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第十二章 一生お前を守る

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このまま目を覚ます事がなかったらどうしよう。

私はずっと彼の側に寄り添っていた。

彼と知り合えたのは輸血がきっかけだった。

ずっとRHマイナスの血液型は私の人生に於いてマイナスしかなかったように思われる。

大量の輸血が必要な状況にならないように気遣い生活してきた。

だからあの時彼がRHマイナスの血液型と知って、知らないふりは出来なかったのである。

今回は私のせいで、もし、彼が命を落とすような事があったら、そう思っただけで、気が遠くなるような感じがした。

蓮さん、蓮さんは自分の命に替えても私を守ってくれると約束してくれた。

でもどうして、そこまでの気持ちになれるの?

私も今は蓮さんの為に命を捧げてもいいとさえ思っている。

でも知り合った時は、まだ自分の気持ちははっきりわからなかった。

私は、なるべく男性との付き合いを避けてきた。

もう二度とあんな思いはしたくないと強く決めていた。

何日か経ったが彼は一向に目覚めない。

彼の手を握り、「蓮さん」と呼びかけた。


微かに彼の手が動いたような気がした。

「ちょっと動いたよね、蓮さん、蓮さん」

ギュッと手を握る、すると、握り返してくれた。

しばらくして彼は目を覚ました。

「美希?大丈夫か」

「蓮さん、よかった、目が覚めなかったらどうしようかと思いました」

「俺は大丈夫だ、美希が無事でよかった」

「でも私のせいで蓮さんが怪我をしてしまいました、ごめんなさい」

「俺はいいんだ、美希を守れなければ俺の存在意義はない」

「蓮さん、なんでそこまで私のために……」

「決まってるだろ、俺は美希を愛してる、約束しただろう、何があっても一生お前を守るって」

彼と見つめあって、そしてキスをした。

何故あの時東條さんがいたのかわからなかった、そして彼に尋ねた。

「蓮さん、あの時何故東條さんは私達の側にいたのですか」

「俺が頼んだんだ、絶対にあいつはまた来ると思ったから、俺達の側で待機してくれと、そしてSPの手配も頼んだ、まさかナイフで美希の命を狙うとは想定外だったけどな」


そこへ東條さんが現れた。

「社長、大丈夫ですか、しばらく目覚めなかったので心配しましたよ」

「東條、迷惑かけたな、いろいろ助かった」

「いえ、社長と奥様がご無事で何よりです、社長は輸血が必要で、奥様が提供してくれましたよ」

「美希、また美希に助けられたんだな、ありがとう」

「助けていただいたのは私です」

私は安心したのか急に意識が遠のいて倒れた。

「おい、美希、しっかりしろ」

私は別の部屋で治療を受けることになった。

私はしばらくして意識を取り戻した。

「奥様、大丈夫ですか、軽い貧血だそうです」

「蓮さんは……」

「社長は大丈夫ですよ、心配していましたので、軽い貧血と報告しておきました、奥様が無理して倒れると、社長が心配してベッドから起き上がろうとします、私の言うことは全く聞いてくださらないので、奥様はちゃんと休んでください」

「すみません、いつもご迷惑ばかりおかけして」

「いえ、奥様のお役に立てれば嬉しいです」
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