冷酷皇帝とお花畑妃殿下

サランドル大帝国の分裂

サランドル大帝国の分裂から早１年。
第１皇子であるエマニュエルは皇太子となるべく育てられ品行方正であり穏やかな性格である。

父親である皇帝から帝国を南北で分断し兄弟で切磋琢磨していく決定事項にも皇命としてすぐさま対応をみせた。

南北と言っても、南帝国は温暖地であり食料も豊富で元々の大帝国の首都であるアルダも存在する為、帝国とさほど変わりがない。

南帝国に属する事になる王国もまた各々ユニークな国が多く存在し各国の交流も盛んであった。

一方の北帝国は大帝国でも放置されていた、寒さ厳しい土地ゆえに、穀物生産も乏しく娯楽も少ないひっそりとしたものであった。そこに属する事になる王国は元々少ないが領地だけは広い殺伐とした国が多かった。


そんな南北の帝国の南帝国を与えられたのは、もちろん第１皇子であるエマニュエルであった。エマニュエルは条件として課せられた妃を北帝国に属する王国から娶りすぐに皇帝としてその名を大陸に轟かせたのである。


第２皇子であるカイザルはエマニュエルとは腹違いの弟である。カイザルは剣の腕前に秀でており大帝国では騎士団長を担う程であった。カイザルはエマニュエルと違い戦場で力を発揮してきただけに皇太子スマイルなどは持ち合わせておらず、孤高な皇子と呼ばれていた。


そんなカイザルがある日突然、皇帝として北帝国を統率することになったのだ。カイザルは順当に進めていくエマニュエルに不信感を覚えながらも僻地である北帝国へと入ったのであった。