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第三章 信じられない愛

二十五歳の夏、あんな事が起きなければ、私は人並みの幸せを手に入れていたかもしれない。

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「自信はないけど美鈴は俺にとって運命の人だから絶対に俺を好きになるよ」


私にとって結婚は不安しかなかった。なぜなら二十五歳の夏、あんな事が起きなければ、私は人並みの幸せを手に入れていたかもしれない。

それから男性とは身体を重ねることが出来ない。

お付き合いして、関係が進むとあの時の事が脳裏を掠める。

父親は、私を心配するのではなく、恥ずかしいと、私と関わり合うことを避けていた。

血の繋がりがある妹ばかりを可愛がっていた。

出来ることなら一人暮らしをしたかったが、父親は稼いで親孝行しろと、一人暮らしを許さなかった。

今回の戸倉さんの申し出は、私にとって待ちに待った父親から離れるチャンスと思った。

でも、戸倉さんと結婚だなんて。


俺は美鈴と食事に出かけた。

美鈴の俺に向けられた笑顔に無理があることは感じ取る事が出来た。

「美鈴、早速だけど、今度の日曜日俺のマンションに引っ越してこないか」

「えっ?日曜日ですか」

美鈴は驚いた表情を見せた。
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