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ダリス大王国との個別会談
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アレクセイは謁見の間で本日の会談相手、ダリス大王国のフリードリヒ第一王子を待っていると、
『ダリス大王国フリードリヒ第一王子をお連れしました。』
その言葉と共に中央の大きな扉が開かれた。
『申し訳ない、お待たせしましたね。』
颯爽とフリードリヒ第一王子は現れた。
無駄な挨拶は省かれフリードリヒはソファに腰を下ろした。
『孤児院はいかがでしたか?』
アレクセイが王子スマイルで問うと
フリードリヒも王子スマイルで返す。
『楽しませて頂きました。』
‥後ろに控えるレイモンドは完全無欠の王子2人の眩しさに目がクラクラとした。
『ところで、シルビア嬢の婚約者とは貴方かな?』
フリードリヒはいきなりレイモンドに声を掛けた。
レイモンドは一瞬固まり、少し遅れて
『はいっ』
頭を垂れた。
『アレクセイ殿。この縁談は整うまで時間を要したと聞いております。にもかかわらず王命を出されていない。ということはアレクセイ殿の側近が、渋っていたということですね?』
アレクセイは驚き言葉を詰まらせた。
『‥』
『ならば無理をなさずとも良い。シルビア嬢をダリスに連れて帰りたい。同じ政略結婚であるならどちらでも同じでしょう?むしろこちらの方が条件が良いのでは?』
アレクセイはレイモンドに視線を送る。レイモンドも困惑を隠せない。
『ならば公爵と候爵をこちらに呼んで頂けぬか?私が両家が納得する条件をお出ししますから。』
流石にアレクセイもこれには口を開く。
『フリードリヒ殿。お待ち下さい。シルビア嬢はこのレイモンドと婚約を公の場で発表したばかりです。』
フリードリヒは全てを知ってるように、
『何か問題ありますか?』
‥いやいや問題しかないだろう?
『アレクセイ殿も婚約破棄からの現在の王妃であろう?』
痛い所を付かれたアレクセイは怪訝そうな表情で問う。
『何故シルビア嬢なのですか?』
『シルビア嬢を娶りたいからですよ?』
『だから何故?』
『逆に何か問題が?』
『シルビア嬢には婚約者がいます。』
『でも、その婚約者は乗り気ではない。』
『‥』
フリードリヒはレイモンドに向けて
『問題あるのかな?』
レイモンドは答える事が出来ない。
『政略結婚だろ?代わりはいるであろう?』
黙りこくるレイモンドに
『シルビア嬢は貴方にご執心なのかな?』
こちらの問いにもレイモンドは答えられない。
『わからないよ。たかだか政略結婚なのでしょう?相手が代わる事など、よくある話し。なぜ躊躇われる?貴方はシルビア嬢を愛していると言うなら分かるよ。でもそうでは無い。ならばシルビア嬢が愛される環境へ送り出す器はないのかな?幸せにするよ?』
レイモンドは唇を噛み締めている。
アレクセイは
『シルビア嬢にも話を聞かなければなりません。』
『それは分かっているよ。最終日の夜会は私に彼女をエスコートさせてほしい。』
アレクセイはソファから立ち上がり
『夜会では婚約者がエスコートするのが常です。』
フリードリヒはニヤリと笑い
『ですがあいにく私は妻帯しておらず、我が国には王女も居ない。今回の会議には私一人で参加しているのだ。この私を夜会で一人にするの?』
‥
ようやくレイモンドが口を開く。
『フリードリヒ殿下、1つよろしいですか?』
フリードリヒは笑顔で答える。
『1つと言わず幾つでも構わないよ。』
『ダリス大王国の王族は聖なる力をお求めになられるのではごさいませんか?』
余裕のあるフリードリヒ。
『そうだね。でもね、我が国には既にオッドアイの2人が国を治めているだろ?それにね私はオッドアイを求める結婚を望んでいないのだ。結果的にオッドアイになったらむしろラッキー的な?だからこそ私は気楽な立ち場で将来共に歩みたいと思える令嬢と一緒になりたいのさ。だから夜会の件はお願いするね?』
フリードリヒは優しい口調ではあるが、これはお願いでは無い。まして拒否権など招待国としては持ち得ていない。
