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第十六章 ライバル出現
⑤
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「美希ちゃんを慰めろって神様が言ってるんじゃないか」
「神様?」
私は望月さんが神様だなんて言葉を使う事に意外だと感じた。
「えっ?意外?」
「はい」
「これでも毎朝神様を祈ってるよ、美希ちゃんが蓮じゃなく、俺を好きになってくれって」
望月さんの言葉にポカンと口を空けてしまった。
「なんて顔してるの、俺が美希ちゃんに惚れたら、おかしいかな」
「おかしいんじゃなくてあり得ませんよ」
「どうして?」
「どうしてって」
私は返事に困った、多分泣いている私を和ませる為なんだろうけど、こんな時なんて返せばいいか、この年代の人はよくわからない。
「あっ、大変な事忘れてました、救急車で病院まで運んで頂いてありがとうございました」
「ああ、大丈夫、よかったな、何事もなくて……」
「はい」
沈黙になった、何話せばいいの?
その時望月さんは廊下に蓮さんの気配を感じて、私のベッドに腰を下ろし、私の手を握った。
「美希ちゃん」
次の瞬間、蓮さんが病室に入ってきた、そして望月さんを私から引き離した。
「望月、美希に何してる、離れろ」
望月さんは蓮さんに廊下に出されて、胸ぐらを掴まれ、殴られた。
「痛ってえ」
「蓮さん、やめてください」
蓮さんは私に近づき「大丈夫か」と手を握った。
私の頬の涙を手で拭ってくれた。
「望月、てめえ、美希に何した、美希は泣いてるぞ」
望月さんは蓮さんが殴った口元に手をあて「ごめん、美希ちゃん、泣かしちまったな、びっくりしたんだな、可愛くてついキスしようとした」と自分を悪者にして、私の涙の訳を自分のせいにしてくれたのだ。
「望月、美希は俺の妻だ、今度はただでは済まないからな」
「俺の妻?それならちゃんと守ってやれよ」
「どう言う事だ」
二人のただならぬ状況に私は口を挟んだ。
「蓮さん、やめてください」
まず、蓮さんを落ち着かせ、望月さんを気遣った。
「望月さん、大丈夫ですか」
私はベッドから降りてハンカチを濡らし、望月さんの口元に当てた。
「大丈夫だ、美希ちゃん、ありがとう」
私は心の中で望月さんの気遣いに感謝した。
望月さんは蓮さんに一言投げかけた。
「蓮、お前が美希ちゃんを守れないなら、俺が美希ちゃんを守る、覚えておけ」
望月さんは病室を後にした。
蓮さんは私をベッドに誘導して寝かせてくれた。
「望月がごめん」
「望月さんは何もしていませんよ、私が泣いてるところへお見舞いに来て慰めてくれただけです」
「泣いていた?なんで泣いてたんだ」
「蓮さんを縛っちゃいけないなって思って、私は蓮さんの側にいちゃいけないのかなって思ったら、涙が出てきただけです」
「俺は縛られていると思っていない、それに美希は俺の側にずっといていいんだ、俺の妻なんだから」
「そうですね」
「会社の前にいた女性のことだが」
そこまで言いかけて、美希が言葉を遮った。
「麗子さんですよね」
「どうして知ってるんだ」
「麗子さんがお見舞いに来てくれたんです、恋人に振られて、兄のように慕う蓮さんに頼ったって聞きました」
「神様?」
私は望月さんが神様だなんて言葉を使う事に意外だと感じた。
「えっ?意外?」
「はい」
「これでも毎朝神様を祈ってるよ、美希ちゃんが蓮じゃなく、俺を好きになってくれって」
望月さんの言葉にポカンと口を空けてしまった。
「なんて顔してるの、俺が美希ちゃんに惚れたら、おかしいかな」
「おかしいんじゃなくてあり得ませんよ」
「どうして?」
「どうしてって」
私は返事に困った、多分泣いている私を和ませる為なんだろうけど、こんな時なんて返せばいいか、この年代の人はよくわからない。
「あっ、大変な事忘れてました、救急車で病院まで運んで頂いてありがとうございました」
「ああ、大丈夫、よかったな、何事もなくて……」
「はい」
沈黙になった、何話せばいいの?
その時望月さんは廊下に蓮さんの気配を感じて、私のベッドに腰を下ろし、私の手を握った。
「美希ちゃん」
次の瞬間、蓮さんが病室に入ってきた、そして望月さんを私から引き離した。
「望月、美希に何してる、離れろ」
望月さんは蓮さんに廊下に出されて、胸ぐらを掴まれ、殴られた。
「痛ってえ」
「蓮さん、やめてください」
蓮さんは私に近づき「大丈夫か」と手を握った。
私の頬の涙を手で拭ってくれた。
「望月、てめえ、美希に何した、美希は泣いてるぞ」
望月さんは蓮さんが殴った口元に手をあて「ごめん、美希ちゃん、泣かしちまったな、びっくりしたんだな、可愛くてついキスしようとした」と自分を悪者にして、私の涙の訳を自分のせいにしてくれたのだ。
「望月、美希は俺の妻だ、今度はただでは済まないからな」
「俺の妻?それならちゃんと守ってやれよ」
「どう言う事だ」
二人のただならぬ状況に私は口を挟んだ。
「蓮さん、やめてください」
まず、蓮さんを落ち着かせ、望月さんを気遣った。
「望月さん、大丈夫ですか」
私はベッドから降りてハンカチを濡らし、望月さんの口元に当てた。
「大丈夫だ、美希ちゃん、ありがとう」
私は心の中で望月さんの気遣いに感謝した。
望月さんは蓮さんに一言投げかけた。
「蓮、お前が美希ちゃんを守れないなら、俺が美希ちゃんを守る、覚えておけ」
望月さんは病室を後にした。
蓮さんは私をベッドに誘導して寝かせてくれた。
「望月がごめん」
「望月さんは何もしていませんよ、私が泣いてるところへお見舞いに来て慰めてくれただけです」
「泣いていた?なんで泣いてたんだ」
「蓮さんを縛っちゃいけないなって思って、私は蓮さんの側にいちゃいけないのかなって思ったら、涙が出てきただけです」
「俺は縛られていると思っていない、それに美希は俺の側にずっといていいんだ、俺の妻なんだから」
「そうですね」
「会社の前にいた女性のことだが」
そこまで言いかけて、美希が言葉を遮った。
「麗子さんですよね」
「どうして知ってるんだ」
「麗子さんがお見舞いに来てくれたんです、恋人に振られて、兄のように慕う蓮さんに頼ったって聞きました」
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