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コウノトリ現る

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『で?どうしたの?何の話し?』


ニヤニヤと薄気味悪い笑顔を振りまくクラリスにテオドールはため息を1つ。


王宮主催の夜会も滞りなく終え、アンドラも侯爵を賜り一息。穏やかな日常が戻ってきたランズ王国である。


クラリスも淑女教育の大役を終え肩の荷をおろしていたのも、束の間すぐに勢力的に執務をこなしている毎日。この日は珍しくテオドールからのお誘いでガセボで2人お茶会である。


『お茶ならわざわざここまで来なくても執務室で、フィリップスが淹れてくれるわよ?』


…フィリップスはお茶汲みじゃねえしな?


『で?テオ。誰なの?』


『…は?』


『恋煩いのお相手よ。』


テオドールはいきなり飛んできた球を打ち返す事もできずズッコケた。


『あいにく、私は妃殿下のように脳内花畑な脳みそは持ち備えておりませんから。そんな恋煩いなどしておる時間もありませんよ。』

クラリスは驚いたように


『だったらなに?それ以外に貴方が私を頼る事あるかしら?』


…何でお前を頼るんだよ、俺が。



『妃殿下、たまにはゆっくりされてはいかがですか?このところ忙しくされておりましたし、よい機会です。王宮医に診てもらいましょう。』


テオドールは引き攣りながらも笑顔を作ると
クラリスは首を傾げ

『テオ、具合でも悪いの?』


…話の流れ理解してるか?


『私ではありません。妃殿下ですよ。』


クラリスは大きな瞳をパチクリさせ


『え?私?どこも悪くないわよ?』


『ですから悪くなる前に念には念をです。簡単な検査ですよ。我が国では普通ですよ?』


『…痛い事しない?』


…子どもかよ

テオドールはクラリスを睨みつけると

『はい。』


『何で怒ってるのよ』


『面倒くさい事をおっしゃるからです。』



ここまでくればいつもの2人である。






この日テオドールに言われ受けた健診でクラリスの懐妊が明らかとなったのである。




『よいか?まだ内密に頼む。殿下には妃殿下がお話しされるであろうからお前は口外せぬように。』


王宮医は頭を下げて王宮を後にした。










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