こうして最終日の夜会にはシルビアをエスコートするフリードリヒを見守る事になったレイモンドである。
『ダリス大王国フリードリヒ第一王子をお連れしました。』
その言葉と共に中央の大きな扉が開かれた。
『申し訳ない、お待たせしましたね。』
颯爽とフリードリヒ第一王子は現れた。
無駄な挨拶は省かれフリードリヒはソファに腰を下ろした。
『孤児院はいかがでしたか?』
アレクセイが王子スマイルで問うと
フリードリヒも王子スマイルで返す。
『楽しませて頂きました。』
‥後ろに控えるレイモンドは完全無欠の王子2人の眩しさに目がクラクラとした。
『ところで、シルビア嬢の婚約者とは貴方かな?』
フリードリヒはいきなりレイモンドに声を掛けた。
レイモンドは一瞬固まり、少し遅れて
『はいっ』
頭を垂れた。
『アレクセイ殿。この縁談は整うまで時間を要したと聞いております。にもかかわらず王命を出されていない。ということはアレクセイ殿の側近が、渋っていたということですね?』
アレクセイは驚き言葉を詰まらせた。
『‥』
『ならば無理をなさずとも良い。シルビア嬢をダリスに連れて帰りたい。同じ政略結婚であるならどちらでも同じでしょう?むしろこちらの方が条件が良いのでは?』
アレクセイはレイモンドに視線を送る。レイモンドも困惑を隠せない。
『ならば公爵と候爵をこちらに呼んで頂けぬか?私が両家が納得する条件をお出ししますから。』
流石にアレクセイもこれには口を開く。
『フリードリヒ殿。お待ち下さい。シルビア嬢はこのレイモンドと婚約を公の場で発表したばかりです。』
フリードリヒは全てを知ってるように、
『何か問題ありますか?』
‥いやいや問題しかないだろう?
『アレクセイ殿も婚約破棄からの現在の王妃であろう?』
痛い所を付かれたアレクセイは怪訝そうな表情で問う。
『何故シルビア嬢なのですか?』
『シルビア嬢を娶りたいからですよ?』
『だから何故?』
『逆に何か問題が?』
『シルビア嬢には婚約者がいます。』
『でも、その婚約者は乗り気ではない。』
『‥』
フリードリヒはレイモンドに向けて
『問題あるのかな?』
レイモンドは答える事が出来ない。
『政略結婚だろ?代わりはいるであろう?』
黙りこくるレイモンドに
『シルビア嬢は貴方にご執心なのかな?』
こちらの問いにもレイモンドは答えられない。
『わからないよ。たかだか政略結婚なのでしょう?相手が代わる事など、よくある話し。なぜ躊躇われる?貴方はシルビア嬢を愛していると言うなら分かるよ。でもそうでは無い。ならばシルビア嬢が愛される環境へ送り出す器はないのかな?幸せにするよ?』
レイモンドは唇を噛み締めている。
アレクセイは
『シルビア嬢にも話を聞かなければなりません。』
『それは分かっているよ。最終日の夜会は私に彼女をエスコートさせてほしい。』
アレクセイはソファから立ち上がり
『夜会では婚約者がエスコートするのが常です。』
フリードリヒはニヤリと笑い
『ですがあいにく私は妻帯しておらず、我が国には王女も居ない。今回の会議には私一人で参加しているのだ。この私を夜会で一人にするの?』
‥
ようやくレイモンドが口を開く。
『フリードリヒ殿下、1つよろしいですか?』
フリードリヒは笑顔で答える。
『1つと言わず幾つでも構わないよ。』
『ダリス大王国の王族は聖なる力をお求めになられるのではごさいませんか?』
余裕のあるフリードリヒ。
『そうだね。でもね、我が国には既にオッドアイの2人が国を治めているだろ?それにね私はオッドアイを求める結婚を望んでいないのだ。結果的にオッドアイになったらむしろラッキー的な?だからこそ私は気楽な立ち場で将来共に歩みたいと思える令嬢と一緒になりたいのさ。だから夜会の件はお願いするね?』
フリードリヒは優しい口調ではあるが、これはお願いでは無い。まして拒否権など招待国としては持ち得ていない。
こうして最終日の夜会にはシルビアをエスコートするフリードリヒを見守る事になったレイモンドである。
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