23 / 42
これが本当の拉致ですか?
しおりを挟む
翌日メルシア王女とルリネットは、王宮から馬車に乗り込んで公園を目指した。もちろん護衛の馬車も付いている。
黙りこくるメルシア王女に、ルリネットは恋に悩む乙女を感じ、そのまま静かなひとときを楽しんだ。
その静寂な馬車な中へ大きな音が響き渡る。外で何かが起こっているのは間違いない。メルシア様はルリネットを庇うように席を立つもそれと同事に扉が開き黒尽くめの男たちが乗り込んできた。
メルシア王女とルリネットは一瞬のうちに意識を手放された。あっという間の出来事であった。
ルリネットはぼんやりと意識が戻ってきた。
ここは?かすかに香る磯の香り。ダリス大王国の南側には海がある。王都から少し離れた所ではあるがそんなに遠くはないと感じる。ルリネットはしばらくそのまま様子を伺っていた。
そうだメルシア様!
『メルシア王女?』
ルリネットは一緒に連れ去られたメルシア王女を探すも馬車には居ない。すぐさま馬車を降りると、そこには黒尽くめの男たちとメルシア王女が立っていた。
『ようやく目を覚まされましたわ!』
メルシア王女がルリネットへ今までとは異なる視線を送る。
『ご相談はどうなりましたの?』
ルリネットは毅然とした態度でメルシア王女に問う。
『あら、そんなものございませんわ!』
高笑いをするメルシア王女に
『貴女とマクシミリアン王太子の事は存じております。そのことについてではなかったのですか?』
一瞬ピクリとするメルシア王女。
『あら?思ったより鼻が効くのね。』
話の意図がわからないルリネットは単刀直入に問う。
『貴女は‥ダリス大王国の王太子妃になりたくないのね?』
『なりたいもなりたくないも無いの。私はダリス大王国の王太子妃にならなきゃならないの。』
当たり前のように言うメルシア王女に、
『でも本心はマクシミリアン王太子を愛しているのね?』
メルシア王女は一瞬固まり次にそれをかき消す様に笑い出した。
『アハハハ、何を言っているの?マクシミリアン王太子とは言わば同士のようなものよ。利害関係が一致しているのよ。わからないかしら?私もマクシミリアン王太子も貴女がダリス大王国の王太子妃になられると困るのよ!』
ルリネットは別にダリス大王国の王太子妃なんて望んではいないが、利害関係の一致とまで言われるとその目論みが気になる所だ。
『だったらどうするの?』
『そうね、本当は貴女に生きていてもらっては困るのよ。でもマクシミリアン王太子と組んだからには貴女を殺める事は出来ないの。大人しくリラ大王国へ行ってくれない?』
そんな事は出来ないけどね…
『断ったら?』
メルシア王女は楽しそうに笑う。
『アハハハそうね、貴女に断る選択肢はないのよ?』
メルシア王女が黒尽くめの男に目配せするとルリネットは男たちに一気に馬車の中に連れ込まれた。
声を上げるにも、誰にも届かない。
遠くでメルシア王女笑い声と恐ろしい指示が聞こえた。
『服を切り刻んで逃げられなくして!裸のままマクシミリアン王太子に引き渡すわ!』
そう言うとメルシア様は馬車の鍵を自ら締めどこかへ行ってしまった。
黙りこくるメルシア王女に、ルリネットは恋に悩む乙女を感じ、そのまま静かなひとときを楽しんだ。
その静寂な馬車な中へ大きな音が響き渡る。外で何かが起こっているのは間違いない。メルシア様はルリネットを庇うように席を立つもそれと同事に扉が開き黒尽くめの男たちが乗り込んできた。
メルシア王女とルリネットは一瞬のうちに意識を手放された。あっという間の出来事であった。
ルリネットはぼんやりと意識が戻ってきた。
ここは?かすかに香る磯の香り。ダリス大王国の南側には海がある。王都から少し離れた所ではあるがそんなに遠くはないと感じる。ルリネットはしばらくそのまま様子を伺っていた。
そうだメルシア様!
