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和やかなひとと
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アルフレッドはこの日朝からクラリスの執務室へ軟禁状態となっていた。
『アルフレッド様、良いですか?令嬢らには表と裏の顔がありますからね?これを見極めるのが至難の業なのです。』
…。
別にアルフレッドは令嬢を見る目が無いのではない。端的に言うと興味が無いだけである。
『誰でも1度や2度の失敗はございます。』
…?
『先ず貴族令嬢ではなく王女はと言いますとね、これはなかなか厄介なのです。その国で絶対的権力の下育てらておりますからね…』
腕組みをしながら考え込むクラリスをアルフレッドは不思議そうに見ていると、テオドールが執務室に戻ってきた。テオドールはアルフレッドを見ると急いで礼を取るも、アルフレッドは表情だけでそれを制し顎を突き出しテオドールをデスクへと促した。
…執務にかかれ。
テオドールはアルフレッドの心の声に頷き大人しく席に付いた。
『そうだわ。良い例えがございました。殿下はご存知がどうか分かりませんがパナン王国にエリザベスという王女がおりましてね?』
テオドールは思わず口に含んだお茶を吹き出しそうになり慌ててアルフレッドを見るもアルフレッドは顔色1つ変えないでクラリスの話しに耳を傾けている。
…おいおいまぢかよ。
『あの美貌とスタイルから醸し出すオーラ。あれだけ揃っていれば彼女が少し口角を上げて微笑むだけで、それを見た者はうぉ♡となるわけですね。はい。殿下はご存知ないお方でしょうけどね?全く縁もゆかりも無いお方ですわよ?』
…。
…そこまで言うと、もはやいじってるだろ?
テオドールはアルフレッドの顔色を伺う。
『寡黙…。そうこの寡黙さが何とも厄介なのです。あの王女のオーラとは寡黙さがそれを助長させていますわ。何も無駄な事を話されないが故にたまに口を開いただけでそれを聞いた者はこれまた、うぉ♡となるわけです。そんなだから彼女が何か言おうもんなら、小一時間程講演を聞いたかのように錯覚を起こすものなのです。ですが蓋を開けてみれば、頭はちょっと、いやかなり弱いようでございましたの。』
…。
…何が言いたいんだよ。全く。
テオドールは辟易としながらクラリスを軽く睨みつけた。
『一方の私。一応これでもリントン第1王女なのですが、残念な事にあの絶世の美女とは雲泥の差。』
…。
『確かに…』
ついに漏れたテオドールの声にクラリスはチラリと睨みつけ
『王女の風格こそ身につけてはございませんが、が!しかし。私には心がありますわ。民と共に生きる覚悟がありますの。それは見てくれでは分かりませんでしょ?確かに風格はございません。オーラも』
クラリスが気持ちよく乗ってきたところでテオドールの
『無いな。』
クラリスはテオドールを睨みつけると
『煩い!…ゴホン。殿下よろしいですか?王女なんぞや、たいていが頭空っぽな世間知らずが多いもんです。だからパナン王国エリザベス様も特別ではなく、王女なんぞどこの誰でもそれほど変わりませんのよ。だから虫に刺されたとでも思って忘れる事です。』
ここまで黙って聞いていたアルフレッドが口を開いた。
『それを言うなら、犬に噛まれたと思ってではないのか?』
…(笑)
肩を震わすテオドール。
『…そうとも言いますわね。とにかく!私が言いたいのは、失恋を癒すには次の恋ですわ!殿下。』
『別に私は失恋などしておらんが?そもそもエリザベスと口をきいた事もそんなにないぞ?』
…へ?
固まるクラリスにテオドールは笑いを必死に堪え
…要はなぐさめてるつもりか?
アルフレッドはソファから立ち上がり
『クラリス、君の話しは理解した。礼を言う。』
何やら嬉しそうに手を上げると執務室を後にした。
クラリスはアルフレッドが出ていくと大きく息を吐きソファへ飛び込んだ。
『ひやぁ緊張したわ~』
…緊張?嘘だろ。
テオドールはソファに横になる、王太子后オーラゼロのクラリスをクラリスにため息を吐き頭を抱えた。
…勘弁してくれよ。
『アルフレッド様、良いですか?令嬢らには表と裏の顔がありますからね?これを見極めるのが至難の業なのです。』
…。
別にアルフレッドは令嬢を見る目が無いのではない。端的に言うと興味が無いだけである。
『誰でも1度や2度の失敗はございます。』
…?
