45 / 69
女子会☆
しおりを挟む
メープル王国はサンライズ王国よりお荷物2人を受け入れながらも穏やかな毎日が流れていた。アン王女は意外にも真面目?なのか連日の様にヴィクトリアの元へと現れ任務を遂行している。と言ってもお茶を飲んでいるだけではあるが…。
『来週にはようやくトンプソン橋の開通式を迎えられますわね。』
アナスタージアが感慨深く呟くとヴィクトリアも嬉しそうに頷いた。
『これで少しはトンプソン領にも恩恵が受けられるでしょう。王都からの道のりも賑やかになりますしこれからですわ。』
2人の話し横で聞いていたアン王女はアナスタージアに
『貴女もせっかくですもの、開通式には参列されたらいかがかしら?』
ヴィクトリアも大きく頷くもアナスタージアは
『ありがとうございます。ですがご遠慮いたしますわ。名ばかりとは言え側妃の存在がいつまでもこの国に居座るのはよろしくありません。私はまた各国放浪の旅に出ようと思っておりますの。』
アン王女は自らカップを手にすると
『まぁ放浪の旅ですか?私の兄のような方ですのね。ってアナスタージア様は侯爵令嬢でしたよね?』
不思議そうに見つめるアン王女にアナスタージアはケラケラと笑い
『我が家には私以外にも妹達がおりますし、そもそも両親は子どもの意思を尊重してくれております。こう見えて元来私は令嬢らしからぬ令嬢ですのよ?各国を飛び回り未知なる世界へ飛び込むのが大好きなのです。ですから妃殿下がまともになられて本当良かったですわ。』
…まともって
ヴィクトリアは苦笑いを浮かべながら広い王宮を見渡した。
思えば目の前のアナスタージアは原作では王妃となりアレクセイの隣に居たはずだ。なんの因果かたまたま2人が恋に落ちる前にまともでないヴィクトリアに代わり貴族でもないごくごく普通な麻子が転生したばかりに運命が変わってしまったのだ。
アナスタージアにとってどちらが幸せなのかは今はわからない。だが不本意ながらヴィクトリアになった以上変えられない運命は仕方ないとしても必ず原作以上に幸せになってほしいと心からエールを送った。
遠くで騎士たちが鍛錬する音、令嬢たちが賑やかに行き交う音、官僚たちが走り回る音、全てが心地よくヴィクトリアの耳に入るようになってきていた。そんな重なり合うと音を楽しみながらお茶で口を潤す。ストレートティーがいつもに増して美味しい。
『妃殿下、最後に1つ聞いてもよろしいですか?』
アナスタージアは既に側妃の表情ではなく、
一令嬢の顔となってヴィクトリアを覗き込むと
『1つと言わず幾つでも結構ですよ。』
気分がすこぶる良いヴィクトリアは王太子妃スマイルを披露した。
『妃殿下と殿下はいわゆる略奪婚ですわよね?』
思わず素晴らしいストレートティーを吹き出す所であったヴィクトリアは咳き込みながらアナスタージアを見た。もちろん隣のアン王女も興味津々である。
『略奪婚?…響きは悪いけれどそうなるのかしら?』
『という事は、殿下を愛していらっしゃるという事ですよね?』
間髪入れず問われるヴィクトリアは返答に困る。
…
『そういう事になるのかしらね?』
恐る恐る答えたヴィクトリアは上目遣いで正面からヴィクトリアを凝視する2人に視線を向ける。アナスタージアは顎に手を当てるとマジマジとヴィクトリアを眺めていると隣のアン王女は嬉しそうに
『まぁ、照れていらっしゃるのですね?恥ずかしがらずともよろしいのに。殿下はとてもわかり易いですわよね?』
…?殿下が、なに?
目が点となるヴィクトリアの表情を見ていたアナスタージアは真顔で口を開いた。
『妃殿下、私からの最後の生意気だとお許し下さい。
妃殿下が倒れられてから、妃殿下の様子が変わったと聞きます。私は以前の妃殿下を存じませんので仲睦まじいお二人を見たことがございません。今の妃殿下は立派な我が国の王太子妃でございます。殿下との真実の愛が消えてしまわれたのであればそれでも結構。世継ぎを設ける側妃を迎えれば良いだけ。
ですがもしまだ殿下にお心がお有りならばゆっくりはしてられませんよ。
貴族というものは常に身の振り方を考えて行動しております。いつまでも後継者が出来ないとなれば未来の統率者を求めて動きが激しくなるでしょう。
私は妃殿下に後継者を産んでほしい訳ではなく妃殿下が王太子妃となられた事を後悔されないように。どうかお心のままに。』
切実に語るアナスタージアの姿を見てヴィクトリアは素のままで頷いた。
…何だか深刻な展開になってきたわ。
アン王女は真剣な眼差しで見つめ合う2人をこちらも真剣に見つめていた。
『来週にはようやくトンプソン橋の開通式を迎えられますわね。』
アナスタージアが感慨深く呟くとヴィクトリアも嬉しそうに頷いた。
『これで少しはトンプソン領にも恩恵が受けられるでしょう。王都からの道のりも賑やかになりますしこれからですわ。』
2人の話し横で聞いていたアン王女はアナスタージアに
『貴女もせっかくですもの、開通式には参列されたらいかがかしら?』
ヴィクトリアも大きく頷くもアナスタージアは
『ありがとうございます。ですがご遠慮いたしますわ。名ばかりとは言え側妃の存在がいつまでもこの国に居座るのはよろしくありません。私はまた各国放浪の旅に出ようと思っておりますの。』
アン王女は自らカップを手にすると
『まぁ放浪の旅ですか?私の兄のような方ですのね。ってアナスタージア様は侯爵令嬢でしたよね?』
不思議そうに見つめるアン王女にアナスタージアはケラケラと笑い
『我が家には私以外にも妹達がおりますし、そもそも両親は子どもの意思を尊重してくれております。こう見えて元来私は令嬢らしからぬ令嬢ですのよ?各国を飛び回り未知なる世界へ飛び込むのが大好きなのです。ですから妃殿下がまともになられて本当良かったですわ。』
…まともって
ヴィクトリアは苦笑いを浮かべながら広い王宮を見渡した。
思えば目の前のアナスタージアは原作では王妃となりアレクセイの隣に居たはずだ。なんの因果かたまたま2人が恋に落ちる前にまともでないヴィクトリアに代わり貴族でもないごくごく普通な麻子が転生したばかりに運命が変わってしまったのだ。
アナスタージアにとってどちらが幸せなのかは今はわからない。だが不本意ながらヴィクトリアになった以上変えられない運命は仕方ないとしても必ず原作以上に幸せになってほしいと心からエールを送った。
遠くで騎士たちが鍛錬する音、令嬢たちが賑やかに行き交う音、官僚たちが走り回る音、全てが心地よくヴィクトリアの耳に入るようになってきていた。そんな重なり合うと音を楽しみながらお茶で口を潤す。ストレートティーがいつもに増して美味しい。
『妃殿下、最後に1つ聞いてもよろしいですか?』
アナスタージアは既に側妃の表情ではなく、
一令嬢の顔となってヴィクトリアを覗き込むと
『1つと言わず幾つでも結構ですよ。』
気分がすこぶる良いヴィクトリアは王太子妃スマイルを披露した。
『妃殿下と殿下はいわゆる略奪婚ですわよね?』
思わず素晴らしいストレートティーを吹き出す所であったヴィクトリアは咳き込みながらアナスタージアを見た。もちろん隣のアン王女も興味津々である。
『略奪婚?…響きは悪いけれどそうなるのかしら?』
『という事は、殿下を愛していらっしゃるという事ですよね?』
間髪入れず問われるヴィクトリアは返答に困る。
…
『そういう事になるのかしらね?』
恐る恐る答えたヴィクトリアは上目遣いで正面からヴィクトリアを凝視する2人に視線を向ける。アナスタージアは顎に手を当てるとマジマジとヴィクトリアを眺めていると隣のアン王女は嬉しそうに
『まぁ、照れていらっしゃるのですね?恥ずかしがらずともよろしいのに。殿下はとてもわかり易いですわよね?』
…?殿下が、なに?
目が点となるヴィクトリアの表情を見ていたアナスタージアは真顔で口を開いた。
『妃殿下、私からの最後の生意気だとお許し下さい。
妃殿下が倒れられてから、妃殿下の様子が変わったと聞きます。私は以前の妃殿下を存じませんので仲睦まじいお二人を見たことがございません。今の妃殿下は立派な我が国の王太子妃でございます。殿下との真実の愛が消えてしまわれたのであればそれでも結構。世継ぎを設ける側妃を迎えれば良いだけ。
ですがもしまだ殿下にお心がお有りならばゆっくりはしてられませんよ。
貴族というものは常に身の振り方を考えて行動しております。いつまでも後継者が出来ないとなれば未来の統率者を求めて動きが激しくなるでしょう。
私は妃殿下に後継者を産んでほしい訳ではなく妃殿下が王太子妃となられた事を後悔されないように。どうかお心のままに。』
切実に語るアナスタージアの姿を見てヴィクトリアは素のままで頷いた。
…何だか深刻な展開になってきたわ。
アン王女は真剣な眼差しで見つめ合う2人をこちらも真剣に見つめていた。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
女性が少ない世界へ異世界転生してしまった件
りん
恋愛
水野理沙15歳は鬱だった。何で生きているのかわからないし、将来なりたいものもない。親は馬鹿で話が通じない。生きても意味がないと思い自殺してしまった。でも、死んだと思ったら異世界に転生していてなんとそこは男女500:1の200年後の未来に転生してしまった。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる