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結婚しても、この生活は変わらない。

そんな矢先、丈一郎さんの医学部時代の同期である安藤さんが訪ねて来た。

「こんな時間まで奴は仕事?」

「はい、あのう……」

「あっ、失礼、俺は最上と医学部の同期の安藤英人、よろしくね」

「私は丈一郎とお付き合いしています立花瑞穂です」

「最上と結婚するの?」

「はい」

この時私は迷っている心のうちを安藤さんに見抜かれていた。

「そうなんだ、でもどうしようかなって思ってるって顔に書いてあるけど」

「えっ」

私は自分の顔を手で触った。

「うっそ、瑞穂ちゃん、可愛いね」

「飯、まだだろ?どうせ、最上は午前様なんだろう?一緒に食いに行こうよ」

「でも……」

この時、丈一郎さんとは真逆の安藤さんに心惹かれはじめていた。

それから毎日、安藤さんはマンションにやってきて食事に付き合ってくれた。

私の寂しい気持ちを埋めてくれたのが安藤さんだった。

そして、男女が一緒に時間を過ごせば、当然の如く、見つめ合い、キスをして、

身体の関係まで進むのに時間は掛からなかった。




食事の帰り、私は帰りたくないと安藤さんとホテルに入った。

安藤さんは私を抱きしめて唇を重ねた。

彼の舌が入り込んで、心臓の鼓動がバクバク言いはじめた。

彼の手は私の胸に触れて、大きく動かした。

毎日、一緒にいるのに、丈一郎さんとは三ヶ月ほどご無沙汰状態だった。

私の身体は火がついたように激しく燃え上がった。

ブラウスのボタンが外されて、彼は私の胸の膨らみにキスをした。

背中が仰け反り、甘い吐息が漏れた。

「瑞穂ちゃん、感度いいね、もしかしてご無沙汰だった?」

「はい、三ヶ月ほど」

「嘘だろ、最上は何をやってるんだ、俺が瑞穂ちゃんを満足させてやるよ」

そう言うと、彼は手をいきなり、下着の中に入れて私の反応を楽しんだ。

頭がくらくらして、身体が燃えるように熱くなり、恥ずかしい状態になった。

それから毎日のように安藤さんと身体を重ねた。

「なあ、瑞穂ちゃん、最上と別れて、俺と付き合おうよ」

私は頷いていた。




そんなことになっているとは思いもよらず、その頃の最上は自分中心の

生活を優先していた。

俺は瑞穂が寂しい思いをしているなど想像も出来ずにいた。

仕事から帰ると、瑞穂が作ってくれた食事をたべ、シャワーを浴びて寝る、そんな生活だった。

瑞穂は何か話をしたいようだったが、俺が聞く耳を持たなかった。

話しかけるなオーラを目一杯出していた。

瑞穂は気遣いが出来る女だ、そんな俺の性格も分かっていた。
そして、病院の外線で瑞穂から別れを告げられた。

安藤と浮気したことは安藤から聞かされた。

「瑞穂ちゃんと別れたんだって?」

「なんでお前が知ってるんだ」

「瑞穂ちゃんと寝たのが俺だからだよ」

「てめえ」

俺は安藤の胸ぐらを掴み殴った。

「痛え、いきなり殴るかな、瑞穂ちゃんを放っておいたのは誰だよ」

「それが他の男と寝ていい理由にはならない」

「寂しい思いをさせておいて勝手なこと言うんじゃない」

「もう、俺には関係ないことだ、瑞穂はお前を選んだんだからな」


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