8 / 32
離脱そして対面
しおりを挟む
サンドラ王女が北帝国に入って5日目の朝、王女は朝早くに皇宮を後にした。つまり逃げ出したのである。
『まぁ、予想は出来てたけど。早すぎないか?仮にも南帝国経由でここに来たのであろう?兄上の顔を潰す事になるよね?』
他人事のように語るカイザルにファビウスは
『まあ、アレに居座られでもしたら私の身が持ちませんでしたよ…。』
『で?もう1人は?』
『絶好調なご様子ですが?』
カイザルは顎に手をあて
『な?それがおかしいだろ?逆にサンドラ王女が普通だろ?こんな所に好んで居たい奴など居ない。まして王女だぞ?マリランは何を企んでいる?』
ファビウスは背筋を伸ばし
『調査しますが、殿下も姫との時間を取り何かしらの手がかりを探ってみて下さい。』
カイザルは面倒くさそうにしながらも
『致し方無いか。』
…ったく。
カイザルの目の前で屈託ない笑顔を浮かべるフランシスにカイザルは無表情で問いかけた。
『こちらでの暮らしはどうだ?』
『はい、お陰さまで、みんな良くしてくれますので。』
…そりゃそうだろ?他国の王女だからな?
笑顔の奥に何が隠されているのか?カイザルは訝しげにフランシスを見た。
『姫、単刀直入に聞く。何故ここに?』
『何故とは?』
『だから別にここで無くとも、姫の嫁ぎ先はゴロゴロとあるだろ?』
カイザルの言葉に若干の苛立ちを覚えたフランシスは
『マリラン王女だから?』
カイザルはフランシスのご機嫌を損ねた事を感じ
『いや、悪い。そういう意味ではなく、普通ならばあまり選ば無い土地であろう?』
フランシスは小さくため息をつくと
『そもそも縁談のお話しは大帝国の時から我が国にありましたのよ?ですが…お恥ずかしい話し我が国は他国との国交をあまり持って来なかった為に保守的に構えておりましたの。
ですがここに来て兄が立太子したことにより状況が変わり…今ここに居るって感じですかね?』
カイザルはフランシスの一語一句を丁寧に聞き取ると
『それで何故北帝国に?大帝国の時に縁談の話しがあったのならばそれは兄上、南帝国の皇帝からであろう?
こう言っては失礼かも知れぬが妃を迎えた後であっても兄上ならば姫を迎えたであろう。帝国からしたらマリラン王国との国交は喉から手が出る程欲しいはずだが?』
…本当失礼ね。
『ですが北帝国はその国交にはあまりご興味が無いようですが?』
嫌味をぶっ込んでやると
『そうではない…ただ…』
言葉を濁すカイザルにフランシスは
『捉え方の相違ですわね。殿下はこの2大帝国を分裂と捉えていらっしゃるのですね?
私は大帝国皇帝である殿下のお父様の決断に賛同してましたの。だってこの大きな大陸を大帝国一つで治めるのはなかなか大変ですものね?首都を2つ置いたとしてもそれは力を分散させただけのこと。
ならばいっそ別々の帝国とし2つに分ければ、その地域に適した政治が出来ますものね。』
カイザルは予想外に政治に精通しているフランシスに自分が考えていた様に裏の顔を見た気がした。
『だが、各々が成長して大きくなればいずれは分裂、敵対する日もくるだろう?』
『ですが例えそうなったとしてもどちらかが残る。ということは、グランチェスタの名は残るのでは?そして万が一2つの帝国ともに喰われるならばそれは能無し皇帝だったって事でしょう?』
…。
カイザルは恐れていた何かを見た気がして目の前のマリラン王女を真っ直ぐに見据えた。
『まぁ、予想は出来てたけど。早すぎないか?仮にも南帝国経由でここに来たのであろう?兄上の顔を潰す事になるよね?』
他人事のように語るカイザルにファビウスは
『まあ、アレに居座られでもしたら私の身が持ちませんでしたよ…。』
『で?もう1人は?』
『絶好調なご様子ですが?』
カイザルは顎に手をあて
『な?それがおかしいだろ?逆にサンドラ王女が普通だろ?こんな所に好んで居たい奴など居ない。まして王女だぞ?マリランは何を企んでいる?』
ファビウスは背筋を伸ばし
『調査しますが、殿下も姫との時間を取り何かしらの手がかりを探ってみて下さい。』
カイザルは面倒くさそうにしながらも
『致し方無いか。』
…ったく。
カイザルの目の前で屈託ない笑顔を浮かべるフランシスにカイザルは無表情で問いかけた。
『こちらでの暮らしはどうだ?』
『はい、お陰さまで、みんな良くしてくれますので。』
…そりゃそうだろ?他国の王女だからな?
笑顔の奥に何が隠されているのか?カイザルは訝しげにフランシスを見た。
『姫、単刀直入に聞く。何故ここに?』
『何故とは?』
『だから別にここで無くとも、姫の嫁ぎ先はゴロゴロとあるだろ?』
カイザルの言葉に若干の苛立ちを覚えたフランシスは
『マリラン王女だから?』
カイザルはフランシスのご機嫌を損ねた事を感じ
『いや、悪い。そういう意味ではなく、普通ならばあまり選ば無い土地であろう?』
フランシスは小さくため息をつくと
『そもそも縁談のお話しは大帝国の時から我が国にありましたのよ?ですが…お恥ずかしい話し我が国は他国との国交をあまり持って来なかった為に保守的に構えておりましたの。
ですがここに来て兄が立太子したことにより状況が変わり…今ここに居るって感じですかね?』
カイザルはフランシスの一語一句を丁寧に聞き取ると
『それで何故北帝国に?大帝国の時に縁談の話しがあったのならばそれは兄上、南帝国の皇帝からであろう?
こう言っては失礼かも知れぬが妃を迎えた後であっても兄上ならば姫を迎えたであろう。帝国からしたらマリラン王国との国交は喉から手が出る程欲しいはずだが?』
…本当失礼ね。
『ですが北帝国はその国交にはあまりご興味が無いようですが?』
嫌味をぶっ込んでやると
『そうではない…ただ…』
言葉を濁すカイザルにフランシスは
『捉え方の相違ですわね。殿下はこの2大帝国を分裂と捉えていらっしゃるのですね?
私は大帝国皇帝である殿下のお父様の決断に賛同してましたの。だってこの大きな大陸を大帝国一つで治めるのはなかなか大変ですものね?首都を2つ置いたとしてもそれは力を分散させただけのこと。
ならばいっそ別々の帝国とし2つに分ければ、その地域に適した政治が出来ますものね。』
カイザルは予想外に政治に精通しているフランシスに自分が考えていた様に裏の顔を見た気がした。
『だが、各々が成長して大きくなればいずれは分裂、敵対する日もくるだろう?』
『ですが例えそうなったとしてもどちらかが残る。ということは、グランチェスタの名は残るのでは?そして万が一2つの帝国ともに喰われるならばそれは能無し皇帝だったって事でしょう?』
…。
カイザルは恐れていた何かを見た気がして目の前のマリラン王女を真っ直ぐに見据えた。
10
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
養子の妹が、私の許嫁を横取りしようとしてきます
ヘロディア
恋愛
養子である妹と折り合いが悪い貴族の娘。
彼女には許嫁がいた。彼とは何度かデートし、次第に、でも確実に惹かれていった彼女だったが、妹の野心はそれを許さない。
着実に彼に近づいていく妹に、圧倒される彼女はとうとう行き過ぎた二人の関係を見てしまう。
そこで、自分の全てをかけた挑戦をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる