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第十七章 自分の気持ちに気づいた葉月
葉月の中で冨樫の存在は大きい
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「葉月さん、今日はこいつと一緒にきました」
あの時、丸堂の女だった女性だ。
借金は冨樫が払った。
でも、葉月は全く覚えていない。
そう、葉月は冨樫のことも全く口にしなかった。
そんなある日、西沢守が葉月の病室にやってきた。
「入院したって、ヤスシから連絡もらって、大丈夫か」
葉月はキョトンとしていた。
ヤスシから、冨樫が葉月と距離を置いていること、入院して、記憶が曖昧なことなど、
事情は聞いていた。
「葉月さん、西沢組組長の西沢守さんです」
葉月はぺこっと頭を下げた。
「冨樫のことも覚えてねえのか」
「冨樫さん」
「お前を命がけで守って、結婚した相手だ、冨樫組組長冨樫雅也、お前の旦那だろ」
この時、葉月はいつも夢の中に出てくる男性だと思った。
葉月、葉月と呼んでくれるが、自分を抱きしめてはくれない。
もしかして、亡くなったのかと思っていた。
葉月の夢に出てくる男性を冨樫だと思うほど、葉月の中では冨樫と言う名前は、
存在が大きかった。
覚えていないのに、考えるだけで、身体が熱くなり、ドキドキしてくる。
葉月は退院するまでに回復した。
ヤスシが案内してくれたのは、冨樫のマンションだった。
「葉月さん、入院する前までここに組長と住んでいたので、ここを使ってください」
「あのう、冨樫さんは?」
「組長は事務所に寝泊まりしてます」
「ここには戻らないんですか」
「そうですね」
会いたい、冨樫さんに会いたい。
顔も覚えていない、どんな人なのかもわからない、でも冨樫雅也のことを考えると、
身体が熱ってどうしようもない。
事務所に行ってはいけないとヤスシに言われていた。
組長命令だと。
でも葉月はある日、行動を起こした。
お弁当を作り、タクシーで冨樫組事務所に向かった。
事務所は明かりがついていた。
入口を入り、階段を上がって行くと、ドアは鍵がかかっていた。
インターホンを鳴らすと「ヤスシか」と声がした。
冨樫は鍵を開けてくれた。
ドアを開けて葉月は事務所の中に入った。
冨樫はパソコンの画面を見たまま「そこに飯置いておいてくれ」と声をかけた。
葉月は思い切って冨樫に声をかけた。
「あのう、葉月です」
何ヶ月ぶりかの葉月の姿に、冨樫は身体が震えた。
「お弁当作ってきたんです、もし良かったら食べてください」
冨樫はじっと葉月を見つめたまま、微動だにしなかった。
「冨樫さんですよね」
冨樫は「あ、ああ」と答えた。
「今、タクシーを呼んでやるから待ってろ」
冨樫は葉月に背を向けて、テーブルの上のスマホを手に取った。
その瞬間、葉月は冨樫の背中に抱きついた。
「少しだけ、このままでいてください」
冨樫は背中に葉月の温もりを感じていた。
葉月は冨樫の背中に言葉をかけた。
あの時、丸堂の女だった女性だ。
借金は冨樫が払った。
でも、葉月は全く覚えていない。
そう、葉月は冨樫のことも全く口にしなかった。
そんなある日、西沢守が葉月の病室にやってきた。
「入院したって、ヤスシから連絡もらって、大丈夫か」
葉月はキョトンとしていた。
ヤスシから、冨樫が葉月と距離を置いていること、入院して、記憶が曖昧なことなど、
事情は聞いていた。
「葉月さん、西沢組組長の西沢守さんです」
葉月はぺこっと頭を下げた。
「冨樫のことも覚えてねえのか」
「冨樫さん」
「お前を命がけで守って、結婚した相手だ、冨樫組組長冨樫雅也、お前の旦那だろ」
この時、葉月はいつも夢の中に出てくる男性だと思った。
葉月、葉月と呼んでくれるが、自分を抱きしめてはくれない。
もしかして、亡くなったのかと思っていた。
葉月の夢に出てくる男性を冨樫だと思うほど、葉月の中では冨樫と言う名前は、
存在が大きかった。
覚えていないのに、考えるだけで、身体が熱くなり、ドキドキしてくる。
葉月は退院するまでに回復した。
ヤスシが案内してくれたのは、冨樫のマンションだった。
「葉月さん、入院する前までここに組長と住んでいたので、ここを使ってください」
「あのう、冨樫さんは?」
「組長は事務所に寝泊まりしてます」
「ここには戻らないんですか」
「そうですね」
会いたい、冨樫さんに会いたい。
顔も覚えていない、どんな人なのかもわからない、でも冨樫雅也のことを考えると、
身体が熱ってどうしようもない。
事務所に行ってはいけないとヤスシに言われていた。
組長命令だと。
でも葉月はある日、行動を起こした。
お弁当を作り、タクシーで冨樫組事務所に向かった。
事務所は明かりがついていた。
入口を入り、階段を上がって行くと、ドアは鍵がかかっていた。
インターホンを鳴らすと「ヤスシか」と声がした。
冨樫は鍵を開けてくれた。
ドアを開けて葉月は事務所の中に入った。
冨樫はパソコンの画面を見たまま「そこに飯置いておいてくれ」と声をかけた。
葉月は思い切って冨樫に声をかけた。
「あのう、葉月です」
何ヶ月ぶりかの葉月の姿に、冨樫は身体が震えた。
「お弁当作ってきたんです、もし良かったら食べてください」
冨樫はじっと葉月を見つめたまま、微動だにしなかった。
「冨樫さんですよね」
冨樫は「あ、ああ」と答えた。
「今、タクシーを呼んでやるから待ってろ」
冨樫は葉月に背を向けて、テーブルの上のスマホを手に取った。
その瞬間、葉月は冨樫の背中に抱きついた。
「少しだけ、このままでいてください」
冨樫は背中に葉月の温もりを感じていた。
葉月は冨樫の背中に言葉をかけた。
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