8 / 31
いざ夜会へ
しおりを挟む
朝も早くから叩き起こされたアルベルタは分刻みのスケジュールで公爵夫人に仕上げられていく。
『パティ、こんなに早くから湯浴みをさせられていたら私ふやけますわ!』
パティはニヤリと笑い
『ふやけさせなどいたしません。私を信じて黙っていて下さい。』
‥
『ねえ、ナターシャもこんな時間から準備しているの?』
恐る恐る尋ねると
『もちろんです。彼女は子爵令嬢ですよ?婚約者を探すチャンスなのですからね。』
俄然元気になるアルベルタ。
『私今夜は頑張りますわ!』
‥。
『奥様、勘違いをされております。あくまでナターシャはエスコートなしの奥様の付き添いですからね?エスコートなしの奥様の!』
‥復唱しなくてもいいじゃない
『でも奥様、旦那様のエスコートなしで大丈夫ですか?お一人でご入場だなんて。』
『どうして?今日は仮面夫婦を装う為に行くのではなく、公爵夫人が生きている、引きこもりではないっことを知らしめる為に出向くのだから。』
アルベルタはこれから出向く夜会が楽しみでならなかった。
パティの腕のは本物であった。
既にクタクタのアルベルタをよそにパティは仕上げに掛かると、より興奮してきていた。
使用人も廊下で待ちくたびれている。主こそ迎えには来ないがその代わり屋敷のみんながアルベルタを待っている。
パティによって扉が開かれると、使用人がなだれ込んできた。
‥全く、ここの使用人はなだれ込むのが好きね!
使用人らはアルベルタを見て固まる。
『‥どうしたの?変なの?』
心配そうなアルベルタの問いに‥
誰も答えられない。
『ねえ。ちょっと!何とか言いなさいよ!ねえ?』
声が小さくなってくるアルベルタ。
パティが使用人達の前に立ち、大きく手を叩き合わせると皆目を覚ましたように歓喜した!
『奥様!驚き言葉も出ませんでした!』
『美しい!』
『素敵!』
並べられる美辞麗句にアルベルタは気を取り直し
『うふふっ頑張れそう♡』
アルベルタは待たせてある馬車に乗り王宮へと向かった。
王宮に付くと既にナターシャが待ち構えていた。
『奥様!見違えましたわ!流石パティだわ。』
2人並んで階段を上がっていくと、階段の奥に
レオンハルトと髪の赤い令嬢が腕を組んで並んでいるのが見えた。
アルベルタは小説で読む場面に遭遇して心が踊る。あの無表情しか見たことがないクズ、いやレオンハルトが令嬢相手にまさかの微笑み。
‥笑えるわ!楽しくなってきた。
堪えきれずアルベルタはあろう事か、階段をかけ上がり、赤い髪の令嬢に
『少しだけ失礼しますわね?』
令嬢は勝ち誇った様にニヤリと笑った。
アルベルタも同じくニヤリと笑い
『すぐにお返ししますから』
と言いレオンハルトの腕を掴み通路へ連れ込む。
レオンハルトは見たことがない出で立ちの妻に言葉も出ない。
‥。
『旦那様。やれば出来るのですね?令嬢をエスコートなんて出来ない、顔だけのツンデレかと思ってましたのに。見直しました!夜会に来たかいがごさいましたわ!どうぞゆっくりお楽しみ下さい!』
そう言うとアルベルタはナターシャの元へ戻って行った。
レオンハルトは見慣れない妻の後ろ姿から目が離せなかった。
『ねえ!』
赤い髪の令嬢に我に返され会場へと入場したのであった。
『パティ、こんなに早くから湯浴みをさせられていたら私ふやけますわ!』
パティはニヤリと笑い
『ふやけさせなどいたしません。私を信じて黙っていて下さい。』
‥
『ねえ、ナターシャもこんな時間から準備しているの?』
恐る恐る尋ねると
『もちろんです。彼女は子爵令嬢ですよ?婚約者を探すチャンスなのですからね。』
俄然元気になるアルベルタ。
『私今夜は頑張りますわ!』
‥。
『奥様、勘違いをされております。あくまでナターシャはエスコートなしの奥様の付き添いですからね?エスコートなしの奥様の!』
‥復唱しなくてもいいじゃない
『でも奥様、旦那様のエスコートなしで大丈夫ですか?お一人でご入場だなんて。』
『どうして?今日は仮面夫婦を装う為に行くのではなく、公爵夫人が生きている、引きこもりではないっことを知らしめる為に出向くのだから。』
アルベルタはこれから出向く夜会が楽しみでならなかった。
パティの腕のは本物であった。
既にクタクタのアルベルタをよそにパティは仕上げに掛かると、より興奮してきていた。
使用人も廊下で待ちくたびれている。主こそ迎えには来ないがその代わり屋敷のみんながアルベルタを待っている。
パティによって扉が開かれると、使用人がなだれ込んできた。
‥全く、ここの使用人はなだれ込むのが好きね!
使用人らはアルベルタを見て固まる。
『‥どうしたの?変なの?』
心配そうなアルベルタの問いに‥
誰も答えられない。
『ねえ。ちょっと!何とか言いなさいよ!ねえ?』
声が小さくなってくるアルベルタ。
パティが使用人達の前に立ち、大きく手を叩き合わせると皆目を覚ましたように歓喜した!
