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Vol.01 - 復活
01-016 復活
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「どうかしたんですか?」
難しい顔で考え込む様子のナオに、ケイイチが恐る恐る声をかける。
「おじさんが現れた」
「へ?」
ケイイチは、ナオの言う意味がよく分からずに呆けた表情になる。
「今現在の監視映像」
ナオはそう言って、リアルタイム映像から切り出したスナップを、ケイイチにARで投げてよこした。
その中身を確認して、ケイイチの目が見開かれる。
「これってどういう……」
「わからない」
「蘇った、って事ですか?」
ナオは黙って首を横に振る。
「亡霊とかそういう……」
「そんなものはいない」
言いながら、ナオはどんな可能性があるか考えていた。
6時間前に死んだのは、博士だと確定している。
遺体は間違いなく警察にある。
それに、博士はプライベート持ちだ。今こうして監視映像にはっきりと映っている事から考えても、これは博士とは別人と考えて間違いない……と思う。
――でも、じゃあ、別人だとして、狙いは何だ?
ここまで外見をそっくりにして、服装も同じにして。
やっている事は、博士と同じ、アンドロイドの破壊。
例の切断デバイス含め、博士が使っていたのと同じ機材一式を持ち、博士と全く同じ手順で今まさにアンドロイドを破壊している。
一体、これは何者だ?
何がしたい?
『私はこれを壊さなくてはいけないんです』
博士のその言葉と、どこか狂信的な目が脳裏をよぎる。
電脳を破壊しないといけない。
その執念が、博士を蘇らせたとでも言うのだろうか。
『またお目にかかりましょう』
あの言葉は、こうなる事を予見していた、という事なのだろうか。
――わからない。
わからない以上、ここで監視映像を眺めていても何も始まらない。
「とりあえず現場行く」
ナオはソファにかけてあった白衣を手に取り、いそいそと現場に向かう準備を始めた。
「助手は帰りな」
さすがにこれ以上、ただの素人であるケイイチを巻き込むわけにはいかない。ナオはケイイチに今日のバイトは終わり、とばかりに帰宅を促すが、
「あの……」
「ん?」
「一緒に行ってもいい……ですか?」
ケイイチは、恐る恐るそう言った。
「なんで?」
「えっと、気になるというか……」
この緊急時につまらない事を言うと容赦しないよ、とでも言わんばかりのナオの鋭い問いに、ケイイチはしどろもどろになりながら答える。
正直、ケイイチ自身も、自分がなんでそんな事を言い出したのか分からない。
自分のような素人がいたところで邪魔にしかならないだろうし、また数時間前のようなとんでもない場面に出くわす可能性もある。
それでも、ケイイチは行かなくてはいけない気がしていた。
尊敬する博士に関わる事の顛末を知りたいという気持ちもある。
でも――一番強い気持ちは何かと言われたら、それは多分、今さっき博士の死の現場を見て倒れたこの小さな女性を、一人で行かせるのは人として間違っている。そんな幼少期から培った無駄な正義感に突き動かされた、というのが正しいのかもしれない。
「中途半端な好奇心は危険」
「そういうんじゃないです」
「ふぅん」
ナオはじっとケイイチの目を見る。
ケイイチは、その目を真っ直ぐに見返す。
「危ない目にあうかも」
「大丈夫です」
ナオはそれ以上何も言わなかった。
ケイイチはそれを許可と受け取り、黙ってナオに付き従い、現場へと向かった。
難しい顔で考え込む様子のナオに、ケイイチが恐る恐る声をかける。
「おじさんが現れた」
「へ?」
ケイイチは、ナオの言う意味がよく分からずに呆けた表情になる。
「今現在の監視映像」
ナオはそう言って、リアルタイム映像から切り出したスナップを、ケイイチにARで投げてよこした。
その中身を確認して、ケイイチの目が見開かれる。
「これってどういう……」
「わからない」
「蘇った、って事ですか?」
ナオは黙って首を横に振る。
「亡霊とかそういう……」
「そんなものはいない」
言いながら、ナオはどんな可能性があるか考えていた。
6時間前に死んだのは、博士だと確定している。
遺体は間違いなく警察にある。
それに、博士はプライベート持ちだ。今こうして監視映像にはっきりと映っている事から考えても、これは博士とは別人と考えて間違いない……と思う。
――でも、じゃあ、別人だとして、狙いは何だ?
ここまで外見をそっくりにして、服装も同じにして。
やっている事は、博士と同じ、アンドロイドの破壊。
例の切断デバイス含め、博士が使っていたのと同じ機材一式を持ち、博士と全く同じ手順で今まさにアンドロイドを破壊している。
一体、これは何者だ?
何がしたい?
『私はこれを壊さなくてはいけないんです』
博士のその言葉と、どこか狂信的な目が脳裏をよぎる。
電脳を破壊しないといけない。
その執念が、博士を蘇らせたとでも言うのだろうか。
『またお目にかかりましょう』
あの言葉は、こうなる事を予見していた、という事なのだろうか。
――わからない。
わからない以上、ここで監視映像を眺めていても何も始まらない。
「とりあえず現場行く」
ナオはソファにかけてあった白衣を手に取り、いそいそと現場に向かう準備を始めた。
「助手は帰りな」
さすがにこれ以上、ただの素人であるケイイチを巻き込むわけにはいかない。ナオはケイイチに今日のバイトは終わり、とばかりに帰宅を促すが、
「あの……」
「ん?」
「一緒に行ってもいい……ですか?」
ケイイチは、恐る恐るそう言った。
「なんで?」
「えっと、気になるというか……」
この緊急時につまらない事を言うと容赦しないよ、とでも言わんばかりのナオの鋭い問いに、ケイイチはしどろもどろになりながら答える。
正直、ケイイチ自身も、自分がなんでそんな事を言い出したのか分からない。
自分のような素人がいたところで邪魔にしかならないだろうし、また数時間前のようなとんでもない場面に出くわす可能性もある。
それでも、ケイイチは行かなくてはいけない気がしていた。
尊敬する博士に関わる事の顛末を知りたいという気持ちもある。
でも――一番強い気持ちは何かと言われたら、それは多分、今さっき博士の死の現場を見て倒れたこの小さな女性を、一人で行かせるのは人として間違っている。そんな幼少期から培った無駄な正義感に突き動かされた、というのが正しいのかもしれない。
「中途半端な好奇心は危険」
「そういうんじゃないです」
「ふぅん」
ナオはじっとケイイチの目を見る。
ケイイチは、その目を真っ直ぐに見返す。
「危ない目にあうかも」
「大丈夫です」
ナオはそれ以上何も言わなかった。
ケイイチはそれを許可と受け取り、黙ってナオに付き従い、現場へと向かった。
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