30 / 31
残された課題
しおりを挟む
和やかな雰囲気で屋敷を後にした面々。
レオンハルトとアルベルタを乗せた馬車がゆっくりと王都に帰っていく。
‥。先程までの雰囲気とは裏腹に馬車の中の空気は重い。気まずそうな2人を他所に王都に入った馬車の外は賑わいをみせている。
『何か食べていくか?』
レオンハルトの問い掛けにアルベルタは
『私は公爵邸に戻ってもよろしいのですか?』
レオンハルトは窓の外に視線を向けガラスに映るアルベルタを見た。
アルベルタもまた窓から外を眺めていた。
2人で窓の外を眺めながらの話し合い。
『いいも悪いも無いであろう?お前の家ではないか?』
『‥。』
長い道のり、二人が交わした会話はこれだけであった。
馬車が公爵邸に付くと使用人達が庭まで出てきている。ナターシャはアルベルタを見ると涙を浮かべながら駆け寄った。
『奥様!お待ちしておりました!ご無事で何よりです!』
セバスチャンはレオンハルトに耳打ちをして、レオンハルトは黙って頷く。その様子を見たアルベルタはそっと視線を外した。
アルベルタが私室に戻ると部屋の様子がガラリと変わっていた。
『急ぎ用意させたものだから気に入らない所があれば言ってくれ。』
レオンハルトはアルベルタを見ず話す。アルベルタは部屋に困惑し言葉が見つからない‥。
アルベルタが塞ぎ込んでいた時、連日レオンハルトがアルベルタの部屋に来やすい様にか、2つの部屋を結ぶ扉が壊されてはいたが、今は壁まで取り壊され1つの大きな部屋となっている。その奥に続くレオンハルトの執務室とアルベルタの執務室が用意されていた。
目をパチクリさせているアルベルタに視線を送りレオンハルトは息を長く吐き出した。
『その、今まで悪かったと思っている。私自身よくわからないが、その、結婚とやらには向いていないタイプであったのだと思う。』
アルベルタの心の中にはクズだったレオンハルトに対する怒りなど微塵もない。自分もお人形の様な人間であったのだ。
『私も同じく向いていないのかもしれません。』
アルベルタは小さく言葉を吐き出した。
『お気遣いには感謝いたしますが、私としては以前のままで結構です‥。旦那様も気にせず今まで通りで大丈夫ですよ?』
レオンハルトは固まる。
自分の思い通りに令嬢を扱ってきた事しかないレオンハルトにとって、自分の筋書きから離れた回答に言葉が出てこない。
『‥その、白い結婚の後、離婚をし第1王子をって事なのか?』
アルベルタにとって、それこそ斜め上からの問い掛けにギョッとしながら
『え?いいえ、旦那様がお許し頂けるのであればここのみんなと一緒に暮らしていきたいと思ってます。‥今まで通り。』
レオンハルトは何故だか少し安堵すると
『今まで通りは少しおかしくはないか?』
アルベルタは微笑みながら
『私たちはそれが日常でしたわ。』
平行線の会話に若干苛立ちを覚えたレオンハルト。
『だからこれからは普通の夫婦に』
『旦那様、何も無理をなさらなくても。』
『無理などしていない!私がそうしたいから。』
声を荒げるレオンハルトにアルベルタは目を見開く。
『悪い、驚かせるつもりは無かった。』
レオンハルトはアルベルタに背を向けた。
『私は真の公爵夫人になる資格はございません。
私は汚れています。
もし旦那様がその普通のご夫婦を望まれるのであれば私を切り捨てて頂いて結構です。』
アルベルタは俯きながら声を絞り出した。
レオンハルトは真っすぐにアルベルタを見据える。
無言で射抜く目力は半端ない。
碧眼の瞳が鋭く、彫りの深い顔が表情をなくしている分、余計に際立ちを放っている。
『君は汚れていると言うが、君が汚れていたら私はもっと汚れている。それに君の純潔は証明されているではないか?』
顔を合わせる事が出来ないアルベルタは真っ赤になり俯いたままである。
レオンハルトはテーブルの冷めきったお茶をアルベルタの腕にそっと掛けた。驚き見上げるアルベルタ。
