愛を知らない２人はお似合いでした【完】

対面した２人

不思議そうにフリードリヒを上から下まで眺めているリンドル王女に

『どうかされましたか？』


フリードリヒは相変わらずの笑顔を向けた。その笑顔にこれまた驚いたようにリンドル王女は目を丸くしている。


…んだよ？


『へぇ～』


…へぇ～ってあんた王女だろうよ？

側近のテオドールもまた不思議そうにリンドル王女を見た。


『流石は王太子殿下。私は学園での殿下しか存じませんので（笑）』


…何が可笑しい？

テオドールが怪訝そうにリンドル王女を見ると


『だっていつもいつも品の無い令嬢を侍らして楽しそうにしていらした姿しか思い出せませんでしたもの♬』


…そこまでは聞いてない！

テオドールは恐る恐るフリードリヒを覗き見るとフリードリヒは変わらず笑顔で話しを聞いていた。


『そうでしたか。しかしながら王女こそ、流石は王女。公式の場となればこのように美しくなられる。私こそいつも本の虫になっておられた貴女しか思い出す事は出来ませんよ。』


笑顔で嫌味をぶっこむフリードリヒをリンドル王女は鋭い視線を投げつけた。


『でも、まあお互いどうであれ我々王族や貴族らの結婚など課題を１つ終わらせるようなものです。我々も務めを果たし後は気楽にいきましょう。』


優雅に足を組み替えるフリードリヒをリンドル王女は終始冷めた視線で見つめていた。


『テオドール、後は頼むよ』

フリードリヒはそれだけ言うとリンドル王女に笑顔を向けて部屋を後にした。



…ったく。何なんだよ…。


フリードリヒは頭をくしゃくしゃっと掻きむしり私室へと足を運んだ。