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結婚式

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あっという間に結婚式の朝を迎える。


『キャサリン様、起きて下さい!』


モニカに起こされると辺りはまだ暗い。
キャサリンは布団に包まり抵抗を見せるもモニカによって布団を剥ぎ取られる。

テキパキと仕事をこなす侍女たちは、瞼の重いキャサリンを湯浴みをさせ、オイルでマッサージ。
されるがままのキャサリンは


『ねえ、何もここまでしなくてもよくない?さっさと終わらせるだけなんだから。』


『なりません。各国からのお客様もたくさんいらっしゃいます。花嫁は美しくなければならないのですから。』


‥誰が決めたよ、そんなこと。


『どうせあのドレスは私には似合わないもの。自慢じゃないけど自分の顔が童顔だって分かってるわ!あんな大人っぽいの着こなせないもの。』


『大丈夫です!お任せ下さい。子どものようなキャサリン様を大人の女にしてみせます!』


‥ザラ。貴女そんなはっきり言わないで。


ザラは腕をまくり意気込む。

そうしながらコルセットでギュンギュンに締められ、ドレスを着せられ、髪型に一人。メイクに一人。


‥いったい何人掛かりなのよ?


キャサリンはなされるがまま大人しく従うようになっていた。


‥お腹空いた‥


『ねえ、お腹の虫が鳴いてるんだけど?』


『本日は全て終わりましたらご用意する手配です。』

モニカが平然と言う。


『待って待って!それまでお預け?』


『何か?』

ギロリとモニカに睨み付けられ

『ございません‥』



‥モニカ、貴女最近強すぎない?



お腹も空きすぎて力も出ない‥。意気消沈のキャサリンにモニカが手を差し伸べる。


『さあ、こちらへ』


姿見の前に立たされたキャサリンは声を上げる。


『ひゃあ~!何なん?って誰?』

驚くキャサリンに侍女たちは声を上げて歓喜する。

『私たちの腕を甘く見すぎておりますわ!』


モニカは初めてキャサリンの前で笑顔で話す。キャサリンは言葉を失うも涙が止まらない。


『キャサリン様!泣いては困ります。私どもの作品が!』



‥貴女、強すぎない?

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