冷酷皇帝とお花畑妃殿下

makojou

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離脱そして対面

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サンドラ王女が北帝国に入って5日目の朝、王女は朝早くに皇宮を後にした。つまり逃げ出したのである。


『まぁ、予想は出来てたけど。早すぎないか?仮にも南帝国経由でここに来たのであろう?兄上の顔を潰す事になるよね?』


他人事のように語るカイザルにファビウスは

『まあ、アレに居座られでもしたら私の身が持ちませんでしたよ…。』



『で?もう1人は?』


『絶好調なご様子ですが?』


カイザルは顎に手をあて


『な?それがおかしいだろ?逆にサンドラ王女が普通だろ?こんな所に好んで居たい奴など居ない。まして王女だぞ?マリランは何を企んでいる?』


ファビウスは背筋を伸ばし

『調査しますが、殿下も姫との時間を取り何かしらの手がかりを探ってみて下さい。』


カイザルは面倒くさそうにしながらも


『致し方無いか。』


…ったく。




カイザルの目の前で屈託ない笑顔を浮かべるフランシスにカイザルは無表情で問いかけた。


『こちらでの暮らしはどうだ?』

『はい、お陰さまで、みんな良くしてくれますので。』


…そりゃそうだろ?他国の王女だからな?

笑顔の奥に何が隠されているのか?カイザルは訝しげにフランシスを見た。


『姫、単刀直入に聞く。何故ここに?』


『何故とは?』


『だから別にここで無くとも、姫の嫁ぎ先はゴロゴロとあるだろ?』


カイザルの言葉に若干の苛立ちを覚えたフランシスは


『マリラン王女だから?』


カイザルはフランシスのご機嫌を損ねた事を感じ


『いや、悪い。そういう意味ではなく、普通ならばあまり選ば無い土地であろう?』


フランシスは小さくため息をつくと


『そもそも縁談のお話しは大帝国の時から我が国にありましたのよ?ですが…お恥ずかしい話し我が国は他国との国交をあまり持って来なかった為に保守的に構えておりましたの。

ですがここに来て兄が立太子したことにより状況が変わり…今ここに居るって感じですかね?』


カイザルはフランシスの一語一句を丁寧に聞き取ると


『それで何故北帝国に?大帝国の時に縁談の話しがあったのならばそれは兄上、南帝国の皇帝からであろう?

こう言っては失礼かも知れぬが妃を迎えた後であっても兄上ならば姫を迎えたであろう。帝国からしたらマリラン王国との国交は喉から手が出る程欲しいはずだが?』


…本当失礼ね。


『ですが北帝国はその国交にはあまりご興味が無いようですが?』


嫌味をぶっ込んでやると



『そうではない…ただ…』


言葉を濁すカイザルにフランシスは


『捉え方の相違ですわね。殿下はこの2大帝国を分裂と捉えていらっしゃるのですね?

私は大帝国皇帝である殿下のお父様の決断に賛同してましたの。だってこの大きな大陸を大帝国一つで治めるのはなかなか大変ですものね?首都を2つ置いたとしてもそれは力を分散させただけのこと。


ならばいっそ別々の帝国とし2つに分ければ、その地域に適した政治が出来ますものね。』


カイザルは予想外に政治に精通しているフランシスに自分が考えていた様に裏の顔を見た気がした。


『だが、各々が成長して大きくなればいずれは分裂、敵対する日もくるだろう?』


『ですが例えそうなったとしてもどちらかが残る。ということは、グランチェスタの名は残るのでは?そして万が一2つの帝国ともに喰われるならばそれは能無し皇帝だったって事でしょう?』


…。


カイザルは恐れていた何かを見た気がして目の前のマリラン王女を真っ直ぐに見据えた。


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