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第十七章 廉也の嫉妬

機嫌が悪い廉也

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廉也とみゆは婚姻届を提出した。

そして、東城ホールディングスとの契約のため、廉也は渡米の準備にかかった。。

旅行も兼ねてみゆを連れて行きたかったが、体調が優れなかったのだ。

「みゆ、ゆっくりしていろ、絶対に無理するな」

「はい、慎太郎さんによろしく伝えてください」

廉也の表情が変わった。

(あれ、廉也さん、怒ってる?)

「廉也さん、何か怒ってますか」

これから廉也としばらく離れ離れになるのに、廉也の機嫌が悪いのは嫌だった。

廉也は何も答えなかった。

そう、廉也はみゆが東城氏のことを慎太郎さんと呼んだことに、嫉妬したのだ。

もし、東城氏がみゆの前から姿を消さなかったら、みゆは東城氏の妻だったと思うと、

胸がざわついた。

(もしかして、みゆは今でも東城氏に思いを寄せているんじゃないだろうか)

それに橘龍司の存在も気になる。

みゆの初めての相手だ。

付き合っていた時は、みゆのアパートで毎日一緒だったと聞いている。

(俺とみゆはどうなんだ)

そんなことを考えると、みゆを日本においていくのも心配。

アメリカに連れていくのも心配だった。

(俺はどうすればいいんだ)

「もう、出発する」

「何時の飛行機ですか」

「高城に聞いてくれ」

廉也は自分の気持ちをどうしていいかわからず、明日の飛行機なのに、今晩はホテルに

宿泊することにした。

「いってらっしゃい」

いつもはギュッと抱きしめてくれるのに、冷たく背中を向けてドアの向こうに消えた。

みゆは寂しい夜を一人で過ごした。

次の日、みゆは廉也の言動がわからず、ゆかりに電話を入れた。

みゆは廉也との結婚を機に仕事を辞めた。

体調も優れなかったためだ。

(仕事中に電話しちゃだめかな)

そう思いながら、どうしても廉也のことが気になり電話をかけた。

「ゆかりさん、今大丈夫ですか」

「みゆさん、具合でも悪くなったの?」

「いえ、違います、あのう……」

みゆは廉也の事をどう話せばいいか迷っていた。

「廉也さんがなんか怒ってるみたいなんです、でも心辺りがなくて」

「廉也は東城ホールディングスとの契約で、今日の夕方の飛行機よね」

「えっ」

「あれ、違った?」
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