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第十一章 お前を誰にも渡さない

俺だけ見てろ、俺の言う事だけ信じろ、お前を誰にも渡さない

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検診の日、私は一人で病院に向かった。

受付を済ませ待合室で待っていると「雫」と名前を呼ばれた。

声のする方へ視線を移すと、峻が立っていた。

「峻、どうしているの?」

「今日はチビ助の検診日だろう?」

峻はニッコリ微笑んで私の隣に腰を下ろした。

そこに看護師さんが声をかけた。

「冴木雫さん、診察室へお入りください」

「雫、呼んでるよ、一緒に行こう」

私は峻と一緒に診察室へ入った。

「ベッドに横になってお腹を出してください」

先生はエコーの画面を見ながら注意する事柄を説明してくれた。

「元気ですね、八ヶ月に入ったので、いろいろ症状が現れますが心配はありません、貧血気味なのでお薬を処方しておきます、後、お腹が大きくなってきてますので、足元に気をつけてください」

「ありがとうございました」

峻は先生に挨拶をし、私に手を貸してくれた。

「優しいご主人ですね」

先生は私に微笑んだ。

そして、お薬を貰い会計を済ませた。

「雫、帰ろう」

「でも、私が峻の側にいると迷惑になります」

「専務の言うことは気にするな、大丈夫だ、俺を信じろ、お前を誰にも渡したくない」

「峻」

私は人目も憚らず峻に抱きついた。

そして峻と一緒にマンションへ向かった。

「雫、お前は俺の妻だ、そしてチビ助は俺の息子だ、俺だけ見てろ、俺の言う事だけ信じろ、お前を誰にも渡さない」

峻と熱いキスをした。

私は二度と峻の元を離れないと誓った。
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