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ムヌク王国の日常

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キャサリンチームの3人は今日も執務をちゃっちゃと終わらせると

『妃殿下ガゼボですか?』

リッカルドが楽しそうに問うと

『お茶会も良いけど、久しぶりに街に出たいわ!』

ギョッとするギャレットは青い顔をして

『また、厄介事になりませんかね?』

仔犬のような瞳でキャサリンに訴え掛けるも、

『そんな可愛い顔をしても駄目よ?』

とギャレットの頭を撫でるキャサリンの後ろから、


『誰が可愛いって』

キャサリンがギャレットを撫でる手をギャレットから引き離すとその手の甲にキスを落した。

『妃殿下が街に出ようと‥』

泣きそうな声で訴えると


『何が問題なの?ってか私も今日は執務を終えたし一緒に行こう!』

カールトンの言葉にキャサリンは満面の笑みでカールトンに抱きつくがギャレットは益々顔を青くし

‥殿下まで?


ギャレットの心の声に反応するかのように

『問題あるか?』

カールトンの言葉にギャレットは

『いえっ』

仰々しく礼を取る。

『じゃあ、着替えて馬車に集合ね!』

キャサリンは子どもの様に笑い執務室を飛んで出て行った。

‥。




キャサリンが馬車の前で待っているとカールトンとヨハネスも一緒にこちらに向かってきた。

‥うわぁ2人一緒なの初めてかも。


『ヨハネスが暇そうだったから声を掛けたんだ。』

カールトンが言うと


『義姉上、よろしいですか?』


こちらも安定の王子スマイル。


‥怖いんだけど?その笑顔。


『じゃあ、行きましょう!』




3人を乗せた馬車は活気溢れる市場まで来ると静かに止まる。


キャサリンは大きな瞳をキラキラさせていると

『キャシー、お転婆はほどほどにね?そして私から離れない。いいね?』

首を傾げリッカルドを探すと

『キャシー、守れる?じゃなきゃ帰るよ?』

驚いたキャサリンは必死に頷いた。

カールトンやヨハネスも街に出る事はあるが市場にはなかなか足を運べていない。2人の王子と興味深く見て回りながら普段口に出来ない様な物を食べ、飲んで楽しんでいるとキャサリンが足を止めた。

不思議そうにキャサリンを見る2人に

『あれって‥』

キャサリンの視線を追うとそこには公爵令嬢であるエリーヌが市場の角の店で果物を売っていたのである。変装はしているもののエリーヌはかなりの美人である。


固まる2人に

『公爵家って財政難なの?』

キャサリンがまたぶっ飛んだ事をヨハネスに問うとカールトンが

『だとしても、ここでは働いたりはしないよね?』

ヨハネスを見るもヨハネスは固まり動けない。

エリーヌはムヌク王国の公爵令嬢である。今や第2王子の婚約者。この国の令嬢の中ではトップに君臨するはずだ。

賑やかな市場に華を添えるかの如くキラキラと働くエリーヌ。

『エリ!久しぶりだね!今日のオススメは?』

子どもを抱えたおばさんにエリーヌは

『まあ、アルさん!お久しぶり!今日はね林檎がもぎたてよ!』


そう言いながら他の客からはお会計をし、また他の客には品物を渡して、大忙しのようだ。



‥エリーヌ様は仕事が出来る女ね。
御一行は見守る。



エリーヌの店の奥には老婆が背中を丸めて座っている。あまりの忙しさに老婆が立ち上がると

『おばあちゃん、駄目よ!座ってて。何ならエリックに迎えに来てもらうわよ?』

エリーヌはおばあちゃんの背中を擦り椅子に促す。

『エリ、ありがと、ありがと。』


果物が完売すると辺りはもう日が暮れ始めていた。


『エリ!ありがとう。婆ちゃん具合はどうだ?』 
 
1人の青年がお店にやってるとお店を閉める準備をし始めた。


‥あれがエリックかしら?



青年は老婆をおんぶすると老婆は振り返りエリーヌに何度もお礼を言いながら帰って行った。


他の店も閉店準備をし始めるとエリーヌは店の前の掃除を市場の端から始めた。


御一行は急いで馬車に戻るとしばらく沈黙が続いた。各々が頭を巡らせている。

‥エリーヌ様よね?
‥何で市場に?
‥何で働いてる?
‥何で掃除している?
‥エリックって誰?


ヨハネスは静かに立ち上がるとギャレットに何やら耳打ちをし馬車を降りて行った。


残された2人は顔を合わせると

『疲れた‥』

キャサリンはカールトンの肩に顔を預けるとカールトンは優しく包み込み馬車は静かに動き出した。





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