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穏やかな日常

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オブライアン公爵は西国へ戻され、直ちに刑は執行された。オブライアン公爵家も消滅となったという。

西国は皇帝復活の時までに整理される。アレク国王も最後の執務に追われる日々が続いているようだ。

アルフレッド殿下については、アレク国王はオブライアン公爵と同じ様に処刑を覚悟していた様だったが、ハインリッヒの一声で処罰はされなかった。



リデュアンネは温室で今日も陛下とそして王妃とお茶会を開いていた。

『今日はアンネの好きなマカロンを用意したのよ』
とウィンクしてみせた。

ズキューン♡天使‥天使だわ。フワッフワのドレスが似合いそう。

『こらこら、アンネ。心の声が漏れておる』
相変わらずの泥だらけ‥

陛下、イケメンが台無しです‥
でもこうしてみると、陛下はハインリによく似ている。

『ようやくキャシーと一緒に過ごす時間が取れる』

柔らかい笑顔が嬉しい。お二人が今まで歩んでこられた時間を取り戻す事が出来る様私も王太子妃として頑張らないと!


『思っているだけでは、何ともなりませんよ。』

うわぁ、出た

『まあ、テオ。アンネには手厳しいのね。』

手厳しいのねじゃなくて、ここはきつくお灸を据える所ですよ!

ふてくされる私に王妃は

『でもね、今回こうして万事うまく事が運んだのはテオのおかげなのよ。』

‥なんでやねん。こいつは陛下を呼びに来て、私をひきずり出しただけだけど‥

『テオ、貴方でしょう?公爵にあの噂を流したのは‥』



まぢで?

『こう見えても、私も東国の王子の1人ですから。西国に入りいい仕事をしておりましたよ。』

‥あんたスパイだったの?それも筆頭公爵家に入り込んで。


『いい仕事って、テオは私に説教してばかりでしたが?』

両陛下にチクってやった。ざまぁ(笑)

『アルフレッドの婚約者であるお嬢様にお仕えするのが一番手っ取り早いですからね。私はお説教しかしていなかった訳ではありませんよ。お嬢様の一日は大半が私の説教でも、私の一日からしたらほんの一部でしたよ。』


‥こいつ。


3人が穏やかに笑う中、氷が溶け切ったハインリが温室にやってきた。

『私だけ除け者ですか?』

『あら、ハインリいらっしゃい。ここへはいつでも来て頂戴。これからは私達が出迎えますよ』

やはり母親なのだ。これまで沢山のものを抱えて来られて上手く愛情表現もできなかったのであろう。いや、愛情こそも疑い心が砕けそうな日々を送られてきたのだ。これからは穏やかにお過ごし頂きたい。


『思い出話に花を咲かせていたのだよ。』
テオドールはこちらをニヤリと見た。

(‥何よ‥スパイのくせに)

『兄上、思い出話とは?』


『なぁに、公爵家では大きな森があるのだが、お嬢様が日々渡り歩くので公爵が奥の方だけでもと伐採された程ですよ。』



『まあおサルさんみたいね~』と微笑む王妃に

『いえ、もはやおサルさんですよ‥』

‥テオドール覚えていなさいよ。



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