レオンハルトはアルベルタを浴室に連れて行き腕を石鹸で洗う。意味のわからないアルベルタはされるがままレオンハルトを眺めている。
『さあ、キレイになった。こういう事だろ?汚れた所を私は水でキレイにした。アーノルドは舌でキレイにした。それだけだ。犬にでもキレイにしてもらったと思っておけばよい。』
アルベルタは強引なレオンハルトを小さく睨み付けると
『そんな事!』
『出来ないのか?』
レオンハルトはアルベルタの頭上にあるシャワーの蛇口をひねると勢い良くお湯が飛び出し2人はずぶ濡れとなり、またもアルベルタは目を見開きレオンハルトを見上げる。
レオンハルトは黙ったまま、石鹸でアルベルタを頭の先から足の先まで泡だらけにして洗う。アルベルタは驚き声も出ない。ただ目の前のずぶ濡れになったレオンハルトの色気に胸が熱くなっていた。
レオンハルトは優しく洗い流しながらアルベルタの水を含み重くなっているドレスを丁寧に剥がしていく。レオンハルトが醸し出す空気間の中アルベルタは抵抗すら出来ず寧ろレオンハルトから目が離せなかった。
レオンハルトは細かい泡でアルベルタの素肌を撫でる様に洗っていく。何も付けていないアルベルタの敏感な所も優しく洗っていくとアルベルタはレオンハルトにしがみつく。
レオンハルトは小さく微笑み、器用にも片手で自分の重くなったシャツを脱ぎ捨てアルベルタに素肌を重ねた。
アルベルタは感じた事のない心地よさと安心感を覚えた。レオンハルトの背中に手を回し眼を閉じる。
レオンハルトは石鹸で滑りが良くなってた指先でアルベルタを快感へと導く。小さく漏れる息を漏らさぬ様に手で口を覆うアルベルタ。
レオンハルトはアルベルタの耳元で囁くように
『隠すな、思いは全て私に吐き出せばよい。』
アルベルタは堪えきれずレオンハルトにしがみつくとレオンハルトは優しく包み込んだ。
レオンハルトの指先はアルベルタの敏感な所を責め立てるとアルベルタは背中を大きく反らす。レオンハルトの目の前にはアルベルタの美しく胸が広がる。その胸をレオンハルトは優しく舐めあげる。
アーノルドに舐め尽くされていた時はあれ程までに苦痛で恐ろしい時間であったが、今のアルベルタには幸せでしかない。それが何を意味するかは既にアルベルタは知っている。
これが愛しているという事なのだ。
優しくアルベルタを洗い上げていたレオンハルトであったが、こちらも余裕は無くしてしまっている。
『アルベルタ、真の公爵夫人となってくれるか?生涯君だけだ。っ約束する。』
絞り出す言葉にアルベルタは顔を歪めながらも必死で答える。
『はいっ』
こうして2人は名実ともに夫婦となり1つになった。
レオンハルトとアルベルタを乗せた馬車がゆっくりと王都に帰っていく。
‥。先程までの雰囲気とは裏腹に馬車の中の空気は重い。気まずそうな2人を他所に王都に入った馬車の外は賑わいをみせている。
『何か食べていくか?』
レオンハルトの問い掛けにアルベルタは
『私は公爵邸に戻ってもよろしいのですか?』
レオンハルトは窓の外に視線を向けガラスに映るアルベルタを見た。
アルベルタもまた窓から外を眺めていた。
2人で窓の外を眺めながらの話し合い。
『いいも悪いも無いであろう?お前の家ではないか?』
『‥。』
長い道のり、二人が交わした会話はこれだけであった。
馬車が公爵邸に付くと使用人達が庭まで出てきている。ナターシャはアルベルタを見ると涙を浮かべながら駆け寄った。
『奥様!お待ちしておりました!ご無事で何よりです!』
セバスチャンはレオンハルトに耳打ちをして、レオンハルトは黙って頷く。その様子を見たアルベルタはそっと視線を外した。
アルベルタが私室に戻ると部屋の様子がガラリと変わっていた。
『急ぎ用意させたものだから気に入らない所があれば言ってくれ。』
レオンハルトはアルベルタを見ず話す。アルベルタは部屋に困惑し言葉が見つからない‥。
