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剥がれる仮面2

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呆然と見つめるカールトンにマキシミリアンは

『カールトン殿は妃を迎えられるまで特定の令嬢の名をきいたことがなかったがエリーヌ嬢とは仲睦まじいのだな?』

照れるエリーヌを見ながら柔らかい表情のカールトン。カールトンは思い出すかのように話し出した。


『私は私の立場に寄ってくる令嬢を嫌という程知っているがこのエリーヌだけは違うのです。エリーヌは妹のような存在で家族同然。』

『家族?』

首を傾げるエリーヌに

『そうだ。幼い頃から連日の様に令嬢に追い回されて辟易としていた時、ダリス大王国での交流会で踊る黄色い妖精を見て私は憧れたよ。

あの屈託ない笑顔と媚びへつらう事なく自分だけの世界観を持つ妖精扮する令嬢がエリーヌだと知った時は本当に嬉しくて今までの地獄のような毎日から救われた気がしたんだ。』


笑顔で見つめるエリーヌ。ニヤリと笑うマキシミリアン。バツの悪そうに俯くキャサリン。

『では何故エリーヌ嬢を娶らなかった?』

マキシミリアンが問うと

『妖精ですよ?皆の妖精です。私だけのものには出来ないしそもそも結婚とは王族にとって政略結婚が常。だからこそ妹として大切に守りエリーヌの幸せを願っておりますよ。』


‥よくもまあ、妻の前で。
呆れ果てるキャサリンを横目にマキシミリアンは

『そうか、あの黄色い妖精はエリーヌ嬢か。黄色い妖精は各国王太子の憧れ。これが知れ渡ればムヌク王国にすぐにでも王太子が集まってくるだろうな。』


目を見開くエリーヌは照れたように


『そんな‥私如きが。』

カールトンはエリーヌの肩を抱き

『大丈夫。私がしっかり見立てるからね。エリーヌが幸せになれる相手を見極めるから。』

エリーヌは満面の笑みで

『心強いですわ!』


和やかな2人にマキシミリアンは

『だがエリーヌ嬢はカールトン殿の側妃になられるのでは?』


エリーヌは慌て

『先程も申し上げましたがただの噂ですわ』

カールトンも頷き微笑む。

‥なんなん?これ。

キャサリンは遠い目で見つめていた。

『さっさと持ち帰れと言っておったが?』

‥何を?持って帰るの?


訳の分からないキャサリンとカールトンを他所にエリーヌはマキシミリアンに

『それはそれ。これはこれ。ですのよ。』

コレまた訳の分からない事を言うエリーヌにマキシミリアンは大袈裟に首を撚ると


『カールトン殿、黄色い妖精がエリーヌ嬢だと何故わかる?』


カールトンは微笑みながら

『エリーヌが私だけに話してくれたのですよ。』

嬉しそうに語るカールトンに


『カールトン殿、貴殿は王族の石は持っているな?』


王族の石とは、王の子どもが産まれた時に授けられる石の事で王の子どもは皆持っている。国は違えど同じ色番の石を与えられるのである。

『もちろんです。』

カールトンの返答を待ってマキシミリアンはキャサリンに視線を送る。

『持っております。』

マキシミリアンは頷くと自らの首に下げられた石を取り出した。真っ赤に輝くその石こそ王族の証。


キョトンと見守るエリーヌ。

『カールトン殿は覚えておらぬか?あの時各国の王太子を虜にした黄色い妖精。彼女も首から下げておったのを。この王族の証を‥』

驚き目を見開くエリーヌとカールトン。

『だからこそ王太子らがこぞって黄色い妖精の絵姿を持っておるのだ。この前の交流会でも持っておる王太子が沢山居るという話しになったであろう?』

カールトンは頭を巡らすも‥


『そなたはそれを回収したいと言っておったではないか?』


カールトンは目を見開きキャサリンを見るとキャサリンはバツの悪そうに俯いた。


まだ理解のできないエリーヌは

『意味がわかりませんが?』

マキシミリアンは溜息をつき

『そなたは持っておるのか?この石を。』

エリーヌの目の前に自らの赤く輝く石を向ける。

『私は公爵令嬢ですから持っておりませんわ!』


マキシミリアンに食いかかるエリーヌを目を丸くして呆然と見つめるカールトン。


『黄色い妖精は‥』

ポツリと吐き出すカールトンに


『だから私ですわ』

照れるエリーヌを見ようともせずキャサリンに視線を送るカールトンに苛立つエリーヌ。


『エリーヌ嬢。王族でない者が王族と偽るとどうなるか知っておるのか?』


エリーヌは苛立ちを隠すこと無くカールトンからマキシミリアンに視線を移すと


『極刑ですわ!そんな事今関係あります?』

今度はカールトンが溜息をつくと

『エリーヌ。黄色い妖精はこの王族の石を首から下げていたという。もし黄色い妖精が君ならば君はこの石をどこから?』

目をパチクリパチクリと2回させると、

『か、勘違いかしら?』

青ざめるエリーヌに

『何の?何をどう勘違いしたのだ?』

追求をやめないマキシミリアン。

‥。


『お前は昔からの嘘で固めていたようだな。』

冷たく鋭い視線にエリーヌはただただ黙って硬直していた。


『そんな大昔の話しはやめましょう。今はこの夜会を楽しんで頂きたいですわ。』

助け舟をだしたのはムヌク王国王太子妃キャサリンであった。



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