貴方に嫌われたくなくて

makojou

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背中を押されるリディアンネ

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『リディアンネ様ありがとうございました』


本当に入金が確認された日、侍女らは未だ信じられないような表情でリディアンネに頭を垂れた。


『無事入金されたのね。ジュールはあぁ見えて良い仕事するのよ』


ルイザはすかさず


『あのような大金…』


『いいのよ。それだけの働きをしているのだから当然の事。胸を張って受け取るべきよ。

それにね私はもともと物欲が無いの。王女だから嫌でも予算が充てがわれるけれど使い道もなければ何を買うかを考えるのも面倒なの。

だからドレスなんかも全てお姉様たちのお下がりなのよ?でもね一回だけ!帝国の皇太子妃選定の時に作ったの。』


嬉しそうに語るリディアンネに鋭い指摘をしたのはやはり知的なサーシャ。


『あの、よろしいですか?』


リディアンネはもちろん頷くと


『リディアンネ様は皇太子妃を狙っていらしたのですか?』


『いいえ、全く。』


『ならば何故ドレスを初めて作られたのですか?』


『…。』


黙りこくるリディアンネにサーシャは尚も


『私が思うに、リディアンネ様はアルフォンス様をお慕いされているのでは?』


驚く一同に輪をかけて驚くリディアンネ。


『何故?そう思うの?え?どうして?』


ここまであからさまだとサーシャの指摘を肯定しているのと同じである。


『リディアンネ様を見ておりますと時折アルフォンス様をストーカーのように覗き見されておられるので…』


…ストーカーって貴女。


リディアンネは観念したのか長年の思いを吐き出した。



『それは間違いなくストーカーですね。』


はっきり思ったまま口にするのはアンである。


『アン…。アルフォンス様が知ったら引くわよね。』


『いいえ、寧ろ喜ばれるのでは?』

珍しく助言をするルイザ。真面目なルイザは今でもリディアンネとの一定の距離を保っていた。そのルイザが女子トークに自ら入ってきたのだ。


『そうですね、アルフォンス様も同じ様にリディアンネ様を覗き見しておられるますよ?』


知的な物言いのサーシャが言う。



分かりやすく満面の笑みを巻き散らかすリディアンネは嬉しそうに両手で顔を覆ってみせた。


『まぢで?』


もはや王女の風格も大公家の嫁としての威厳も無く1人の令嬢のようであった。




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