『メルシア王女?』
ルリネットは一緒に連れ去られたメルシア王女を探すも馬車には居ない。すぐさま馬車を降りると、そこには黒尽くめの男たちとメルシア王女が立っていた。
『ようやく目を覚まされましたわ!』
メルシア王女がルリネットへ今までとは異なる視線を送る。
『ご相談はどうなりましたの?』
ルリネットは毅然とした態度でメルシア王女に問う。
『あら、そんなものございませんわ!』
高笑いをするメルシア王女に
『貴女とマクシミリアン王太子の事は存じております。そのことについてではなかったのですか?』
一瞬ピクリとするメルシア王女。
『あら?思ったより鼻が効くのね。』
話の意図がわからないルリネットは単刀直入に問う。
『貴女は‥ダリス大王国の王太子妃になりたくないのね?』
『なりたいもなりたくないも無いの。私はダリス大王国の王太子妃にならなきゃならないの。』
当たり前のように言うメルシア王女に、
『でも本心はマクシミリアン王太子を愛しているのね?』
メルシア王女は一瞬固まり次にそれをかき消す様に笑い出した。
『アハハハ、何を言っているの?マクシミリアン王太子とは言わば同士のようなものよ。利害関係が一致しているのよ。わからないかしら?私もマクシミリアン王太子も貴女がダリス大王国の王太子妃になられると困るのよ!』
ルリネットは別にダリス大王国の王太子妃なんて望んではいないが、利害関係の一致とまで言われるとその目論みが気になる所だ。
『だったらどうするの?』
『そうね、本当は貴女に生きていてもらっては困るのよ。でもマクシミリアン王太子と組んだからには貴女を殺める事は出来ないの。大人しくリラ大王国へ行ってくれない?』
そんな事は出来ないけどね…
『断ったら?』
メルシア王女は楽しそうに笑う。
『アハハハそうね、貴女に断る選択肢はないのよ?』
メルシア王女が黒尽くめの男に目配せするとルリネットは男たちに一気に馬車の中に連れ込まれた。
声を上げるにも、誰にも届かない。
遠くでメルシア王女笑い声と恐ろしい指示が聞こえた。
『服を切り刻んで逃げられなくして!裸のままマクシミリアン王太子に引き渡すわ!』
そう言うとメルシア様は馬車の鍵を自ら締めどこかへ行ってしまった。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
溺愛される妻が記憶喪失になるとこうなる
田尾風香
恋愛
***2022/6/21、書き換えました。
お茶会で紅茶を飲んだ途端に頭に痛みを感じて倒れて、次に目を覚ましたら、目の前にイケメンがいました。
「あの、どちら様でしょうか?」
「俺と君は小さい頃からずっと一緒で、幼い頃からの婚約者で、例え死んでも一緒にいようと誓い合って……!」
「旦那様、奥様に記憶がないのをいいことに、嘘を教えませんように」
溺愛される妻は、果たして記憶を取り戻すことができるのか。
ギャグを書いたことはありませんが、ギャグっぽいお話しです。会話が多め。R18ではありませんが、行為後の話がありますので、ご注意下さい。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
悪役令嬢の幸せは新月の晩に
シアノ
恋愛
前世に育児放棄の虐待を受けていた記憶を持つ公爵令嬢エレノア。
その名前も世界も、前世に読んだ古い少女漫画と酷似しており、エレノアの立ち位置はヒロインを虐める悪役令嬢のはずであった。
しかし実際には、今世でも彼女はいてもいなくても変わらない、と家族から空気のような扱いを受けている。
幸せを知らないから不幸であるとも気が付かないエレノアは、かつて助けた吸血鬼の少年ルカーシュと新月の晩に言葉を交わすことだけが彼女の生き甲斐であった。
しかしそんな穏やかな日々も長く続くはずもなく……。
吸血鬼×ドアマット系ヒロインの話です。
最後にはハッピーエンドの予定ですが、ヒロインが辛い描写が多いかと思われます。
ルカーシュは子供なのは最初だけですぐに成長します。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる