上 下
61 / 76

国際会議

しおりを挟む
朝から続々と王宮入りする王族を迎える貴族らで、ごった返す王宮。

アナスタージアとアレクセイは正装でエントランスで迎える。アナスタージアも王妃として初めての国際会議。

日頃は幼く見えるアナスタージアだが、凛とした表情でもてなしを行う。先ずは完璧な滑り出し。

アナスタージアは各国王族の紋章をそれぞれ刺繍をし
今回の国際会議の手土産の品と一緒に渡せる様に用意していた。これにはレイモンドも驚き、アナスタージアを発掘さした自分を褒めてやりたかった。



緊張感あふれる会議も無事終わりアレクセイとレイモンドは執務室に戻ると笑顔のアナスタージアが迎える。


3人でひとまず息を付き、明日からの個別会談の準備に入った。


日程も順調に進み、貴族からもその都度進捗情報が集まり、それらを確認する作業もアナスタージアが担っていた。




朝から晴れ渡る、日程5日目。
シルビアはダリス大王国フリードリヒを孤児院視察にお連れする為、王宮に上がっていた。


馬車の前で待機するシルビアを遠巻きに見つけたレイモンドは足を止めた。


シルビアが待つ馬車にフリードリヒが護衛を連れて現れた。
シルビアがカーテシーをするとフリードリヒは笑顔でシルビアに挨拶している。


流石のシルビアも緊張からか顔が強張っているが、今日も相変わらず美しい。

レイモンドは我に返り、歩みを前に進めて行った。




『殿下、本日はよろしくお願いいたします。』

シルビアがフリードリヒに頭を下げると、お得意の王子様スマイルで、答えるフリードリヒ。

『はじめましてではないよね?』

『はい、留学先の夜会でご挨拶させて頂きました事がございます。』


フリードリヒはにっこりと微笑み


『覚えていてくれたの?嬉しいよ。私はね今回貴女に会いたくてここに来たのだからね。』


シルビアは大きな瞳を更に大きくして驚いた。

『何か失礼がございましたでしょうか?』


『いやいや、そうではないよ。何でもね、とある候爵令嬢が男爵令嬢に言ったそうだよ。男爵令嬢だからバカにされているのではない。貴女だからバカにされている。男爵令嬢でも素晴らしい令嬢は居るとね。』


青ざめるシルビアに対してフリードリヒは

『至極全うな事だろう?』


シルビアは俯きながら

『お耳汚しをいたしました。』

『違う違う!私はシルビア嬢のイメージを勝手に作ってしまっていたからね。この話しを聞いて、その令嬢に興味を持って聞いたらシルビア嬢って言うから実際に会って見たくなって、力を使ってここに来たんだよ』

軽く答えるフリードリヒをゆっくり見上げるとそこには完全無欠な王子様が微笑んでいた。



その後の馬車の中でも穏やかな時間が流れる。

『ダリス大王国は王子がご誕生との事でしたわね。おめでとうございます。』


シルビアの問い掛けに喜びを爆発させるフリードリヒ。フリードリヒは自他認める叔父バカである。


『もぉね、ヤバいの。可愛くて。毎日私を見ると微笑むんだよ。だんだん私に似てきている気がするよ。』


‥えっと?国王のお子さまですわよね?


『ここにも連れてきたかったんだけどね。』


‥それは流石に第一王子でも無理でしょう。


言葉にならないシルビアを気にせず


『シルビア嬢も見てみたいだろ?』

シルビアは引き攣りながらも

『可愛らしいのでしょうね?』

小さく微笑むと

『疑問符はいらないよ。実際カワイイからね。』

満面の笑みのフリードリヒにもはや返す言葉はみつからない。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

離婚の勧め

岡暁舟
恋愛
思いがけない展開に?

