっと瞑った目蓋の端から涙が溢れた。きもちいいのか、恥ずかしいのか、まだ抗いたいのか、もうなんの涙かわからなかった。
「はぁ、あっ……♡」
 腸壁も奥も前立腺も、疼いている場所がぜんぶ太いものに圧迫されてきもちがいい。なかを締めてディルドの形を味わうだけで全身にじんわりと快感が広がる。ようやく満たされた心地よさにずっと浸っていたかった。
『さあ、リクト様。甘い快感に耽っていても終わりませんよ。もっともーっときもちよくなりましょうね』
 ほら腰をあげて、と促される言葉のまま従った。
「んんっ、……ん、んんん゛っ♡」
『亀頭だけ残して抜いて、そうです……ふふ。そんな蕩けたような顔をされて。抜くのがそんなに気持ちいいですか? でもだめですよ、ほら、そこで止まらない。次は腰を下ろして、また根元まで飲みこんでください』
「……あっ、あぁ、あっ♡♡ これ、だっ、だめなとこ、とこずっと、あたる……っ!」
『だめなとこ? いいところの間違いでしょう。では次はそこにもっと沿わせてピストンしましょう』
「あっ、……くぅっ、んんんんっ♡」
『リクト様。ちゃんとしてないとすぐわかりますからね? もっと。もっとです。もっと腰を引いて、気持ちいいところにしっかり宛てがって』
「ひんっ、っ、っ……!」
『お上手です。そう、そのまま、また腰を上げて、下ろして……』
「あぁあっ、あっ、ぅ゛ううっ♡」
 張りでたカリが敏感な性感帯を押し潰し、長い竿が肉壁を擦りあげる。深く甘い快感が次から次へとせり上がって喉を震わせた。
「あ゛っ、あぁ゛あっ、イくっ、イくいくい、くぅ゛…っ!!」
 びくんびくんと腹筋が波打つ。ベッドに突っ伏して余韻に浸る陸人をアオが諫めた。
『リクト様。休んじゃだめですよ。イッてもそのまま腰を動かさないと』
「ふぅ、うぅううう゛……♡♡」
『ほら、もっと激しく』
「……あ゛っ♡ やっ、まって、むり、むりっぃ、」
『ああ。一分経ってしまいましたね』
 これでは連続イキにはなりませんよ、とアオが眉を顰めた。陸人は中波半端な姿勢のまま、ふーふーと乱れた息を繰り返し吐いた。
「あ、アオ、これ……っ」
『さあもう一度。ほら、腰を振ってください』
「……んっ、ん、ぅ゛♡」
『リクト様。それでは止まっているのと一緒です。もっと早く。もっと長いストロークで動かないとイけないでしょう?』
「だ、……って、いっ、いま、イッ、たばっかで……あぅっ♡」
『そんなことを言ってたら一生連続イキできませんよ? 連続イキするとこ見てほしいんですよね? わたくしに。そうおっしゃいましたよね? ならちゃんとしないと』
「ぅ゛……ッ」
『仕方ありませんね。特別にわたくしがカウントして差しあげます。いーち、の間に腰を上げて、にーい、の間に腰を下ろしてください。はい、では、いーち』
「んんっ、ん……!」
『にーい』
「あ゛っ……♡♡」
『さあ早めますよ。いーち、にーい、いーち、にーい』
「あっあっあっ♡♡」
『いーち、にーい、いーち、にーい、いち、にい、いち、にい、』
「あぁ゛あっ、待ってはやいっ、あんっ、んっ、んんん゛っっ♡♡ ──っだ、だめっ、だめっ、こんなっ、イくっ、イくいくいく、イッ、ッ、っ…………ッ!!!」
『達しても止めたらダメですよ』
「んうぅ゛っ、っ、~~~~♡♡♡」
 絶頂に達してるなかで、いーち、と急かされて半ば反射的に腰を振り乱す。
「あ゛あッ!! あっ、っひ───♡♡」
『アナルの痙攣に負けたらだめですよね。ひくついて狭くなってるところ太いディルドで押し広げて前立腺ずこずこしてあげてください。ほら、いーち、にーい』
「ア゛ッ……!! あ、あ、あ──っ♡♡」
 絶頂でいっぱいいっぱいの身体を無理やりに揺り動かした。しこりを竿にずるりと擦り上げられた瞬間、甘い電流が背から頭まで走り抜けた。連続イキの衝撃に腰がガクンと振れて、ディルドが抜けかけた。
『よくできました。これでようやく1カウントです』
「ひぐっ、ぅ………!!」
『あっ。だからだめですよ。そこで止まっては』
 脱力した半身をシーツに伏せる。そんなでは一生終わりませんよと、言われても。からだが、過度な快楽を前に言うことをきかない。
 陸人が顔を上げる。ぐずぐずの表情をアオが笑った。
「……ごかいも、できない」
『五回? いいえ。デイリーミッションが未達のまま翌日に繰り越した場合、ペナルティが課されます。よってリクト様が本日達成しないといけないのは十連続アクメですよ』
「じゅっ……!?」
 陸人は必死に首を横に振り、
「……アオ」
 縋るようにスマホの画面に触れた。
「自分じゃできない、おまえが、動かして……」
 お願いだから、と震える唇がもらした懇願を前に、
『ねだればしてもらえることを覚えてしまって。悪い子ですね』
 特別大サービスですよ、その瞳を三日月形に歪めた。
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