アルベルタが塞ぎ込んでいた時、連日レオンハルトがアルベルタの部屋に来やすい様にか、2つの部屋を結ぶ扉が壊されてはいたが、今は壁まで取り壊され1つの大きな部屋となっている。その奥に続くレオンハルトの執務室とアルベルタの執務室が用意されていた。
目をパチクリさせているアルベルタに視線を送りレオンハルトは息を長く吐き出した。
『その、今まで悪かったと思っている。私自身よくわからないが、その、結婚とやらには向いていないタイプであったのだと思う。』
アルベルタの心の中にはクズだったレオンハルトに対する怒りなど微塵もない。自分もお人形の様な人間であったのだ。
『私も同じく向いていないのかもしれません。』
アルベルタは小さく言葉を吐き出した。
『お気遣いには感謝いたしますが、私としては以前のままで結構です‥。旦那様も気にせず今まで通りで大丈夫ですよ?』
レオンハルトは固まる。
自分の思い通りに令嬢を扱ってきた事しかないレオンハルトにとって、自分の筋書きから離れた回答に言葉が出てこない。
『‥その、白い結婚の後、離婚をし第1王子をって事なのか?』
アルベルタにとって、それこそ斜め上からの問い掛けにギョッとしながら
『え?いいえ、旦那様がお許し頂けるのであればここのみんなと一緒に暮らしていきたいと思ってます。‥今まで通り。』
レオンハルトは何故だか少し安堵すると
『今まで通りは少しおかしくはないか?』
アルベルタは微笑みながら
『私たちはそれが日常でしたわ。』
平行線の会話に若干苛立ちを覚えたレオンハルト。
『だからこれからは普通の夫婦に』
『旦那様、何も無理をなさらなくても。』
『無理などしていない!私がそうしたいから。』
声を荒げるレオンハルトにアルベルタは目を見開く。
『悪い、驚かせるつもりは無かった。』
レオンハルトはアルベルタに背を向けた。
『私は真の公爵夫人になる資格はございません。
私は汚れています。
もし旦那様がその普通のご夫婦を望まれるのであれば私を切り捨てて頂いて結構です。』
アルベルタは俯きながら声を絞り出した。
レオンハルトは真っすぐにアルベルタを見据える。
無言で射抜く目力は半端ない。
碧眼の瞳が鋭く、彫りの深い顔が表情をなくしている分、余計に際立ちを放っている。
『君は汚れていると言うが、君が汚れていたら私はもっと汚れている。それに君の純潔は証明されているではないか?』
顔を合わせる事が出来ないアルベルタは真っ赤になり俯いたままである。
レオンハルトはテーブルの冷めきったお茶をアルベルタの腕にそっと掛けた。驚き見上げるアルベルタ。
レオンハルトはアルベルタを浴室に連れて行き腕を石鹸で洗う。意味のわからないアルベルタはされるがままレオンハルトを眺めている。
『さあ、キレイになった。こういう事だろ?汚れた所を私は水でキレイにした。アーノルドは舌でキレイにした。それだけだ。犬にでもキレイにしてもらったと思っておけばよい。』
アルベルタは強引なレオンハルトを小さく睨み付けると
『そんな事!』
『出来ないのか?』
レオンハルトはアルベルタの頭上にあるシャワーの蛇口をひねると勢い良くお湯が飛び出し2人はずぶ濡れとなり、またもアルベルタは目を見開きレオンハルトを見上げる。
レオンハルトは黙ったまま、石鹸でアルベルタを頭の先から足の先まで泡だらけにして洗う。アルベルタは驚き声も出ない。ただ目の前のずぶ濡れになったレオンハルトの色気に胸が熱くなっていた。
レオンハルトは優しく洗い流しながらアルベルタの水を含み重くなっているドレスを丁寧に剥がしていく。レオンハルトが醸し出す空気間の中アルベルタは抵抗すら出来ず寧ろレオンハルトから目が離せなかった。
レオンハルトは細かい泡でアルベルタの素肌を撫でる様に洗っていく。何も付けていないアルベルタの敏感な所も優しく洗っていくとアルベルタはレオンハルトにしがみつく。
