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第十二章 お前を取り戻す

楽しい会話、ドキドキする距離

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「もう少し入院させてくれ、頼む」

「わかった、ただし条件がある」

「なんだ」

「みゆちゃんに手を出すな」

「まだ出してねえけど」

「この間、みゆちゃんがお前の病室から戻って来た時、手が震えて、過呼吸寸前だったんだぞ、言ったよな、みゆちゃんの意に沿わないことはさせないようにって……何したんだ?」

「何って、だからまだ何もしてねえって」

「じゃ、何をしようとしたんだ」

廉也はしばらく黙っていたが、覚悟を決めて口を開いた。

「キス」

「おまえな」

「だから、まだしてねえよ、未遂だって」

「これ以上入院させておけない」

「反省してます、なんか喋ってて沈黙のあと見つめ合ったら我慢出来なくて……」

「抱きしめたのか?」

「だから触れてねえって」

「廉也、東京に帰れ」

「いやだ」

「それなら、みゆちゃんに指一本も触れるな、見つめ合うな、沈黙になるな」

「出来るだけ頑張るよ」

廉也はこの時北山先生の言いつけは守る気持ちは全くなかった。

私は廉也さんに病室に呼ばれた。

「みゆ、島見学したいんだけど、案内してくれる」

「先生に外出許可もらって来ますね」

廉也さんと出かける事が出来るとウキウキしていた。

「北山先生、桂木さんが島を見学したいとのことですが、外出許可頂けますか?」

「二人で行くの?」

「はい」

「大丈夫?」

「どう言う意味ですか」

「みゆちゃんが廉也と二人で出かけることが、嫌じゃなければいいんだけど……」

その時私は楽しみにしている自分がいることに気づいた。

手が震えた時も、廉也さんとのキスが嫌ではなく、キスしたかったんだと、自分の気持ちに気づいてしまった。

「大丈夫です」

そして私は廉也さんと出かけた。
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