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縮まる2人

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ヨハネスはエリーヌと2人になるとエリーヌの側に寄りエリーヌを真っ直ぐ見据える。

『何故庇った?』


『事を大きくしたくは無かったのです。』

上辺で微笑むエリーヌから目を逸らしヨハネスは再度問う。

『貴女は今や私の妃だけど?』


…。


『王族に手を掛けたら極刑だ』

冷たく問うヨハネスに

『ならば私とて極刑ですわ。』

小さく呟くエリーヌ。




『すまない。責めるつもりはない。』



『ステファニー様とマリ王女はただならぬ関係だと感じました。我が国の公爵令嬢が他国の王女との駆け引きがあるならば、それは何かを知り得る為です。かつて王太子妃であるキャサリン様がしたように。』


『義姉上か…。』


ため息を付くヨハネスは

『分かった。それはこちらで調べる。』






『後…』

『うん?』

ヨハネスはエリーヌを覗き込むと

『申し訳ありません。』


『…何がかな?』 


『今回の事で、マリ王女を巻き込んだ形となり…』


…。


『巻き込んだって巻き込まれたのは貴女であろう?』


ステファニーは頭を巡らせ


『ですが、殿下の大切な方であるのに…』



…? 


『どうゆう事?』


ステファニーは言いにくそうに


『その、契約が終れば…その、大切な方と。その…』


…?

『ごめん、話が見えない。』


困り果てるステファニーを見つめていると


『ですからマリ王女に何かあれば、その契約期間が切れた後なかなか難しいのではないかと…』



『何が?難しいのかな?』


『妃に迎え入れるのが…』


…?


『どうして私がマリ王女を妃に迎え入れるの?』


『へっ?』

ポカンと首を傾げるエリーヌに


『何?今は脳内花畑中なの?』


エリーヌはおもむろに起き上がると


『違います!ですからマリ王女と恋仲であった殿下にご迷惑をお掛けする事になってしまうかと!』


…?


『ちょっ、ちょっと待って。誰と誰が恋仲なの?』


だんだんと不機嫌になりつつあるエリーヌはバタンとベッドに横になると布団を被って

『ムヌク王国第2王子のヨハネス殿下とマリ王国の王女様ですわ!』



…。


布団の中で目を閉じているエリーヌの耳にケラケラと笑うヨハネスの声が聞こえてくる。エリーヌは
またも起き上がると


『何がおかしいのですか?』


ヨハネスはエリーヌの感情を初めて感じ嬉しそうにニヤニヤと笑っている。


『ごめんごめん。でもマリ王女と私は恋仲ではないしそんな事実は今も昔もないけどね?』


『へ?』


またもポカンとするエリーヌにヨハネスは自分でも驚く程愛おしく感じた。


『でも、契約がって…あれ?』

頭が混乱中のエリーヌにヨハネスは追い打ちを掛けるように


『だいたい、脳内花畑の君が契約結婚と吹聴して回ってたからね。』


『…。私にも事情ってものがありましたから…』


しょんぼりするエリーヌにまたもヨハネスはノックアウト。


『そもそもこの契約結婚に期間は無いからね?無期なの。いい?死ぬまでって事。だから君が修道院へ入る事もましてやエリックの妃になることもあり得ないからね?』

『…。エリック殿下?』


『んな事はいいから。分かった?』


…。

『何?嫌なの?ってかこれは命令だからね?』


『すみません、自然に脳内お花畑になったかもしれません。』


『は?』


怪訝そうにエリーヌを見つめるとエリーヌは大きな瞳をくるくる回しながら考え込み


『契約に期間がなければ何の契約なのでしょう?そもそも私達には政略結婚は値しないのですよね?』



…。


『脳内花畑なくせに余計な事は覚えてるんだね?』


『へ?』


『ねえ、それ天然なの?計算なの?』


ますます混乱してきたエリーヌは本気で自分の頭を案じ出した。


『まずいですわ。螺旋階段から落ちて本当に頭が悪くなってしまったみたいです。』


頭を抱えるエリーヌをヨハネスは自分の胸の中に抱き込んだ。


…。…?分からないわ。



混乱中のエリーヌの耳元でヨハネスは優しく囁く。


『私の妃はエリーヌ、君だけだ。』 


思考停止のエリーヌは尚も固まる。


…???


『君が望むなら毎日かすみ草を贈るよ?』


驚きヨハネスを見上げるエリーヌにヨハネスはゆっくりとキスを落とした。


…???


『まだ分からないかな?エリーヌは本当におバカになったんだね?』


『!今だけです。頭を打ったからですわ!』


ヨハネスはエリーヌの抗議を笑顔で受けると

『愛している、エリーヌ。』


…!!!


真っ赤になり瞬きを重ねるエリーヌにヨハネスは再び、今度は深いキスを仕掛けてみせた。


驚いていたエリーヌだが、やがて息苦しくもがき出す。


『ヤバい。本当に可愛すぎるんだけど?』


…。


真っ赤になるエリーヌは逃げ場を求めて布団に潜り込んだ。




しばらくして布団から顔を出すと、ヨハネスがにっこり微笑んでいる。


『怖いんですが?』

『うん?』



ヨハネスの王子スマイルにエリーヌは恐る恐る


『その笑顔、高そうですよね?』


ヨハネスは当たり前の如く


『そりゃそうだよ。なかなか手に入らないよ?対価は君の一生だからね?』



ようやく現実が理解出来てきたエリーヌはヨハネスがいまだかつて見たことの無い無邪気な笑顔で微笑んだ。



…反則だろ?それ。



ヨハネスは堪らずエリーヌを抱き寄せ長いキスを贈った。








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