『先ず貴族令嬢ではなく王女はと言いますとね、これはなかなか厄介なのです。その国で絶対的権力の下育てらておりますからね…』
腕組みをしながら考え込むクラリスをアルフレッドは不思議そうに見ていると、テオドールが執務室に戻ってきた。テオドールはアルフレッドを見ると急いで礼を取るも、アルフレッドは表情だけでそれを制し顎を突き出しテオドールをデスクへと促した。
…執務にかかれ。
テオドールはアルフレッドの心の声に頷き大人しく席に付いた。
『そうだわ。良い例えがございました。殿下はご存知がどうか分かりませんがパナン王国にエリザベスという王女がおりましてね?』
テオドールは思わず口に含んだお茶を吹き出しそうになり慌ててアルフレッドを見るもアルフレッドは顔色1つ変えないでクラリスの話しに耳を傾けている。
…おいおいまぢかよ。
『あの美貌とスタイルから醸し出すオーラ。あれだけ揃っていれば彼女が少し口角を上げて微笑むだけで、それを見た者はうぉ♡となるわけですね。はい。殿下はご存知ないお方でしょうけどね?全く縁もゆかりも無いお方ですわよ?』
…。
…そこまで言うと、もはやいじってるだろ?
テオドールはアルフレッドの顔色を伺う。
『寡黙…。そうこの寡黙さが何とも厄介なのです。あの王女のオーラとは寡黙さがそれを助長させていますわ。何も無駄な事を話されないが故にたまに口を開いただけでそれを聞いた者はこれまた、うぉ♡となるわけです。そんなだから彼女が何か言おうもんなら、小一時間程講演を聞いたかのように錯覚を起こすものなのです。ですが蓋を開けてみれば、頭はちょっと、いやかなり弱いようでございましたの。』
…。
…何が言いたいんだよ。全く。
テオドールは辟易としながらクラリスを軽く睨みつけた。
『一方の私。一応これでもリントン第1王女なのですが、残念な事にあの絶世の美女とは雲泥の差。』
…。
『確かに…』
ついに漏れたテオドールの声にクラリスはチラリと睨みつけ
『王女の風格こそ身につけてはございませんが、が!しかし。私には心がありますわ。民と共に生きる覚悟がありますの。それは見てくれでは分かりませんでしょ?確かに風格はございません。オーラも』
クラリスが気持ちよく乗ってきたところでテオドールの
『無いな。』
クラリスはテオドールを睨みつけると
『煩い!…ゴホン。殿下よろしいですか?王女なんぞや、たいていが頭空っぽな世間知らずが多いもんです。だからパナン王国エリザベス様も特別ではなく、王女なんぞどこの誰でもそれほど変わりませんのよ。だから虫に刺されたとでも思って忘れる事です。』
ここまで黙って聞いていたアルフレッドが口を開いた。
『それを言うなら、犬に噛まれたと思ってではないのか?』
…(笑)
肩を震わすテオドール。
『…そうとも言いますわね。とにかく!私が言いたいのは、失恋を癒すには次の恋ですわ!殿下。』
『別に私は失恋などしておらんが?そもそもエリザベスと口をきいた事もそんなにないぞ?』
…へ?
固まるクラリスにテオドールは笑いを必死に堪え
…要はなぐさめてるつもりか?
アルフレッドはソファから立ち上がり
『クラリス、君の話しは理解した。礼を言う。』
何やら嬉しそうに手を上げると執務室を後にした。
クラリスはアルフレッドが出ていくと大きく息を吐きソファへ飛び込んだ。
『ひやぁ緊張したわ~』
…緊張?嘘だろ。
テオドールはソファに横になる、王太子后オーラゼロのクラリスをクラリスにため息を吐き頭を抱えた。
…勘弁してくれよ。
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