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再び修道院へ

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レオナルドはフレディックとファビウスを連れ、再度修道院へ向かった。

待ってましたの如くマリアンヌは部屋へ通した。


『やはり来られましたね。お調べになられるとは思っておりましが、思った以上に早くでございました。』


『‥他国の公爵令嬢が我が国の修道院に入っていると分かった以上、話は聞かねばならんだろう?』


そう言うとレオナルドは出されたお茶を口にした。


そこへステファニーが呼ばれ、マリアンヌは静かに部屋を出た。長く続く沈黙。3人は息を呑んでステファニーを見るがステファニーは黙ったまま、真っ直ぐこちらを見据えている。


『バーナディン公爵令嬢とな?』

口火を切るのはレオナルド。

『ステファニー・バーナディンでございます。』

ステファニーは立ち上がりカーテシーをすると

『よい、貴女が我が国の修道院に居る理由は?』


レオナルドは単刀直入に問う。



『私は何もやましいことなどございません。』

真っ直ぐにレオナルドの目を見て答える。


『もちろん、あっては困る。その上で問うておる。』


ステファニーは大きく息を吐き答える。

『王族の権力から逃れる為でございます。‥貴族の娘としてあるまじき行為と思われるならその通り。いかようにも‥』


こちらも大きく溜息を付き


『ならば質問を変える。修道院での暮らしはどうだ?』


これには、パッと笑顔の花を咲かせ

『最高にございます!』

驚く顔を見合わせる3人。

『私は産まれながら王太子妃となるべく育てられたので‥
メープル王国の王太子妃教育は、ここでの暮らしよりも遥かに大変でしたから。』


いやいや大袈裟であろう?首をひねる3人。


『ここでは人と会話が出来ますもの。食事などとても楽しみですわ。』


それには、フレディックが


『令嬢、よろしいですか?修道院では食事の際は私語は禁止なはずですが?』


ステファニーは微笑み頷き

『もちろんです。ですが心の会話は出来ますわ。顔色を見ればご気分が優れないのかしら?とか充実したお時間だったのね?とか私が思えば相手も必ずその表情で頷いて下さいます。言葉とは思いを伝えるツールでしかありませんもの。』



遠い眼差しを遮るようにレオナルドが続ける。

『お話しが出来るというだけで?』


疑いの目にこちらも微笑み頷きながら

『もちろんそれだけではありません。
メープルに居た頃は完璧な王太子妃に繋がる生活を強いられておりました。分刻みのスケジュール。出される食事も最高級。着せられるドレスも最上級。そこに私の意志などありませんわ。ただのお人形。』


『どこの王太子妃も同じようなものでは?』

ファビウスが無表情のまま問う。


『そうかもしれませんね。それに耐えられず、こちらに逃げ込んだ私は卑怯なのかもしれません。』

『公爵は?一人娘などであろう?』

レオナルドは腑に落ちない様子で問う。

『お調べ頂きましたらすぐに分かると存じますが、今も尚、バリバリ働いていらっしゃる事でしょう。もちろん兄も。』


自分が、いても居なくても関係ない旨をこちらも何とも思っていない風に答えるステファニーに3人は返す言葉が見つからなかった。
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