レオンハルトは小さく微笑み、器用にも片手で自分の重くなったシャツを脱ぎ捨てアルベルタに素肌を重ねた。
アルベルタは感じた事のない心地よさと安心感を覚えた。レオンハルトの背中に手を回し眼を閉じる。
レオンハルトは石鹸で滑りが良くなってた指先でアルベルタを快感へと導く。小さく漏れる息を漏らさぬ様に手で口を覆うアルベルタ。
レオンハルトはアルベルタの耳元で囁くように
『隠すな、思いは全て私に吐き出せばよい。』
アルベルタは堪えきれずレオンハルトにしがみつくとレオンハルトは優しく包み込んだ。
レオンハルトの指先はアルベルタの敏感な所を責め立てるとアルベルタは背中を大きく反らす。レオンハルトの目の前にはアルベルタの美しく胸が広がる。その胸をレオンハルトは優しく舐めあげる。
アーノルドに舐め尽くされていた時はあれ程までに苦痛で恐ろしい時間であったが、今のアルベルタには幸せでしかない。それが何を意味するかは既にアルベルタは知っている。
これが愛しているという事なのだ。
優しくアルベルタを洗い上げていたレオンハルトであったが、こちらも余裕は無くしてしまっている。
『アルベルタ、真の公爵夫人となってくれるか?生涯君だけだ。っ約束する。』
絞り出す言葉にアルベルタは顔を歪めながらも必死で答える。
『はいっ』
こうして2人は名実ともに夫婦となり1つになった。
10
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)
青空一夏
恋愛
従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。
だったら、婚約破棄はやめましょう。
ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!
悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!
「君を愛することはない」の言葉通り、王子は生涯妻だけを愛し抜く。
長岡更紗
恋愛
子どもができない王子と王子妃に、側室が迎えられた話。
*1話目王子妃視点、2話目王子視点、3話目側室視点、4話王視点です。
*不妊の表現があります。許容できない方はブラウザバックをお願いします。
*他サイトにも投稿していまし。
ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて
木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。
前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)
旦那様の様子がおかしいのでそろそろ離婚を切り出されるみたいです。
バナナマヨネーズ
恋愛
とある王国の北部を治める公爵夫婦は、すべての領民に愛されていた。
しかし、公爵夫人である、ギネヴィアは、旦那様であるアルトラーディの様子がおかしいことに気が付く。
最近、旦那様の様子がおかしい気がする……。
わたしの顔を見て、何か言いたそうにするけれど、結局何も言わない旦那様。
旦那様と結婚して十年の月日が経過したわ。
当時、十歳になったばかりの幼い旦那様と、見た目十歳くらいのわたし。
とある事情で荒れ果てた北部を治めることとなった旦那様を支える為、結婚と同時に北部へ住処を移した。
それから十年。
なるほど、とうとうその時が来たのね。
大丈夫よ。旦那様。ちゃんと離婚してあげますから、安心してください。
一人の女性を心から愛する旦那様(超絶妻ラブ)と幼い旦那様を立派な紳士へと育て上げた一人の女性(合法ロリ)の二人が紡ぐ、勘違いから始まり、運命的な恋に気が付き、真実の愛に至るまでの物語。
全36話
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる