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戸惑い

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カールトンがキャサリンからの反撃を食らってから2人が顔を合わせる機会は滅多に無かった。

『ファビウス、王太子妃は何かやらかしてはいないだろうね?』


カールトンが、執務の手を止めファビウスに問うと

『特には聞いてはおりませんが?』


『執務はどうだ?』


ファビウスは手を一旦止め考えるも

『特には、問題ございませんが?』


肯定の返答にも関わらず苛立ちを隠せないカールトンはおもむろに溜息をついた。


『あの、殿下?何か気に掛かる事でもございましたか?』


苛立ちの意味する事が分からずファビウスは問うも


『いや、見た所彼女はまだ幼い。執務などつとまるだろうかと案じておる。』


ファビウスは納得したように頷きながら


『それでございましたら安心なさって下さい。王太子妃は王太子妃教育をすっ飛ばして王太子妃になられたのでご心配でしょうが、既に王太子妃教育はクリアしておりますので。』

カールトンは眉をひそめ

『クリアだと?』

『はい、教育するところが見当たらないという事でございました。』


‥あり得ない。あり得ない。あんなじゃじゃ馬に何が出来るか!

『‥私にはそうは思えないけどね?』

カールトンが認めない姿勢を貫くと


『私も初めは信じられませんでしたが、王太子妃の執務書を拝見しておりますと、流石でございます。着眼点が見事でございます。

側近として新たにギャレットを付けましたが彼も感服しており既に王太子妃に夢中ですよ?』


‥夢中って何だ?
あの女は猫を被っておるのか‥



カールトンはいつの間にか辺が暗くなり始めてようやく執務に戻った。
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