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マドリン王国

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ヨハネスは久々に家族水入らずで晩餐を開いていた。

『父上、生まれてきた子は処刑にしようと思います。』


一斉にナイフとフォークが止まる。



『兄上、兄上のお子かもしれないのですよ?』


第2王子であるヘンリーが驚いたように言う。


『そうだな。だがな私の子ではない可能性が少しでもあるならば、それは王女としては認められない。』



…。


『我ら王族の血は少しの濁りも許されぬ。それはお前も存じておろう?』



…。


明らかに顔色を無くすヘンリーにヨハネスは


『あの子の金髪はやがて色が落ち銀髪碧眼となろうな?』


!驚き目を見開く3人。



『兄上…。』 


ヨハネスは頷くと


『お前が王位継承を望んでいたとは思っていない。』 

ヨハネスの言葉にヘンリーは目を泳がせる。


『アンドレは…』


ヨハネスの言い掛けた言葉にヘンリーは即座に反応すると


『兄上…。申し訳ありません。アンドレは関係ありません。私がアンドレを巻き込んだのです。悪いのは全て私なのです!』


ヨハネスは黙ったままヘンリーの言葉を待った。




『私はアンドレの子どもが欲しかった。』   




息子の訳のわからない言葉に国王と王妃は驚いたように顔を見合わせた。




『だがお前もアンドレも男だ。子どもは出来ぬ。だから近くで見守る事のできる、ジュリアに目をつけた。』



『兄上の熱は、じきに冷める事は容易に想像できました。ならばその妃がアンドレの子どもを宿したならば…近くで見守る事ができる。

でもそれだけではジュリアが他の男との子どもを宿す危険があった。そんな時、もし銀髪碧眼の子どもが出来ればジュリアは罪を背負い、生まれてきた子どもは私の子どもとして認知できる。そんな欲が出てきました。』



頭の整理がつかない王妃は目を丸くしている。



『それでお前も加勢した。ってお前ね。こんな訳のわからない事をするなよ。なにも王太子妃でなくてもよかろう?』


睨みつけるヨハネスに


『私とて王族の端くれ。あれが王太子妃など国が滅びます。』


…。


『下世話な話、お前がよくジュリアと子どもを作れたね?』


ヘンリーは胸を張り


『アンドレの為ですから!』

…威張る所じゃないけどな?


『父上、ジュリアは情状酌量で修道院ですかね?ヘンリーは残された子どもの養育でどうです?』


頷くしかない国王と王妃。

『兄上、私はここに兄上への忠誠を誓います!』

『あのな?お前は執務に付いていない。医学の研究漬けなのだから、国家の役に立つ研究を頼むぞ。』


ヨハネスはこの件を深く掘り起こす事をせず、内密に簡単に処理を進めた。しかしながらこの数ヶ月の間、使えるものは全て使い真実を突き止めたのだ。


その頃ジュリアは二度と来るはずの無いマグヌス公爵令息を毎日心待ちにしていた。


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