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飛躍するオリヴィアと反するステファニー
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オリヴィアは朝から晴れた青空を見ながら大きく息を吸う。
『美味しい…』
心からの声を漏らすと後方からレオナルドが不思議そうに
『味がするのですか?』
このところのオリヴィアの体の変化を案じた側近はこれまた心の声をそのままに発した。
『なわけないでしょう?』
オリヴィアは晴れた心がどんより曇るのを確信しレオナルドを睨みつけた。
『さぁ、今日も頑張るわよ』
オリヴィアはデスクに積み上げられた書類を一気に片付けていく。レオナルドもまた促されるように執務に取り掛かった。
レオナルドに映るオリヴィアはどこか晴れやかで前向きにそれでいて強さも感じるようになってきた。以前の気弱さが無くなり、幼子のような表情も無い。
…これは女になったな…。
レオナルドはオリヴィアをチラリと見てそしてニヤリと笑った。たまたまオリヴィアと目が合うとオリヴィアは怪訝そうにレオナルドを眺めた。
心身ともに充実したオリヴィアは強い。それも最強であった。帝国皇后陛下としてももはや盤石なものとしその名を大陸まで轟かせていた。
ジュリラン王国にもその噂は流れ、国王は珍しくラインハルトとステファニーと共に晩餐を取っていた。
『ラインハルト、帝国ではフィリップ殿はどうなっている?』
国王は表情を少し和らげワインを傾けた。
『彼は、皇帝の側近としてご活躍です。』
『流石だな。もしや早々にこの流れを読んでおったのかも知れぬな。』
納得するラインハルトにステファニーは
『帝国を治めていた者がですか?』
ラインハルトはステファニーを横目に
『まだそんな事を…。先見の明の意味をしらぬか?自分軸で物事を推し量るなよ?ステファニー。』
帝国で先行きを案じられるイザベラ同様、ステファニーもまた先行きを案じられる1人であるはずが当の本人はまだ自分の置かれている立場を理解していなかった。
そんな中、国王は無情にもステファニーに
『ステファニー、ランドルト候爵家のアランとの縁談がある。用意をしておくのだ。』
そう言うと国王はラインハルトに目配せをし席を立った。
…。
『ステファニー、父上の仰っておられた事だが、来週にも席を設ける故。』
瞬きを重ねるステファニーは
『ランドルト候爵って我が国の?』
ラインハルトはため息を殺し
『そうだ。』
『何故?』
『…。』
『だから何故?』
『ステファニー、政略結婚に何故も何も無い。父上が決めた事に従うのが我らの義務だ。オリヴィアとてそうであったように…。そもそもオリヴィアにアナリスへと促したのはお前だぞ?』
ステファニーは放心していた。大陸を治める国母になるために生きて来たはずが自国のそれも候爵家へ嫁ぐと。これがわが王族の何に働くのか?もはやラインハルトの声はステファニーには届いてはいなかった。
そんな中、ラインハルトの言った通り、ある朝になるとステファニーの侍女らが騒がしく朝から動き回っている。
『どうかしたの?』
ステファニーが食後のお茶を飲みながら問うと
『王女、本日は顔合わせですのでお早めにご用意を。』
ステファニーとて王族である。国王の命をすっぽかす事はしない。ため息を吐きながら侍女に促されるままに支度を進め王宮の馬車に乗り込み候爵邸へと向かった。
ステファニーとて才女である。自分の置かれた立場を受け入れてはないものの、理解はしている。一度は敗戦国となるフランツ帝国に嫁いだそれも側妃である。名高い者は誰も娶ろうとは思わぬ事も熟知している。候爵とて国王陛下からの命である為に受け入れざるを得なかったということだ。
ステファニーは窓から外の景色を眺めながら候爵邸での歓迎されない時間の覚悟を決め背筋を伸ばした。
『美味しい…』
心からの声を漏らすと後方からレオナルドが不思議そうに
『味がするのですか?』
このところのオリヴィアの体の変化を案じた側近はこれまた心の声をそのままに発した。
『なわけないでしょう?』
オリヴィアは晴れた心がどんより曇るのを確信しレオナルドを睨みつけた。
『さぁ、今日も頑張るわよ』
オリヴィアはデスクに積み上げられた書類を一気に片付けていく。レオナルドもまた促されるように執務に取り掛かった。
レオナルドに映るオリヴィアはどこか晴れやかで前向きにそれでいて強さも感じるようになってきた。以前の気弱さが無くなり、幼子のような表情も無い。
…これは女になったな…。
レオナルドはオリヴィアをチラリと見てそしてニヤリと笑った。たまたまオリヴィアと目が合うとオリヴィアは怪訝そうにレオナルドを眺めた。
心身ともに充実したオリヴィアは強い。それも最強であった。帝国皇后陛下としてももはや盤石なものとしその名を大陸まで轟かせていた。
ジュリラン王国にもその噂は流れ、国王は珍しくラインハルトとステファニーと共に晩餐を取っていた。
『ラインハルト、帝国ではフィリップ殿はどうなっている?』
国王は表情を少し和らげワインを傾けた。
『彼は、皇帝の側近としてご活躍です。』
『流石だな。もしや早々にこの流れを読んでおったのかも知れぬな。』
納得するラインハルトにステファニーは
『帝国を治めていた者がですか?』
ラインハルトはステファニーを横目に
『まだそんな事を…。先見の明の意味をしらぬか?自分軸で物事を推し量るなよ?ステファニー。』
帝国で先行きを案じられるイザベラ同様、ステファニーもまた先行きを案じられる1人であるはずが当の本人はまだ自分の置かれている立場を理解していなかった。
そんな中、国王は無情にもステファニーに
『ステファニー、ランドルト候爵家のアランとの縁談がある。用意をしておくのだ。』
そう言うと国王はラインハルトに目配せをし席を立った。
…。
『ステファニー、父上の仰っておられた事だが、来週にも席を設ける故。』
瞬きを重ねるステファニーは
『ランドルト候爵って我が国の?』
ラインハルトはため息を殺し
『そうだ。』
『何故?』
『…。』
『だから何故?』
『ステファニー、政略結婚に何故も何も無い。父上が決めた事に従うのが我らの義務だ。オリヴィアとてそうであったように…。そもそもオリヴィアにアナリスへと促したのはお前だぞ?』
ステファニーは放心していた。大陸を治める国母になるために生きて来たはずが自国のそれも候爵家へ嫁ぐと。これがわが王族の何に働くのか?もはやラインハルトの声はステファニーには届いてはいなかった。
そんな中、ラインハルトの言った通り、ある朝になるとステファニーの侍女らが騒がしく朝から動き回っている。
『どうかしたの?』
ステファニーが食後のお茶を飲みながら問うと
『王女、本日は顔合わせですのでお早めにご用意を。』
ステファニーとて王族である。国王の命をすっぽかす事はしない。ため息を吐きながら侍女に促されるままに支度を進め王宮の馬車に乗り込み候爵邸へと向かった。
ステファニーとて才女である。自分の置かれた立場を受け入れてはないものの、理解はしている。一度は敗戦国となるフランツ帝国に嫁いだそれも側妃である。名高い者は誰も娶ろうとは思わぬ事も熟知している。候爵とて国王陛下からの命である為に受け入れざるを得なかったということだ。
ステファニーは窓から外の景色を眺めながら候爵邸での歓迎されない時間の覚悟を決め背筋を伸ばした。
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