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第六章 二人を引き裂く黒い影

本山麗美の企み

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冨樫は朝まで葉月を何度も抱いた。

葉月は目が覚めると、隣に冨樫が眠っていた。

その時、冨樫のスマホがなった。

葉月は冨樫を起こしてスマホを手渡した。

「冨樫さん、スマホがなってます」

冨樫は「おはよう、葉月、ありがとうな」そう言ってスマホを受け取った。

「はい」

「若頭、どこにいるんですか、今、マンションに来たら若頭がいないんでびっくりしました」

「ああ、悪い、悪い、葉月のアパートにいる」

「えっ、そうなんですか、葉月さん具合そんなに悪いんですか」

「そうじゃねえよ、とにかくこれから戻る」

冨樫はそうそう言って、スマホを切った。

「葉月、おいで」

冨樫は手招きをした。

葉月は冨樫の胸に抱きついて、そっと唇を重ねた。

「葉月、今日は仕事行くのか」

「はい、だいぶお休み頂いちゃったんで……」

「そうか、また葉月のアパートに来てもいいか」




葉月は恥ずかしそうに俯きながら頷いた。

こんな些細な幸せがずっと続くと思っていた。

冨樫は車でマンションへ向かった。

葉月は支度をしてコンビニに急いだ。

「すみません、長い期間お休み頂いちゃって……」

「大丈夫だよ、葉月ちゃんはよく働いてくれるから助かるよ、またよろしく頼むな」

店長にそう言われて恥ずかしそうに頷いた。

バタバタと午前中の業務が終了した。

午後になって、一組の男女が店に入ってきた。

葉月の名札を確認すると、女が声をかけてきた。

その女は葉月にとって忘れもしない、冨樫に馴れ馴れしくしていた女だった。

「日向葉月さんね、私は冨樫雅也の婚約者、本山麗美です」

冨樫さんの婚約者?

葉月は驚きの表情を隠せなかった。

「いま、すぐにこの店を辞めて、引っ越ししてちょうだい、雅也さんの周りをうろつかれると目障りなのよ」

葉月はどうしていいかわからず、黙っていた。

すると、後ろに控えていたチンピラ風の男達が、店の商品を棚から落とした。

「あ、手が滑っちゃったな」




「やめてください、この店と私のことは関係ないんですから」

「あんたが早く答えないからよ、どうなの?答えは決まってるでしょ」

「わかりました、すぐにこの店を辞めて引っ越しします」

麗美は口角を上げてニヤッと笑った。

「そうよ、初めからそう言えば、お店の商品も棚から落ちなくて済んだのにね」

葉月は麗美を睨んだ。

「何、その顔、あんた、山辺と言う男に散々抱かれてるんだってね、それで雅也さんに愛されようとしてるなんて図々しいのよ」

「お嬢、その辺でやめておきましょう」

すぐ後ろに控えていたのは、本山麗美の護衛の若頭城之内理玖だった。

葉月は店長に事情を話した。

「申し訳ありません」

「守ってあげられなくてごめんな」

店長は葉月に対して頭をさげた。

「何言ってるんですか、ご迷惑をかけたのは私ですから」

麗美はチンピラどもと一緒に屋敷に帰った。

葉月はアパートへ戻り、荷物の整理を始めた。

その時、葉月のアパートのインターホンが鳴った。

誰だろう?

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