『奥様!驚き言葉も出ませんでした!』
『美しい!』
『素敵!』
並べられる美辞麗句にアルベルタは気を取り直し
『うふふっ頑張れそう♡』
アルベルタは待たせてある馬車に乗り王宮へと向かった。
王宮に付くと既にナターシャが待ち構えていた。
『奥様!見違えましたわ!流石パティだわ。』
2人並んで階段を上がっていくと、階段の奥に
レオンハルトと髪の赤い令嬢が腕を組んで並んでいるのが見えた。
アルベルタは小説で読む場面に遭遇して心が踊る。あの無表情しか見たことがないクズ、いやレオンハルトが令嬢相手にまさかの微笑み。
‥笑えるわ!楽しくなってきた。
堪えきれずアルベルタはあろう事か、階段をかけ上がり、赤い髪の令嬢に
『少しだけ失礼しますわね?』
令嬢は勝ち誇った様にニヤリと笑った。
アルベルタも同じくニヤリと笑い
『すぐにお返ししますから』
と言いレオンハルトの腕を掴み通路へ連れ込む。
レオンハルトは見たことがない出で立ちの妻に言葉も出ない。
‥。
『旦那様。やれば出来るのですね?令嬢をエスコートなんて出来ない、顔だけのツンデレかと思ってましたのに。見直しました!夜会に来たかいがごさいましたわ!どうぞゆっくりお楽しみ下さい!』
そう言うとアルベルタはナターシャの元へ戻って行った。
レオンハルトは見慣れない妻の後ろ姿から目が離せなかった。
『ねえ!』
赤い髪の令嬢に我に返され会場へと入場したのであった。
1
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
コブ付き女サヨナラと婚約破棄された占い聖女ですが、唐突に現れた一途王子に溺愛されて結果オーライです!
松ノ木るな
恋愛
ある城下町で、聖女リィナは占い師を生業としながら、捨て子だった娘ルゥと穏やかに暮らしていた。
ある時、傲慢な国の第ニ王子に、聖女の物珍しさから妻になれと召し上げられ、その半年後、子持ちを理由に婚約破棄、王宮から追放される。
追放? いや、解放だ。やったー! といった頃。
自室で見知らぬ男がルゥと積み木遊びをしている……。
変質者!? 泥棒!? でもよく見ると、その男、とっても上質な衣裳に身を包む、とってもステキな青年だったのです。そんな男性が口をひらけば「結婚しよう!」??
……私はあなたが分かりません!
婚約破棄されまして・裏
竹本 芳生
恋愛
婚約破棄されまして(笑)の主人公以外の視点での話。
主人公の見えない所での話になりますよ。多分。
基本的には本編に絡む、過去の話や裏側等を書いていこうと思ってます。
後は……後はノリで、ポロッと何か裏話とか何か書いちゃうかも( ´艸`)
【完結】お飾り契約でしたが、契約更新には至らないようです
BBやっこ
恋愛
「分かれてくれ!」土下座せんばかりの勢いの旦那様。
その横には、メイドとして支えていた女性がいいます。お手をつけたという事ですか。
残念ながら、契約違反ですね。所定の手続きにより金銭の要求。
あ、早急に引っ越しますので。あとはご依頼主様からお聞きください。
愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました
紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。
ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。
ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。
貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【R18】愛されないとわかっていても〜捨てられ王女の再婚事情〜
浅岸 久
恋愛
初夜、夫となったはずの人が抱いていたのは、別の女だった――。
弱小国家の王女セレスティナは特別な加護を授かってはいるが、ハズレ神と言われる半神のもの。
それでも熱烈に求婚され、期待に胸を膨らませながら隣国の王太子のもとへ嫁いだはずだったのに。
「出来損ないの半神の加護持ちなどいらん。汚らわしい」と罵られ、2年もの間、まるで罪人のように魔力を搾取され続けた。
生きているか死んでいるかもわからない日々ののち捨てられ、心身ともにボロボロになったセレスティナに待っていたのは、世界でも有数の大国フォルヴィオン帝国の英雄、黒騎士リカルドとの再婚話。
しかも相手は半神の自分とは違い、最強神と名高い神の加護持ちだ。
どうせまた捨てられる。
諦めながら嫁ぎ先に向かうも、リカルドの様子がおかしくて――?
※Rシーンには[*]をつけています。(プロローグのみ夫の浮気R有)
※ムーンライトノベルズ様にも掲載しています。
時を戻った私は別の人生を歩みたい
まるねこ
恋愛
【書籍化のため削除予定です】
震えながら殿下の腕にしがみついている赤髪の女。
怯えているように見せながら私を見てニヤニヤと笑っている。
あぁ、私は彼女に完全に嵌められたのだと。その瞬間理解した。
口には布を噛まされているため声も出せない。
ただランドルフ殿下を睨みつける。
瞬きもせずに。
そして、私はこの世を去った。
目覚めたら小さな手。
私は一体どうしてしまったの……?
暴行、流血場面が何度かありますのでR15にしております。
Copyright©︎2024-まるねこ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる