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ここにもバカップル

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翌朝ステファニーが目を覚ますとアランが立て肘をして眺めている。


『旦那様!それはマナー違反ですよ?』


アランは不貞腐れた様に

『せっかく女神を眺めていたのに、旦那様はないよ…ステフ。』


愛称を呼ばれるのはもちろん初めて。ステファニーは素直に嬉しそうに

『愛称なんて初めてですわ。わぁ嬉しい。旦那様もう一度!ねっ?』


…旦那様?言いたい事はあるが…ステファニーがおねだりとかズルくない?


アランは不貞腐れながらも


『おはよう、ステフ。』


満面の笑みのステファニーはアランの不貞腐れた様子には気付かず喜んでいる。


『ねえ、ステフ。おかしくない?』


『何がです?旦那様。』


『それ!それだよ、なんで旦那様なの?愛称で呼ばれて喜んでいるならば逆も然りだよね?』


全うな苦情である。ステファニーはすこし考えて


『アラン?…アル!アルだわ!ね?』


1人喜んでいるステファニーを嬉しそうに眺めるアラン。アランは笑顔で頷いた。


『で?ステフ。昨夜は名誉挽回できたかな?』


朝から驚いた様にステファニーはキョロキョロしなら真っ赤になっている。



『誰も居ないよ?ってここ夫婦の寝室だからね?ってどう?良かった?』


何だかノリノリのアランに


『良かった?』


『え?良くなかった?』


固まる2人。


『その感想ですか?』


…感想って言われると困るけど。


悩むアランは


『そんな堅苦しい事ではなく気持ち良かったか良くなかったかを聞いてるの!』

ステファニーは目を見開くも俯きながら


『その、気持ち良すぎてあまり言葉にならないのですが?』


アランは真面目に答えるステファニーが愛おしく堪らず抱きこんだ。そしてその耳元で

『毎日一緒に気持ち良くなろうね?』


見上げるステファニーは


『世継ぎは必要ないのでは?』


アランは平然と

『世継ぎの為の行為だと思わないでほしい。2人がお互いを求め合いその先に子どもが出来たらそれはハッピーだよね。我々にとっても生まれてくる子どもにとっても。』


サラッと語るアランの言葉にステファニーが今までとらわれていた何かを見た気がした。この考えこそステファニーが求めていたものかもしれない。あれだけ権力に固執していたのは、だれからも愛されていない孤独な王女の最後の砦のようなものだったのだ。ステファニーもまた鉄の女では無かったのだ。


最高の幸せを表現すべくステファニーはアランに自分から口付けをしてみせた。朝のアランの身体を思えば致し方ない。それは朝からのお誘いと認識するのが常識である。アランは素早くステファニーを組み敷き朝からまた昨日の名残の残る秘所を丁寧に愛撫してステファニーを狂わせるのであった。





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