彼らが額縁から見た景色

吸血鬼討伐編

-15 裏切り

「ルーセットっ！」

 シアンは倒れたルーセットに駆け寄った。
リアンは顔をしかめる。

「知り合い、なのか？」

リアンはルーセットに駆け寄り、生死を確かめているシアンに尋ねた。

「はい。」

シアンはルーセットから目を離さずに答えた。
そのとき、ルーセットを気絶させたリアンの側近の一人がリアンに近寄り、

「リアン様、ルーセットより、裏切り者の匂いがします。裏切り者と接触したのかと思われます。」

と言いながら、ルーセットを見据えた。

「裏切り者？」

ナナシは裏切り者という言葉に反応した。
そして、

「シアン、何か知ってるかい？」

と問い詰める様な口調で尋ねた。

「何も知りません。」

と、シアンは答えたが、リアンの側近が言う通り、ルーセットは裏切り者と関わったのだろうとシアンも思った。

ーしかし、それがルーセットが知らずの内の接触だったとすれば？ー
ふと、シアンの頭の中にそんな考えが浮かんだ。
そして、シアンはナナシの店の中で見つけた文献をもとに今からする話を頭の中で紡ぎ始めた。