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第二十六章 真弓の企み
⑥
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「何でしょうか」
「この間、取引先のパーティーがあっただろう」
「はい」
「その時、ある女性が俺に話しかけてきたんだ」
美希は黙って聞いていた。
「真弓さんだ」
美希の顔色が変わった。
「俺は全く記憶がなくて、真弓さんの話によると、美蓮を出産した時、
美希はマンションを出て行き、離婚届を送ってきたと、美希が留守の間、
蓮也のベビーシッターを引き受けて、その、なんだ、つまり俺と男女の関係になったと
言われた」
美希は手を小刻みに震わせていた。
「そうなのか」
「真弓さんと男女の関係になったかどうかは、私にはわかりません、
でも、蓮さんは否定していましたよ」
「でも、身体を重ねた事実はあるんだよな、どうして美希は許してくれたんだ」
「それは……」
美希は言葉を詰まらせた。
自分の夫が他の女性と身体を重ねたなんて、ひどい裏切り行為に他ならない。
離婚を申し出ることも、出来る状況だろう。
でも、美希は蓮を失いたくなかった。
いや、自分の勝手な気持ちで、蓮に不自由な思いをさせて、離婚届を突きつけたのだ。
そんな時、側で優しく支えてくれる女性がいたら、なびいてもおかしくない。
美希は自分の思いを蓮に伝えた。
「蓮さん、私、蓮さんを愛しています、はじめて会った時からずっと、
蓮さんを他の女性に渡したくなかったんです、だから……」
美希は涙が溢れて止まらなかった。
蓮は美希を引き寄せ抱きしめた。
「わかった、もう、何も言うな、美希の気持ちすごく嬉しいよ、
俺だって、美希を他の男に渡したくない」
蓮は美希にキスをした。
「この間、取引先のパーティーがあっただろう」
「はい」
「その時、ある女性が俺に話しかけてきたんだ」
美希は黙って聞いていた。
「真弓さんだ」
美希の顔色が変わった。
「俺は全く記憶がなくて、真弓さんの話によると、美蓮を出産した時、
美希はマンションを出て行き、離婚届を送ってきたと、美希が留守の間、
蓮也のベビーシッターを引き受けて、その、なんだ、つまり俺と男女の関係になったと
言われた」
美希は手を小刻みに震わせていた。
「そうなのか」
「真弓さんと男女の関係になったかどうかは、私にはわかりません、
でも、蓮さんは否定していましたよ」
「でも、身体を重ねた事実はあるんだよな、どうして美希は許してくれたんだ」
「それは……」
美希は言葉を詰まらせた。
自分の夫が他の女性と身体を重ねたなんて、ひどい裏切り行為に他ならない。
離婚を申し出ることも、出来る状況だろう。
でも、美希は蓮を失いたくなかった。
いや、自分の勝手な気持ちで、蓮に不自由な思いをさせて、離婚届を突きつけたのだ。
そんな時、側で優しく支えてくれる女性がいたら、なびいてもおかしくない。
美希は自分の思いを蓮に伝えた。
「蓮さん、私、蓮さんを愛しています、はじめて会った時からずっと、
蓮さんを他の女性に渡したくなかったんです、だから……」
美希は涙が溢れて止まらなかった。
蓮は美希を引き寄せ抱きしめた。
「わかった、もう、何も言うな、美希の気持ちすごく嬉しいよ、
俺だって、美希を他の男に渡したくない」
蓮は美希にキスをした。
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