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理解

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ロブが話していたように、孤児院には疑わしい点が幾つも出できた。


カールトンは手柄を横取りするつもりは無いが極秘に調べさせたのである。キャサリンが調べるよりも遥かに早く深い情報が入るのが王太子である。


『殿下、これは深い問題ですよ?妃殿下には手を引いて頂いた方がよろしいのでは?』


ファビウスの言う通り、貴族はもちろん裏社会までも関与している可能性が出できたのである。


『だが、ここに目を付けたのは王太子妃だ。あっちからの報告無しにこちらが動くとなると‥』

カールトンは頭を悩ませていた。

『殿下も独自に情報を得た以上、遠慮されることはありません。もしもの事があってからでは遅いですから。』


カールトンはファビウスを伴いキャサリンの執務室へ向かった。



執務室に入ると先ずはギャレットが飛び上がり、礼を取る。

『‥よい。』

カールトンは横目にギャレットを見、息を吐く。


キャサリンは驚きながらも

『どうされました?』


‥執務中は普通か。喧嘩腰ではないようだ。


『先日訪問された孤児院についてでございますがあちらは嫌疑が溢れております。妃殿下にもしもの事がありましたら大変ですので、こちらにお預け頂きたく参りました。』


丁寧に説明するファビウスにギャレットは


『お、お待ち下さい。この件は妃殿下が調査されております。それを‥』


『横取りとな?』


カールトンが口を挟むとギャレットは黙ったまま俯いた。

『確かに、優遇措置の取られている孤児院が予算通りに予算を使わず着服しているのは明らかだ。そこに貴族が絡んでも居るのは間違いない。だがそれだけではなさそうなのだ。』


カールトンは正直に話す。

『それで?』


‥出た、臨戦態勢だ。


カールトンはキャサリンを見た。

『それで、手を引けということですか?こちらの掴んでいる情報など必要ないと?王太子妃が調べる事など所詮しれていると?』


‥。


黙ったままカールトンはキャサリンを見る。


『私は別に手柄がどうのなんて関係ございませんし寧ろそんなの興味もありませんわ。

確実に真実が明らかになり適切に予算が使われれば問題ありませんもの。』


ホッとしたようなファビウスに


『ですが、貴方の言い様は相手を誤解させますわ。現にギャレットは誤解しましたでしょう?ギャレットは少なからず心を乱したはずよ?』


ファビウスは驚き目を見開くとギャレットに

『すまなかった。』


ギャレットは固まり首を降っている。

『関与している貴族はこの国の侯爵令息ですわ。内密に事をおすすめ下さい。そして孤児院の子どもたちは1番の被害者です。他へ移すなど、最善策を投じて頂きたく事をお約束頂けるのであれば、後はお任せします。』


カールトンは執務中のキャサリンを初めて見た。
自分が思っていた以上に優秀な妻に誠意を込めて

『分かった。約束する。この度はご苦労であった。』


初めて口にする謝意にキャサリンは驚きながらも笑顔を送った。


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