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残念ながら今日はお預けだ、また今度抱いてやる①

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三葉ホテル御曹司が梨花を諦めていなかった。

俺の勤務を調べ、わざわざ夜勤の日を狙って、梨花を訪ねてきた。

私は今日は最上さんが夜勤と言うことで寂しかった。

それに夜一人で心細かった。

そんな時、インターホンが鳴った。

「純一さん」

「梨花さん、開けてくれる?」

「どうしたんですか」

私は最上さんが夜勤で留守だったので、すぐには開けなかった。

「ごめん、ちょっと熱があって、ちょうど解熱剤切らしてて、ドラッグストア行ったんだけどこんな時間だから閉まってて、悪いんだけど解熱剤貰えないかな」

「すぐ開けます」
私はすぐにオートロックを解錠して純一さんを招き入れた。

「ごめんね、助かるよ」

「ちょっと待ってくださいね、今薬出しますから」

「うん、ありがとう」

そして純一さんは薬をのんだ。

「もう一つ頼みたいことがあって、何にも食べていないんだ、これからうちに帰っても一人じゃ作る気しないし、コンビニだと、食欲わかないし、何か作ってもらいたいんだけど」



「大丈夫ですよ、お粥作りましょうか」

「最高、頼むよ」

「ご馳走になったらすぐに帰るから」

私はお粥を作りはじめた。

リビングで純一さんがお粥を食べていると、ガチャっとドアが開いて、最上さんが帰ってきた。

「最上さん、今日は夜勤だったんじゃないですか」

「どう言うことだ、俺の留守になんでやつを入れた」

「純一さん、熱があって、解熱剤を買いに行ったんですがドラッグストアが閉まってて、
それで解熱剤をあげたんです」

「仲良くお粥食べてるってことか」

「すみません、留守中に上がり込んで、梨花さんの優しさに甘えさせてもらったんです」

「俺が帰ってこなかったら、これからよろしくやるところだったんじゃないか」

最上さん、怒ってる、そういえばこの間もこんな感じだったよね。

ヤキモチ妬いてるの?まさかね。

「出て行ってくれるか、具合が悪いんなら夜間救急外来でも行ってくれ」

「分かりました、留守中に上がり込んでしまい、申し訳ありませんでした」





純一さんは最上さんに頭を下げて、その場を後にした。

最上さんは私を睨んで意地悪な一言を投げかけた。

「追いかけなくていいのか」

最上さんは寝室のドアをバタンと力強く閉めた。

もう、確かに最上さんの留守中に純一さんを部屋に入れたのは私が悪い。

でも熱があったんだし、放っておけないじゃない。

それをいきなり怒鳴って、最上さんはよくわからない。

私は最上さんの寝室のドアの前で叫んだ。

「最上さん、純一さんの後を追いかけてもいいんですか」

本気じゃなかった、ただ最上さんの気持ちを確かめたかっただけなのに……

言ってはいけないことを言ってしまった。

ドアを開けて「行くんじゃない、俺の側にいろ」って言って欲しかった。

だけど、最上さんが私に向けた言葉は「追いかけたいなら勝手にしろ」と言う言葉だった。

最上さんは部屋から出てこない。
私は最上さんの以前に言われた言葉を思い出した。

(俺は去るものは追わない)
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