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夜会にて
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アルベルタは朝から夜会の為の準備でナターシャらに全身を磨き上げられていた。
『奥様、本日の夜会は王宮主催の為、私がお供出来ません。どうか気をつけて。』
アルベルタはにっこり微笑み
『そんなに心配しなくても大丈夫よ。』
‥。
アルベルタは公爵邸に嫁いだ頃はお人形のような表情の無い令嬢であった。それがある日突然に倒れ死を彷徨い目覚めた後は、どちらかというと積極的な明るい公爵夫人であった。
そして今回、引きこもりの後、落ち着いた淑女となっている。もちろんこの品格、威厳は喜ばしい事ではあるが、公爵邸の使用人たちは何だか少し寂しさがあった。
アルベルタの夜会の準備が整った頃にレオンハルトが迎えに来た。
レオンハルトがアルベルタを夜会にエスコートするのはこれが初めての事である。
『レオンハルト様、くれぐれもよろしくお願い致します。』
ナターシャは深く腰を折る。レオンハルトは黙って頷くとアルベルタに手を差し伸べた。
『ご一緒してもよろしいのですか?』
戸惑いを隠せないアルベルタにレオンハルトは小さく微笑み
『もちろんだ。』
使用人たちは初めて夫婦で夜会に向う馬車をいつまでも見守っていた。
会場に入ると公爵夫妻が初めて公の場に揃って現れた事に貴族たちは一斉に視線を送る。
アルベルタは真っすぐ前を見据えレオンハルトの腕に力を込めた。
そこへ第2王子のアランが現れるとアルベルタににっこりと微笑む。
『これはこれは、眠り姫。先日はどうも』
アルベルタはサッとひさ深く折る。
アランはすぐに礼を解きレオンハルトに耳打ちする。
『本当によいのか。』
レオンハルトはアランの顔を見ることもなしに
黙って頷いた。
アランは息を1つ大きく吐きレオンハルトの肩をポンポンと叩き人混みに消えて行った。
アルベルタはレオンハルトに
『よろしいのですか?』
レオンハルトの顔を覗き込むとレオンハルトは
『ファーストダンスまでは離れていけないからね。』
自虐的に笑うレオンハルトであった。
『奥様、本日の夜会は王宮主催の為、私がお供出来ません。どうか気をつけて。』
アルベルタはにっこり微笑み
『そんなに心配しなくても大丈夫よ。』
‥。
アルベルタは公爵邸に嫁いだ頃はお人形のような表情の無い令嬢であった。それがある日突然に倒れ死を彷徨い目覚めた後は、どちらかというと積極的な明るい公爵夫人であった。
そして今回、引きこもりの後、落ち着いた淑女となっている。もちろんこの品格、威厳は喜ばしい事ではあるが、公爵邸の使用人たちは何だか少し寂しさがあった。
アルベルタの夜会の準備が整った頃にレオンハルトが迎えに来た。
レオンハルトがアルベルタを夜会にエスコートするのはこれが初めての事である。
『レオンハルト様、くれぐれもよろしくお願い致します。』
ナターシャは深く腰を折る。レオンハルトは黙って頷くとアルベルタに手を差し伸べた。
『ご一緒してもよろしいのですか?』
戸惑いを隠せないアルベルタにレオンハルトは小さく微笑み
『もちろんだ。』
使用人たちは初めて夫婦で夜会に向う馬車をいつまでも見守っていた。
会場に入ると公爵夫妻が初めて公の場に揃って現れた事に貴族たちは一斉に視線を送る。
アルベルタは真っすぐ前を見据えレオンハルトの腕に力を込めた。
そこへ第2王子のアランが現れるとアルベルタににっこりと微笑む。
『これはこれは、眠り姫。先日はどうも』
アルベルタはサッとひさ深く折る。
アランはすぐに礼を解きレオンハルトに耳打ちする。
『本当によいのか。』
レオンハルトはアランの顔を見ることもなしに
黙って頷いた。
アランは息を1つ大きく吐きレオンハルトの肩をポンポンと叩き人混みに消えて行った。
アルベルタはレオンハルトに
『よろしいのですか?』
レオンハルトの顔を覗き込むとレオンハルトは
『ファーストダンスまでは離れていけないからね。』
自虐的に笑うレオンハルトであった。
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