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女子会☆

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メープル王国はサンライズ王国よりお荷物2人を受け入れながらも穏やかな毎日が流れていた。アン王女は意外にも真面目?なのか連日の様にヴィクトリアの元へと現れ任務を遂行している。と言ってもお茶を飲んでいるだけではあるが…。


『来週にはようやくトンプソン橋の開通式を迎えられますわね。』


アナスタージアが感慨深く呟くとヴィクトリアも嬉しそうに頷いた。


『これで少しはトンプソン領にも恩恵が受けられるでしょう。王都からの道のりも賑やかになりますしこれからですわ。』


2人の話し横で聞いていたアン王女はアナスタージアに

『貴女もせっかくですもの、開通式には参列されたらいかがかしら?』

ヴィクトリアも大きく頷くもアナスタージアは


『ありがとうございます。ですがご遠慮いたしますわ。名ばかりとは言え側妃の存在がいつまでもこの国に居座るのはよろしくありません。私はまた各国放浪の旅に出ようと思っておりますの。』



アン王女は自らカップを手にすると


『まぁ放浪の旅ですか?私の兄のような方ですのね。ってアナスタージア様は侯爵令嬢でしたよね?』


不思議そうに見つめるアン王女にアナスタージアはケラケラと笑い

『我が家には私以外にも妹達がおりますし、そもそも両親は子どもの意思を尊重してくれております。こう見えて元来私は令嬢らしからぬ令嬢ですのよ?各国を飛び回り未知なる世界へ飛び込むのが大好きなのです。ですから妃殿下がまともになられて本当良かったですわ。』


…まともって


ヴィクトリアは苦笑いを浮かべながら広い王宮を見渡した。


思えば目の前のアナスタージアは原作では王妃となりアレクセイの隣に居たはずだ。なんの因果かたまたま2人が恋に落ちる前にまともでないヴィクトリアに代わり貴族でもないごくごく普通な麻子が転生したばかりに運命が変わってしまったのだ。


アナスタージアにとってどちらが幸せなのかは今はわからない。だが不本意ながらヴィクトリアになった以上変えられない運命は仕方ないとしても必ず原作以上に幸せになってほしいと心からエールを送った。


遠くで騎士たちが鍛錬する音、令嬢たちが賑やかに行き交う音、官僚たちが走り回る音、全てが心地よくヴィクトリアの耳に入るようになってきていた。そんな重なり合うと音を楽しみながらお茶で口を潤す。ストレートティーがいつもに増して美味しい。


『妃殿下、最後に1つ聞いてもよろしいですか?』

アナスタージアは既に側妃の表情ではなく、
一令嬢の顔となってヴィクトリアを覗き込むと


『1つと言わず幾つでも結構ですよ。』


気分がすこぶる良いヴィクトリアは王太子妃スマイルを披露した。


『妃殿下と殿下はいわゆる略奪婚ですわよね?』

思わず素晴らしいストレートティーを吹き出す所であったヴィクトリアは咳き込みながらアナスタージアを見た。もちろん隣のアン王女も興味津々である。


『略奪婚?…響きは悪いけれどそうなるのかしら?』



『という事は、殿下を愛していらっしゃるという事ですよね?』


間髪入れず問われるヴィクトリアは返答に困る。





『そういう事になるのかしらね?』


恐る恐る答えたヴィクトリアは上目遣いで正面からヴィクトリアを凝視する2人に視線を向ける。アナスタージアは顎に手を当てるとマジマジとヴィクトリアを眺めていると隣のアン王女は嬉しそうに


『まぁ、照れていらっしゃるのですね?恥ずかしがらずともよろしいのに。殿下はとてもわかり易いですわよね?』


…?殿下が、なに?


目が点となるヴィクトリアの表情を見ていたアナスタージアは真顔で口を開いた。


『妃殿下、私からの最後の生意気だとお許し下さい。

妃殿下が倒れられてから、妃殿下の様子が変わったと聞きます。私は以前の妃殿下を存じませんので仲睦まじいお二人を見たことがございません。今の妃殿下は立派な我が国の王太子妃でございます。殿下との真実の愛が消えてしまわれたのであればそれでも結構。世継ぎを設ける側妃を迎えれば良いだけ。

ですがもしまだ殿下にお心がお有りならばゆっくりはしてられませんよ。


貴族というものは常に身の振り方を考えて行動しております。いつまでも後継者が出来ないとなれば未来の統率者を求めて動きが激しくなるでしょう。

私は妃殿下に後継者を産んでほしい訳ではなく妃殿下が王太子妃となられた事を後悔されないように。どうかお心のままに。』


切実に語るアナスタージアの姿を見てヴィクトリアは素のままで頷いた。


…何だか深刻な展開になってきたわ。


アン王女は真剣な眼差しで見つめ合う2人をこちらも真剣に見つめていた。


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