捨てられた中ボス令嬢だけど、私が死んだら大陸が滅ぶらしいです。

雨野
恋愛
母を失ったばかりの伯爵令嬢セレストは、自身を嫌悪する父親により森に捨てられた。 獣に襲われもう駄目だと諦めた瞬間、使い手の希少な魔法の力に目覚め、獣は砂となって消える。 同時に彼女の頭に「マリン」と名乗る女性の声が聞こえるようになり、マリンの持つ特別な力を授かった。 'セレスト〜!ほら構えて!' 「う、うん…そいやっ!!…やった今日のご飯ゲット!」 魔法とマリンの力を使い、魚を捕まえたり洞窟暮らしのサバイバルを楽しむ2人。 伯爵家に復讐を…と考えもしたけれど。 マリンとの暮らしが楽しすぎて、どうでもいいやとバッサリ断ち切り。 どうぞ私は抜きで、幸せな家庭を築いてくださいね。それより今日は町でお買い物!久しぶりにお肉食べたいな〜♪ ずっとこのままでもいいかな〜と思い始めるも、セレストの生活は多くの人を巻き込んで、度々波乱を起こすのであった。 異世界転生風の何かなお話。 逆ハーレムですが、最終的に1人を選びます。 シリアスにしたかったけど無理だった。基本コメディ、時々シリアス。 基本的に主人公視点で物語は進みます。時折三人称、タイトルに*が付いているのは他キャラ視点。 1章完結。 2章の青年期になると、ラッキースケベ的なイベント展開増えます。R-15程度ですが、主人公が色んな人とイチャコラするのが無理な方は逃げてください。

【完結済】悪役になりきれなかったので、そろそろ引退したいと思います。

木嶋うめ香
恋愛
私、突然思い出しました。 前世は日本という国に住む高校生だったのです。 現在の私、乙女ゲームの世界に転生し、お先真っ暗な人生しかないなんて。 いっそ、悪役として散ってみましょうか? 悲劇のヒロイン気分な主人公を目指して書いております。 以前他サイトに掲載していたものに加筆しました。 サクッと読んでいただける内容です。 マリア→マリアーナに変更しました。

【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています

如月ぐるぐる
ファンタジー
公爵令嬢フランチェスカは、誕生日に婚約破棄された。 「王太子様、理由をお聞かせくださいませ」 理由はフランチェスカの先見(さきみ)の力だった。 どうやら王太子は先見の力を『魔の物』と契約したからだと思っている。 何とか信用を取り戻そうとするも、なんと王太子はフランチェスカの処刑を決定する。 両親にその報を受け、その日のうちに国を脱出する事になってしまった。 しかし当てもなく国を出たため、何をするかも決まっていない。 「丁度いいですわね、冒険者になる事としましょう」

妹に寝取られたら……婚約破棄、じゃなくて復讐!!!

tartan321
恋愛
いいえ、私は全て知っていますので……。 許しませんよ????????

私はあなたの何番目ですか?

ましろ
恋愛
医療魔法士ルシアの恋人セシリオは王女の専属護衛騎士。王女はひと月後には隣国の王子のもとへ嫁ぐ。無事輿入れが終わったら結婚しようと約束していた。 しかし、隣国の情勢不安が騒がれだした。不安に怯える王女は、セシリオに1年だけ一緒に来てほしいと懇願した。 基本ご都合主義。R15は保険です。

グラティールの公爵令嬢

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
ファンタジーランキング1位を達成しました!女主人公のゲーム異世界転生(主人公は恋愛しません) ゲーム知識でレアアイテムをゲットしてチート無双、ざまぁ要素、島でスローライフなど、やりたい放題の異世界ライフを楽しむ。 苦戦展開ナシ。ほのぼのストーリーでストレスフリー。 錬金術要素アリ。クラフトチートで、ものづくりを楽しみます。 グルメ要素アリ。お酒、魔物肉、サバイバル飯など充実。 上述の通り、主人公は恋愛しません。途中、婚約されるシーンがありますが婚約破棄に持ち込みます。主人公のルチルは生涯にわたって独身を貫くストーリーです。 広大な異世界ワールドを旅する物語です。冒険にも出ますし、海を渡ったりもします。

妹の方が綺麗なので婚約者たちは逃げていきました

岡暁舟
恋愛
復讐もめんどくさいし……。

処理中です...